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中学生でも解ける大学入試数学22★★ 数検2級

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数検は1次試験と2次試験があり、1次試験は計算問題が出題され答えのみを書くタイプ、2次試験は考え方も書くタイプになっています。前回は1次でしたが、今回は2次の問題です。

 

問題
★★

(1) (ac+bd)2+(ad-bc)2因数分解せよ。 

(2) 平方数とは、自然数の2乗で表される数のことである。

4で割って1余る素数はかならず2つの平方数の和で表すことができ、4で割って1余る2つの素数の積はかならず2つの平方数の和で2通りに表すことができる。

例えば、37と41はどちらも4で割って1余る素数で、

37=62+12

41=52+42

と表すことができる。また、この2数の積は

37×41=(62+12)(52+42)=292+262=342+192

と、平方数の和で2通りに表すことができる。

西暦2017年は平成29年であるが、2017も29も4で割って1余る素数で、

2017=442+92

29=52+22

と2つの平方数の和で表される。2017×29を2つの平方数の和で2通り表しなさい。

 

 

 

ヒント、着眼点

(2)の文章が長くて面食らうかもしれませんが、落ち着いて言っている内容を把握しましょう。 

急に知らない事実を言われてもうろたえてはいけません。こういう問題は、「解く側が絶対に知らないであろうことを突然教えたうえで、落ち着いて書いてあることを理解し活用できるかどうか」をみるのです。製作者は解く人が絶対に知らないと踏んでこの問題を作っています。逆に言えば、4で割って1余る素数が2つの平方数の和で表せるなんてことを今まで知らなかったとしても必ず解けるようにできています

何のために(1)が存在するのか、それは(1)を使って(2)を解けという製作者の意図があるからです。どうすれば(2)に生かせるのか。(1)の式に似た形がどこかにありませんか...?

 

 

 

(全く解き方と関係ないですが、(2)の文章から、この問題が出題されたのは2017年であることもわかります。)

 

以下、解答

 

 

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解答

(1) (a2+b2)(c2+d2)

(2) 2017×29=2382+432=2022+1332

 


解説

(1) いったん全て展開してから考えます。

(ac+bd)2+(ad-bc)2

=(a2c2+2abcd+b2d2)+(a2d2-2abcd+b2c2)

=a2c2+b2d2+a2d2+b2c2

=a2(c2+d2)+b2(c2+d2)

=(a2+b2)(c2+d2)

 

(2) 37×41=(62+12)(52+42)=292+262=342+192

問題文にあったこの式、これと(1)に何の関係があるかを考えます。 「(62+12)(52+42)」がまさに(1)の答え、(a2+b2)(c2+d2)と同じ形をしています。a=6,b=1,c=5,d=4として、(1)の与えられた式と因数分解した式にそれぞれ代入してみると、

(a2+b2)(c2+d2)=(ac+bd)2+(ad-bc)2

(62+12)(52+42)=(6×5+1×4)2+(6×4-1×5)2=342+192

2つの平方数の和の片方が出てきました。ここで、「もう一つは出てこないのか?もう一つも出せるのか?」と考えてみると、

(62+12)(52+42) 足し算は順番を入れ替えてよいので、これの5と4の位置を入れ替えて(つまり、さっきはc=5,d=4としていたのを、c=4,d=5として)計算してみると、

(62+12)(42+52)=(6×4+1×5)2+(6×5-1×4)2=292+262

無事、もう片方から出てきました。ということで、37と41の平方数の和の表し方が分かっていれば37×41の平方数の和の表し方を2つとも作ることができました。あとは、同じ作業を2017,29でもやります。

2017=442+92

29=52+22

2017×29=(442+92)(52+22)=(44×5+9×2)2+(44×2-9×5)2=2382+432

(442+92)(22+52)=(44×2+9×5)2+(44×5-9×2)2=2022+1332

2017×29=58493ですが、実際にこの5桁の数をじっと眺めても答えはでてきません。というか、この5桁の数を出す必要すらありません。このような問題は、問題の「流れ」にのることが重要です。

 

 

 

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