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【数学小話】フィボナッチ数列の一般項 (3項間漸化式)

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ちょっと前に、フィボナッチ数列の記事を書きました。今回は数Bで習う数列の知識を使ってその一般項を求めてみます。

hibiyastudy.hatenablog.com

フィボナッチ数列

1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,610,...

隣り合った2つの和が次の値になる。そんなルールで作られています。

a1 = 1 ,a2 = 1

an+2 = an+1 + an (n≧1)

隣接3項間漸化式と言われるやつです。このパターンの問題の解き方のみならず、特性方程式の考え方もついでに書いてみます。

 

3項間漸化式の特性方程式

漸化式 a_{n+2}+pa_{n+1}+qa_n=0a_{n+2},\ a_{n+1},\ a_n をそれぞれ x^2,\ x,\ 1 に置きかえて得られる2次方程式
x^2+px+q=0
特性方程式という。

この特性方程式の解をx=\alpha,\ \beta とすると、漸化式を変形して次のような2つの式が得られる。

a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n)\dots①\\a_{n+2}-\beta a_{n+1}=\alpha(a_{n+1}-\beta a_n)\dots②

①について、a_{n+1}-\alpha a_n は公比\beta等比数列なので、
a_{n+1}-\alpha a_n=\beta^{n-1}(a_2-\alpha a_1)\dots③

②について、a_{n+1}-\beta a_n は公比\alpha等比数列なので、
a_{n+1}-\beta a_n=\alpha^{n-1}(a_2-\beta a_1)\dots④

③、④より、a_n の一般項が得られる。

 

実践してみる

問.フィボナッチ数列
a_1=1,\ a_2=1,\ a_{n+2}=a_{n+1}+a_n\ (n\geqq1)
の一般項を求めよ。

解. フィボナッチ数列の漸化式は、a_{n+2}=a_{n+1}+a_n なので、特性方程式
x^2=x+1
であり、その解は
\displaystyle x=\frac{1\pm\sqrt{5}}{2}
である。漸化式はこのように変形できる。

a_{n+2}-\frac{1+\sqrt{5}}{2} a_{n+1}=\frac{1-\sqrt{5}}{2}(a_{n+1}-\frac{1+\sqrt{5}}{2} a_n)\dots①\\a_{n+2}-\frac{1-\sqrt{5}}{2} a_{n+1}=\frac{1+\sqrt{5}}{2}(a_{n+1}-\frac{1-\sqrt{5}}{2} a_n)\dots②

(この2つの式はそれぞれ展開、整理すると本来の漸化式に戻ります。計算の練習としてやってみてください。)

①より、

a_{n+1}-\frac{1+\sqrt{5}}{2} a_n=(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^{n-1}(a_2-\frac{1+\sqrt{5}}{2}a_1)=(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^{n}\dots③

②より、

a_{n+1}-\frac{1-\sqrt{5}}{2} a_n=(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^{n-1}(a_2-\frac{1+\sqrt{5}}{2}a_1)=(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^{n}\dots④

④-③より、

(\frac{1+\sqrt{5}}{2}-\frac{1-\sqrt{5}}{2})a_n=(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^{n}-(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^{n}\\\displaystyle \underline{a_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\bigg\{\bigg(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\bigg)^n-\bigg(\frac{1-\sqrt{5}}{2}\bigg)^n\bigg\}}

これでフィボナッチ数列の一般項が求められました。フィボナッチ数列の項は全て自然数でありながら、一般項には無理数が現れるという、ちょっと不思議な結果になりました。

 

特性方程式の考え方

特性方程式を考える理由はなにより、等比数列型の漸化式を作るためです。
隣接3項間漸化式の前にこのような漸化式を考えてみます。

a_{n+1}=2a_n-1\dots①
このとき特性方程式は、
x=2x-1
であり、これを解くと x=1 となります。そこで、x に1を代入した式、
1=2\times1-1\dots②
を考え、①-②を考えると、

f:id:hby:20190928153240j:plain

a_{n+1}-1=2(a_n-1)
が得られます。a_n-1 は公比2の等比数列です。これで等比数列型の漸化式ができました。

これの応用として、隣接3項間漸化式の特性方程式が、xの2次方程式を作る、というものになります。

漸化式 a_{n+2}+pa_{n+1}+qa_n=0\dots① を変形して等比数列型の漸化式を作るとすると、次のような形になると予想できます。
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n)
この式における\alpha,\ \beta を求めたい。これを整理すると、
a_{n+2}-(\alpha+\beta)a_{n+1}+\alpha\beta a_n\dots②
となります。①と②の係数を比較して、
\alpha+\beta=-p,\ \alpha\beta=q
よって、\alpha,\ \beta2次方程式
x^2+px+q=0 の解です。
このことから、与えられた隣接3項間漸化式から2次方程式を作って、その解でもって漸化式を等比数列型の漸化式に変形できるのです。

 

何よりも、等比数列型の漸化式
a_{n+1}+f(n+1)=p(a_n+f(n))\ (f(n)はnのなんらかの式)
を得るのが重要なので、例えば、このような問題でもこのように考えると解けます。

 

問.a_1=1,\ a_{n+1}=2a_{n}+n-2\ (n\leqq1) の一般項を求めよ。

解. 漸化式を変形することで、このような式が得られると予想します。
a_{n+1}+(A(n+1)+B)=2\{a_n+(An+B)\}
もともとの漸化式の a_{n+1},\ a_n の係数と、a_{n+1},\ a_n 以外の部分がnの1次式であることから予想します。これはnに関する恒等式なので、この式を展開してA,Bを求めます。
a_{n+1}+\{An+(A+B)\}=2a_n+(2An+2B)\\a_{n+1}=2a_n+An+(B-A)
もとの漸化式と係数を比較して、A=1,B=-1となるので、
a_{n+1}+((n+1)-1)=2(a_n+n-1)
ここで b_n=a_n+(n-1) とおくと、
b_1=1,\ b_{n+1}=2b_n\ (n\leqq1)
となるので、b_n=2^{n-1} よって、
a_n+(n-1)=2^{n-1}\\\underline{a_n=2^{n-1}-n+1}

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今回はここまで。数Bにおける数列の難しいとされる内容のお話でした。

 

written by k

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