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中学生でも解ける外伝 高校入試難問76★★ 早大実業高

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新年になったので、高校入試が終わるまで高校入試の難問を紹介することにします。

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今年の早実から、あまり見慣れない問題を紹介。2020年度の早実、問3から。

 

問題
★★

(1) x,\ y についての方程式\begin{cases} y=ax+2\\y=bx-3 \end{cases} が解をもたないための条件を、定数a,bを用いて表せ。

(2) A,\ B,\ C,\ D,\ E を定数とする。x,\ y についての4つの方程式

Ax+By=-12…(ア)\\Bx-Ay=16…(イ)\\6x-8y=C…(ウ)\\Dx-6y=E…(エ)


は、以下の条件を全て満たすとする。

条件Ⅰ:(ア)と(ウ)を連立方程式として解いても、解はない。
条件Ⅱ:(ア)と(エ)を連立方程式として解くと、解はx=8,\ y=9 である。
条件Ⅲ:(ウ)と(エ)を連立方程式として解いた解は、(ア)と(イ)を連立方程式として解いた解より、x の値は6大きく、y の値は2大きい。

A,\ B の値をそれぞれ求めよ。
C,\ E の値をそれぞれ求めよ。

 

 

ヒント、着眼点

明らかに(1)が(2)のヒントとなっています。どうにか(1)を自力で気づいて欲しいという出題者の意図が読み取れます。
連立方程式が解を持たないのはどんなときか、というのは基本的に中学校では習いません。入試本番の緊張の中で自力で気づくしかないのです。

ヒントは、(1)の連立方程式の各式が「y=」の形で書かれていることに注目しましょう。

 

 

 

 

 

 

以下、解答

 

 

 

 
解答

(1) a=b

(2)
①A=3, B=-4
②C=12, E=-126

 

 

 

 
解説

 

(1) 

解法①直感的な解法

連立方程式の解(x,y)は、与えられた2つの式が表すグラフの直線の交点でもあることを思い出します。つまり、

連立方程式\begin{cases} y=ax+2\\y=bx-3 \end{cases} が解を持たない」
ときと、
「2直線y=ax+2,\ y=bx-3が交点を持たない」
ときが一致します。
この2直線が交点を持たないのは、2直線が平行で、切片が異なるときです。よって、a=b

解法②高校数学っぽい解き方

連立方程式\begin{cases} y=ax+2\\y=bx-3 \end{cases} が解を持たないときは、
方程式ax+2=bx-3 が解を持たないときです。 
ax+2=bx-3\\(a-b)x=-5\dots①
ここで、a=b であるとき①の左辺は0、右辺は-5となり、解をもちません。(そもそも①の両辺からxが消えてしまうから、①の両辺が等しくなるようなxの値が存在しないということ。)
また、a\neq b であるとき、a-b\neq0 ですから、①の両辺をこれで割って、x=\frac{-5}{a-b} という解をもちます。よって、a=b

 

(2)

条件Ⅰから順番に処理していきます。

条件Ⅰ:(ア)と(ウ)を連立方程式として解いても、解はない。

(1)を活用したいので、(ア)と(ウ)をそれぞれ「y=」の形に変形しましょう。

(ア)を変形する過程で、両辺をBで割る必要があるので、B≠0であることを先に確認します。もしB=0とすると、(ア)はy軸に平行な直線、(ウ)はそれとは平行でない直線なので、必ず交点があるので、連立方程式が解をもってしまいます。よってB≠0
これを確認してから変形すると、
\displaystyle y=-\frac{A}{B}x-12…(ア')\\\displaystyle y=\frac{3}{4}x+\frac{C}{8}…(イ')
この2直線が平行で切片が異なるときが、条件Ⅰを満たすときです。よって、
\displaystyle -\frac{A}{B}=\frac{3}{4}\dots②,\ -12\neq\frac{C}{8}\dots③


条件Ⅱ:(ア)と(エ)を連立方程式として解くと、解はx=8,\ y=9 である。

これより(ア)と(エ)にこの値を代入してよいから、
8A+9B=-12\dots④,\ 8D-54=E\dots⑤

②と④を連立して解くと、
\underline{A=3,\ B=-4}

 

条件Ⅲ:(ウ)と(エ)を連立方程式として解いた解は、(ア)と(イ)を連立方程式として解いた解より、x の値は6大きく、y の値は2大きい。

今、A=3, B=-4と分かりましたから、(ア)と(イ)で作った連立方程式は解が出ます。(ア)と(イ)は改めて、
\begin{cases} 3x-4y=-12\\-4x-3y=16 \end{cases}
となるので、
(ア)と(イ)を連立方程式として解いた解は、x=4,\ y=0 となります。条件Ⅲより(ウ)と(エ)を連立方程式として解いた解は、x=10,\ y=6 です。
これを(ウ)と(エ)に代入すると、
60-48=C\dots⑥,\ 10D-36=E\dots⑦
⑥より、C=12。これは③を満たしています。
⑤と⑦より、D=-9, E=-126

 

 

やることが多く複雑な問題ですが、落ち着いて一つ一つこなしていけば決して難しくはないかと思います。(1)がすんなりできれば、ですが。 ただ、早実の問題としては丸々捨てても構わないかと思います。他の放物線の問題などに時間を使えばよいでしょう。

 

 

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