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日比谷高校2020年(令和2年)数学の解説

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令和になって最初の日比谷高校入試。その数学の解説記事です。

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このページは前半が問題の解説、後半が講評となっています。

 

 

 

 

解説

今年の数学も、難しい問題、合否が分かれるような問題は解説し、簡単な問題は触れません。

大問1

小問集合。ここは毎年内容がぶれていません。

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(4) 2つのさいころを投げる問題なので、36ますの表を書いて〇を付けていけば必ず正解できますが、落ち着いて考えると、aをaで割った余りは当然0ですから、
(a+b)をaで割った余りbをaで割った余りは等しいです。
そうすると36ますの表で調べる作業において、いちいちa+bがいくつか考えなくてもよいとわかります。

(5) ひし形の性質を利用するだけなので、去年より明らかに簡単になりました。ひし形は平行四辺形(対角線がそれぞれの中点で交わる)の対角線が垂直に交わったものと捉え、線分ACの垂直二等分線を引いてできる2つの交点がPとQになるだけです。

 

 

大問2

続いて大問2。例年通り、2次関数と図形の問題でした。

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(1) これまでの傾向と比べると、(1)にしては難しいです。ただ、Eのx座標などを文字でおけばすぐ解けるでしょう。

(2) CG=FGより、△BCG=△BFGであるから、△BCG:△HCG=4:9、BG:GH=4:9であることに気付くことが重要でしょう。2つの解法を紹介します。

解法①公式の解答例(を一部変えたもの)

BG:GH=4:9とBのx座標がtであるからHのx座標は-\frac{9}{4}t、y座標は\frac{81}{16}t^2
BとHのx座標の差が\frac{13}{4}t であり、nの傾きが-\frac{5}{3} であることから、BとHのy座標の差は\frac{13}{4}t\times\frac{5}{3}=\frac{65}{12}t
すると、Hのy座標はBのy座標にこの値を足して、t^2+\frac{65}{12}t とも表せられる。よって、
\frac{81}{16}t^2=t^2+\frac{65}{12}t
正なので、t=\frac{4}{3}

解法② a(p+q)を使う速い解法

解法①と同様に、Hのx座標は-\frac{9}{4}tとなるまで同じ。BとHを通る直線であるnの傾きが-\frac{5}{3} であるから、a(p+q)を用いて、
1\times\left\{t+\left(-\frac{9}{4}t\right)\right\}=-\frac{5}{3}
a(p+q)を何の断りもなく使ってよいかは微妙ですが、とても楽に解けます。

(3) \frac{48}{35} という分数。これは問答無用で飛ばした人が多かったのではないでしょうか。去年の大問2ラストが難問だったこともあります。
ただ、実はそこまで難しくありません。

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△ABI∽△CBGを考えると、
\textrm{CG}=\frac{12}{7},\ \textrm{C}\left(-\frac{12}{7},\frac{144}{49}\right)
これでGの座標は\left(0,\frac{144}{49}\right)
再びAB:BC=4:5を使えば、Bのy座標は\frac{64}{49}で、Bは放物線上の点だからx座標は\frac{8}{7}と分かります。これでBの座標もGの座標も分かったので、nの傾きは計算で求まります。

 

 

 

 

 

大問3

 大問3は円が絡んだ図形問題。

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(2)① 等しい二組の角ですね。
一組目は、平行線の錯角と円周角の定理を繰り返して∠HCD=∠AFI
二組目は、∠FIB=180°-∠FIA、∠FIB=∠FGC、円に内接する四角形は対角の和が180°であるから∠FGC+∠CDH=180°、これらを使えば∠CDH=∠FIAとなります。
∠CHD=∠FAIも二組目と同様に示すことができます。

② ①より対応する角が等しいから、∠A=90°なので、BFも直径となります。すると、△CDEと△BAFは斜辺と他の一辺がそれぞれ等しいから合同です。するとAF=DE=√19
また、△DCEは三辺の比が√19:9:10の直角三角形で、△DCE∽△HCD、①より△HCD∽△AFIなので△AFIも三辺の比が√19:9:10の直角三角形です。AF=√19よりFIが求まります。

 

 

 

大問4

いつもどおり立体図形。

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(2) ほぼ公式の解答例の解き方に限られるでしょう。△OAGの底辺をOAとすれば、高さがOGになることを説明します。それはOAと面OBCが垂直であることから従います。あとは、OGが最も短くなるタイミングは、OG⊥BCであることを言えばあとは簡単な平面図形の問題に帰着できます。

(3) これは今年の日比谷で一番の難問であると言えるでしょう。
2つの体積比なので、それぞれの底面積と高さを出せばよいでしょう。Vから考えていきます。
四面体KOABの体積V=△OAB×KJ×1/3
KJを求めるのが空間把握能力が必要で少し難しいでしょうか。

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図のように、HからOBと平行に直線を引いて交点をP、HからOCと平行に真上に直線を引いて交点をQとします。

さて、いったん△OABだけに注目して、ちょっと計算するとすぐにHJ:JP=5:3が分かります。

次に△AOC∽△AHQよりHQ=16/3、さらに△PHQ∽PJKよりJK=2となります。
これでVに必要な、底面積△OAB=18と高さJK=2がそろいました。

ではWを考えていきます。Wの底面積として△OACをとれば、高さはKから平面OACに下ろした垂線の長さとなりますが、これはHJと等しくなることを利用すれば、Wに必要な、底面積△OAC=24と高さHJ=5/2がそろいました。

よって、V:W=18×2:24×5\2=3:5

 

 

 

 

 

 

講評

全体講評:やや易化

大問1:小問集合

作図が簡単なので全問正解したい。ここは毎年似たり寄ったりな問題が出るので、過去問を解いて練習を積む。

 

大問2:放物線と直線

(2)①の記述が去年はかなり簡単でしたが、今年は標準に戻ったといえましょう。(2)②は去年やたら難しかったのですが、今年は見た目に反して簡単でした。見た目に騙されて飛ばした受験生は多かったでしょう。

 

大問3:平面図形

全体的にやや簡単でした。(2)①の相似の証明で二組目の等しい角が少し難しいかと思いますが、一組かけていればよいでしょう。(2)②はとても難しいわけではないです。

 

大問4:空間図形

(2)が記述が去年と同様、空間における平行、垂直といった位置関係について説明する問題で、慣れていない受験生にとっては難しいかもしれません。問題の答え自体は簡単に出せるのですが。
(3)がやや難しいですが、毎年空間図形の最後はそこまでやる人がいないでしょうから、あまり問題ありません。

 

 

 

 

 

各問題の難易度

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〇...正解すべき

△...いくつかできなくても仕方ない

 

〇をすべて正解し、△が全て不正解だったとしても56点。△の問題を2つ正解すれば70点は超えます。

平均点は70点程度と予想。

 

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written by k

 

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