中学生でも解ける大学入試数学77★★ 2020年東大
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今年の東大文系から、場合の数の問題です。
問題
★★
8本の直線
x=1,x=2,x=3,x=4,y=1,y=2,y=3,y=4
がある。これらの直線の16個の交点から5個を選ぶことを考える。
次の条件を満たす5個の点の選び方は何通りか。
(1) 上の8本の直線のうち、選んだ点を1個も含まないものがちょうど2本ある。
(2) 上の8本の直線は、いずれも選んだ点を少なくとも1個む。
ヒント、着眼点
問題文の意味、きちんと理解できていますか?
(1) 8本の直線のうち、選んだ点を1個も含まないものがちょうど2本ある。
(2) 8本の直線は、いずれも選んだ点を少なくとも1個む。
ここに5個の点を選んだ例を3つ用意しました。一番左の例は(1)を満たし、一番右の例は(2)を満たしています。真ん中の例は点を1個も含まない直線が1本なのでどちらでもありません。
この例だけでなく、(1)の例はこんなものやあんなものもある、といったことが脳内で即座に例を作ることができますか?場合の数の問題は何よりも、しっかり状況を理解することから始めるのが重要です。
数学の問題は問題文を正しく読んで理解するだけの国語力も必要なのです。
以下、解答
解答
(1) 1824通り
(2) 432通り
解説
(1)「上の8本の直線のうち、選んだ点を1個も含まないものがちょうど2本ある」
選んだ点を含まない2本の直線が2本とも縦線、2本とも横線、縦線と横線1本ずつで場合分けします。(正確には縦線、横線といわず、y軸と平行な直線、x軸と平行な直線などと言ったほうが良いが、めんどうなのでこのままで進める)
①1つも点がない2本の直線がどちらも縦線のとき
点が1つもない2本の直線の選び方は4C2=6通り
仮にx=3とx=4が点が1つもない直線とする。そのときに何通りあるか数えて、6倍すればよい。
残りのx=1,x=2上に5個の点を選ぶことになるが、どの横線にも少なくとも1つ点をとる必要があり、横線の数が4に対し点が5個だから、必ずどれか1つの横線に点を2つとることになる。その横線の選び方は4通り
その横棒が仮にy=1とすると、y=2,y=3,y=4上に点を1つずつとることになり、それは2×2×2=8通り
よって全部で6×4×8=192通り
②1つも点がない2本の直線がどちらも横線のとき
縦線と横線の役割が逆になっただけで、全く①と同じように求めることが出来るので、192通り
③1つも点がない2本の直線が縦線と横線のとき
その縦線と横線の選び方は4×4=16通り
仮にx=4とy=4がその直線とする。このとき何通りかを求めて16倍すればよい。
5個の点を、9個の点から選ぶことになる。総数は9C5=126通り
ここで5個の点の選び方によっては、1つも点がない直線が新たに出来てしまうこともある。そうなってしまう場合を数えて126から引く。
x=1,x=2,x=3,y=1,y=2,y=3のうち新たに出来る点がない直線を1つ選ぶのは6通り。これで9個の点のうち選ばれない点が3つ確定する。
選ばれない点を残り6つから1つ選べば、選ぶ5点が確定するので、6×6=36通り
よって126-36=90が、x=4とy=4が点がない直線としたときの5個の点の選びかたである。したがって全部で90×16=1440通り
①、②、③を足せば、答えは192+192+1440=1824通り
(2)「上の8本の直線は、いずれも選んだ点を少なくとも1個む」
5個の点が条件を満たすとき、4本の横線のうち1本には点が2つあり、のこり3本には点が1つある。(これは縦線についても同じことが言える)
点が2つある横線の選び方は4通り
その横線が仮にy=1とする。y=1上の2点の選び方は4C2=6通り
その2点を仮に(x=1とy=1の交点)と(x=2とy=1の交点)とする。のこり3点はy=2,y=3,y=4上にとることになり、これら3点からx=3,x=4上に少なくとも1つずつ選ぶ必要がある。
3つともx=3,x=4上から選ぶとき、2×2×2-2=6通り(引いた2通りは全てx=3上の点を選んだ場合と全てx=4上の点を選んだ場合)
x=3上に1つ、x=4上に1つ、x=1かx=2上に1つ選ぶとき、2×3×2×1=12通り
あわせて6+12=18通り
以上から、答えは4×6×18=432通り
補足
(2)の方が簡単かもしれないと感じました。東大の問題としてはかなり簡単な部類に入るかと思います。
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written by k