数学小話
数学は証明の文化です。論理を使いこなすことで、直感で分からないことも"分かる"ようになるのです。 さて、証明って何でしょうか。正しいって何でしょうか。 全知全能の逆説というものがあります。これを見ながら、証明とは何か、正しいとは何か、というこ…
ちょっと前に、フィボナッチ数列の記事を書きました。今回は数Bで習う数列の知識を使ってその一般項を求めてみます。 hibiyastudy.hatenablog.com フィボナッチ数列 1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,610,... 隣り合った2つの和が次の値になる。そん…
簡単な問題を出します。 1,2,3,〇,5,... さて、〇に入るのはいくつ? いやー簡単ですねぇ。当然答えは2019です。当たり前ですね。 え?答えは4じゃないかって?いやいや。 この数の並びは、 にを順に代入したものですから。4になるわけがありません。ちなみ…
第1回の記事はこちら第2回の記事はこちら第3回の記事はこちら第4回の記事はこちら 互いに素とあまりの周期の関係 例題 例題 互いに素とあまりの周期の関係 p,qは互いに素な自然数とする。pの倍数をqで割った余りは、q個ごとに同じ数が繰り返される。 例…
第1回の記事はこちら第2回の記事はこちら第3回の記事はこちら 第5回の記事はこちら 素因数分解の一意性 例題 問題 例題 問題 素因数分解の一意性 素因数分解は積の順番を除いてただ一通りである。 つまり、素因数分解は必ず同じ結果になるということです…
高校数学の発展事項として扱われる鳩の巣原理。内容はごくごく当たり前のことですが、とても強力な証明の道具です。この原理に関する面白い事柄をご紹介します。 鳩の巣原理とは 問題1 解答1 問題2(早稲田大学の過去問) 解答2 補足2 問題3 解答3 補足…
算数、数学が好きな人であれば(おそらく)だれもが考えること、 とにかく大きな数を作りたい!!! 数を大きくするのにどんな方法があるのか、どうすれば手っ取り早く数を大きくできるか、を考えてみましょう。そのために、まずは頭の体操をしてみましょう。 …
さて、どちらが大きいか当ててみてください。実際に計算するもよし、概算や直感で判断するもよし、です。 問題 logを使って解析する eとは? 関連する有名な問題 問題 問題1. どちらが大きいか。 (1) 34と43(2) 510と105(3) 1011と1110 答え1. (1) 34=81, 43…
前回はこちら 【数学小話】ほんとうに0.999...=1なのか① 1/3を使う証明は間違い? 0.999...=1 これがなぜ正しいのか、そもそもこの式の意味は何なのか、ということを説明するという目的のこのシリーズ。前回は中学生向けとしてよく見られる証明を紹介しまし…
0.999...=1 これはどうやら正しいらしい、でも正直あまり納得いかない、という人が多いかと思います。 たまに等しくないかのように言う人がいるので最初に断言しますが、この式は正しいです。ただ、この正しさを正確に説明しようとするとなかなか難しいので…
注意:この記事は少年少女の夢を壊しかねない内容が書かれています。クリスマスにサンタさんからプレゼントをもらっているお子さまは読むことをお勧めしません。 クリスマス。それは日本中の子供が一年に一回、欲しいものを無条件でもらうことができるイベン…
塾で中学受験をする小学生に算数を教えていると、公立中学生にとっても少々難しい内容がたびたび登場します。私が小学生の時は知りもしなかったようなことを今の小学生は叩き込まれているのを思うと、到底自分にはできないことだなと感心する一方、小さいこ…
悪魔の証明という言葉を聞いたことがありますか。少し前、安倍首相が参議院決算委員会でこの言葉を口にしました。 *1 脚注に示した記事によると、2017年3月、今は懐かしい(?)森友問題で、籠池氏が「昭恵夫人から寄付金を受け取った」と発言し、それを否定し…
矛盾。もともとは中国の古典からきた故事成語です。 矛盾の元となったエピソードはこんな感じの内容です。 あるところに、矛(ほこ)と盾(たて)を売っている商人がいました。 商人は盾を自慢しながら言いました。「この盾は丈夫で、どんな鋭利な刃物でも貫きと…
突然ですが、皆さんはこのようなことを言われた、または言った経験がありませんか? A「まったく、あんたはいっつも〇〇して...」 B「そんなことありません」 A「じゃあ一回も〇〇してないっていうの?」 私は自分がB側、母親がA側の立場で何度もあります。(…
算数、数学が好きは人によく知られている、フィボナッチ数列。 名前がついている数列で有名なものはフィボナッチ数列くらいです。あとはトリボナッチ数列やリュカ数列くらいでしょうか。今回はそのフィボナッチ数列と、それと密接に関係している黄金数という…
今年の夏は強い台風が日本を襲ったり、北海道には地震が発生したりという、なんともおぞましい夏でした。そんな夏、筆者は家の近くの図書館に借りた本を返すために雨の中歩いていたら、リュックが半開きだったために本が濡れてしまい、弁償する羽目になって…
前回、前々回はこちら http://hibiyastudy.hatenablog.com/entry/math/order/01 http://hibiyastudy.hatenablog.com/entry/math/order/02 今回は、前回にお話しした、「掛け算の本質」について、より掘り下げてみようと思います。タイトルにもありますが、あ…
前回の記事はこちら hibiyastudy.hatenablog.com 前回は、「掛け算の順序問題」に対する私の見解を述べました。今回は、掛け算の順序を逆にしたら答えが変わる例をご紹介します。 今回は大学1~2年の数学で習う内容を混ぜつつ、中高生レベルの知識で理解でき…
snsやメディアでかつてある話が話題になりました。だいたい次のような内容でした。 とある小学校の算数のテストで、「3人にみかんを4個づつ配ります。全部で何個必要ですか。」という問題に対し、「3×4=12 答え.12個」としたところ不正解とされた。 正しい答…
さて、今回は虚数が誕生するまでの過程をたどります。 2次方程式、3次方程式の解 2次方程式の解の公式は中3で習います。 訂正 上の画像における、「ax2+bx=c」は「ax2+bx+c=0」の間違いです。申し訳ありません。 中学生では根号の中身、b2-4acが負になるとき…
第二回は、古代ギリシアにおける数学から、有理数、無理数についてお話します。 ・ピタゴラス ピタゴラス(BC500ごろ)は、古代ギリシアの哲学者です。 当時の哲学は、今の哲学とは少し管轄範囲が違い、数学も哲学の1つとして学問の対象とされました。ピタゴラ…
塾講師のバイトで中学生の教え子に次のようなことを言われました。 「虚数ってないんですか?そんなものを習う必要があるんですか?」 この中学生は虚数という言葉と、2乗したら-1になるということは知っているものの、具体的にどのように四則演算されるか、…
「周りの迷惑になりますので電車内での通話はご遠慮ください」 という言葉に対して、 「じゃあ周りの迷惑にならないなら通話してもいいのか」 といういちゃもんをつける人、いますよね。実はこれ、数学的にこのようないちゃもんは全く意味をなさないと断定で…
1.モデルの概要 モデルがどのようなものであったかの確認をしておきましょう。 観測者の高さは634mとする 地球を完全な球体とし、地球上にはスカイツリー以外の建造物がないものとする 観測者のいる地点から出た光が直進して到達できる地点は「見える」もの…
スカイツリーの展望台に行ったときにふと思いました。 ここからどこまで見えるのか? 展望台で一人スマホの電卓を起動して計算に没頭する男がそこにいた… さて、数学の問題として解くには、当然ある程度状況を簡単なものに置き換えます。これをモデル化とい…
中3で展開について習います。高校に上がると3つ以上のカッコを展開することが増えます。 (x-a)(x-b)=x2-(a+b)x+ab (x-a)(x-b)(x-c)=x3-(a+b+c)x2+(ab+bc+ca)x-abc これらを見てある法則に気づくことができれば今回の問題も解けるかもしれません。 問題 (x-a)…
常識にとらわれない考えをするのはとても重要です。 問題 A君は家を出発し、北に10km、東に10km、南に10km進むと自分の家に着きました。A君の家は地球上のどこか? 前回の解答 hibiyastudy.hatenablog.com 答え、赤い線の引いてあるところ そもそも根号(√ )…
数学の小話として、よく「1=2」が証明できる!といったものを見ます。紹介しておきましょう。 b = a とします。この両辺に a を足すと a + b = 2a 両辺から 2b を引くと a - b = 2a - 2b (a - b) = 2(a - b) 両辺を (a - b) で割ると 1 = 2 他にもさまざまな…
※2019/04/18 加筆修正 数学の面白さとは何か。数学の良さとは何か。これは数学を勉強する上で知っておくべきことです。面白さを感じず、利点も分からず、ただ数と文字をこねくり回すだけのものだと思いながらやる数学ほどつまらないものはありません。数学の…