日比谷高校のススメ

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【数学小話】スカイツリーからどこまで見える?②

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1.モデルの概要

モデルがどのようなものであったかの確認をしておきましょう。

  1. 観測者の高さは634mとする
  2. 地球を完全な球体とし、地球上にはスカイツリー以外の建造物がないものとする
  3. 観測者のいる地点から出た光が直進して到達できる地点は「見える」ものとする
  4. 「見える」場所のうち最も遠いところまでを「見える距離」とする

 

2.「水平距離」の計算

【数学小話】スカイツリーからどこまで見える?①では、直角三角形を用いて地平線までの距離(頭から地平線までの距離)を計算してみました。そして、今回は、「水平距離」としての「見える距離」を計算します。

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これは前回の記事にも掲載した図です。今回はこの赤い線の長さを測ります。

さて、扇形の弧の長さを求めるには、中心角が分かればよいです。そこで三角関数の応用の出番です。三角関数は高校1年で習います。今回はさらにその逆関数、大学で習う逆三角関数というものを使って計算してみます。逆三角関数の詳しい説明はここでは省略します。

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この直角三角形OABにおいて、cosθ=6371000/(6371000+x)となります。

cosの逆関数を用いれば、θ=Cos-1{6371000/(6371000+x)}となります。

Cosの逆関数の値域は0からπ(ラジアン)ですので、単位を0から180(°)に直すには180/π倍します。

中心角が分かれば、弧の長さも求められます。

扇形の弧の長さは、直径×円周率×(中心角(°)/360)で与えられます。

「水平距離」=2×6371000×π×{θ×(180/π)}/360

=6371000Cos-1{6371000/(6371000+x)}

 これが、修正した「見える距離」の公式です。

a=6371000Cos-1{6371000/(6371000+x)}

 

 試しにx=10を代入して計算すると、

 a≒11288

前回の記事の高さの公式でx=10の時の値と近くなりました。xが十分小さいときは、三平方で求めたとしても誤差がほぼないようです。

修正した公式でx→∞とすると、a→10007543.39...となり、これは地球の円周のちょうど1/4に当たります。これはxを無限大に飛ばしたときの直感と一致しますね。

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2つの方法の差異

三平方による公式

a=√(x2+12742000x)

 逆三角関数による公式

 a=6371000Cos-1{6371000/(6371000+x)}

それぞれの公式に、さまざまなxの値を代入したものを以下に示しました。

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この表を見てみると、xが10万程度ではどちらの公式もあまり差が出ないようです。

333は東京タワー、634はスカイツリー、3776は富士山、8848はエベレスト、10000は旅客機、100000は圏界面、400000は宇宙ステーションの高さです。6471000は地球の半径です。

xが地球の半径程度に大きくなると、差が著しくなるようです。約2倍の差があります。

よって、宇宙飛行士でもなければ、逆関数による公式は必要ない、三平方による公式で十分ということが分かりました。

 

 

まとめると、

スカイツリーの先端(634m)からは理論上約90km先まで見える

エベレスト山頂では約300km先まで見える

 

 

以上、スカイツリーからどこまで見える?でした。

 

 

written by k

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