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日比谷高校 平成28年(2016年)数学の解説

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高校受験が控えている中3の皆さんは、もうすこししたら過去問に取り組みだすことでしょう。今回は、過去問をやり始めた日比谷高校を目指す中学生に向けて、2016年の数学の解説を書こうと思います。受験生の皆さんが冬休みなどに過去問を解いたときに、この解説が役に立ちますように。

 


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この年の難易度

現在(2018年)、日比谷高校の過去問演習は少しやりづらい側面があります。

・グループ作成から戻って1年分しか過去問がない

・グループ作成の期間(2014年~2017年)の過去問は難易度が易しすぎるものが多い

2016年はグループ入試の中で平均点が低い方です。そして、グループ作成から従来の学校ごとにそれぞれ問題を作るスタイルに戻した2018年とほぼ同じ平均点です。なので、グループ作成の中では一番(問題の難易度について)参考になる過去問と言えるでしょう。

 

平均点、問題の難しさ

平均点は男子が54点、女子が47点で、合わせてほぼ50点です。

数学によほど自信がある人でなければ、過去問演習の時に50点取れていればまあよいでしょう。

問題の難易度

空欄...本番は絶対とりたい問題

△...やや難しい

×...かなり難しい

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空欄の問題を全て正解すると49点になります。本番もこれらが解けて、△の問題で少し点が取れればよい、といったところでしょう。△の問題も含めて、過去問演習で解けなかった問題は必ず解法を確認してマスターしましょう。

 

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解説

ここからの文章は実際に問題を解いた人を想定して書かれています。問題文などは書きませんので、各自解いたときに使った問題用紙を参照しつつお読みください。また、2018年10月現在、問題は日比谷高校のホームページから入手可能です。

大問1

どの年度も大問1は1ミスまでに抑えるのが基本です。最初の計算問題や確率、作図など、基本的な練習をしっかり積めばそれは達成できるでしょう。

[問1] 最初の問題を計算ミスするとかなり心に深いダメージを負うので、ていねいに、しかし速く解く。

\displaystyle \frac{\sqrt{(-12)^2}}{3}=\frac{-12}{3}=-4としないように。\displaystyle \sqrt{(-12)^2}=12です。

[問2] 与式をいったん全て展開して整理して解くのでもよいですが、X=x+1とおいてXを求める方法がよいです。

\displaystyle (x+1)^2-4(x+1)+3=7

\displaystyle X=x+1として、\displaystyle X^2-4X+3=7,X^2-4x-4=0,X=2±2\sqrt{2}

\displaystyle X=x+1から\displaystyle x=X-1だから、\displaystyle x=1±2\sqrt{2}

[問3] 割り算の商とあまりの関係から、

\displaystyle n=6a+b=8b+aとなり、\displaystyle 5a=7b

ここで、bはnを6で割ったあまりなのでb≦5、同様にa≦7より、5a=7bを満たす自然数a,bは(a,b)=(7,5)ののみ。よってn=47 

この問題は少し難しいかもしれません。5a=7bが出てきて、そのあとa=7,b=5になるまでの考え方が高校入試であまり見ないものです。

a,b,x,yを自然数とし、ax=byが成り立ち、aとbが互いに素であれば、xはbの倍数、yはaの倍数になる。

[問4] できうる3桁の数の中で、7の倍数がいくつかがわかればよいのです。100以上の7の倍数を探すと、最初は105です。以後、7を足していくと、

112,119,126,133,140,147,154,161,168,...

この問題の条件で、できうる3桁の数は赤くなっている5つ。よって、\displaystyle \frac{5}{36}

[問5]  作図で直角と言ったら、垂線、垂直二等分線だけではないです。円の直径に対する円周角が直角になるのが今回使えます。ABを直径とする円を描いて、その円周と直線lの交点が2つできるので、その片方(どちらでもよい)がPになります。

 

大問2

大問2は例年二次関数と一次関数のグラフの問題が出題されます。ごくたまに反比例のグラフが出ることもありますが*1、二次関数でも反比例でもやることはだいたい同じです。問1に入る前に、導入の文章をしっかり読んで、問題の設定をしっかり頭に入れておくのが重要です。どの文字の値が分かっていてどの文字の値は与えられていないのかを把握しましょう。また、問題文の条件をいかにうまく言い換えられるかも大事です。

[問1](1) 2点A,Cを通る直線の式を求める問題なので、AとCの座標を求めます。これは絶対落としてはいけない。

[問1](2) 記述の問題。「四角形OACBが平行四辺形になる」を座標に関してどう言い換えることができるかが重要。平行四辺形は2組の対辺が平行で長さが等しいです。これは四角形が平行四辺形になる条件の一つでした。これが座標について言い換えるとどうなるかというと、「OからAに移動したときのx座標とy座標の変化とBからCに移動したときのx座標とy座標の変化が同じ」です。記述の問題は部分点を稼ぐ方法として、「方針を書いておく」というものがあるので、平行四辺形の特徴で座標について言い換えれるものを書いておけば部分点が期待できます。

[問2] 「△OACと△OCBの面積の比が2:1」とあります。よくある三角形を等積変形して三角形の底辺をy軸上に持ってくる方法は今回あまり使えないでしょう。今回はどう解くかというと、「△OACと△OCBの面積の比が2:1」になるので、「AとBを結んで、線分OCとの交点をDとした時、AD:BD=2:1になる」ことを利用して解くのがよいでしょう。A,Bのx座標が3,-3なので、Dのx座標は-1です。Dのy座標はaで表されています。そしたらDがOC上にあることを使ってaが求められます。

 

大問3

大問3は毎年円と相似に関する問題です。ほぼ必ず相似(または合同)の証明が1つ入っていて、大問3の最後の問題はその証明した内容を利用して解けるような問題になっていることが多いです。

[問1] 円周とその円周角に関する問題。例えば円周1周と弧BCの比が4:1なので、∠BDC=180×1/4=45°と分かります。そんな感じで値が分かる角度を出していけば答えは出せるでしょう。

[問2](1) 相似の証明。ほぼ毎年「2組の角がそれぞれ等しい」で証明することになります。これは日比谷高校が掲載している解答の通り。

[問2](2) まず、三平方の定理かたAC=8です。問2(1)の相似より、SとTの比は、それぞれの三角形の対応する辺の比を出せばよいことになります。ここで、(1)の証明で∠ABG=∠HBCと分かっているので、弧AH=弧CHです。よってOとHを結ぶと、線分ACが垂直に2等分されます。AB=10より円の半径が5なので、OH=5,ここで、OHとACの交点をIとすると、△HIG∽△BCGで相似比が1:2です。そうしたらCGとAGの長さが分かります。AGとBCの長さをそれぞれ2乗したら答えになります。

 

大問4

グループ作成は、最後の大問のみほかの学校と全く違う完全オリジナル問題になります。つまりこの大問は日比谷高校完全オリジナル問題なので、この問題はよりしっかりやる価値があります。

[問1] △BCDは3:4:5の直角三角形。これくらいは気づけるようになっておきたい。

[問2]  VとWをxで表すことができるかどうか。これは公式の解答以上に言うことはありません。

[問3] 最短経路の問題は展開図を考えるのが定石です。ただ、今回はPQが立体の内部を通っているので、そのまま展開図を書くのでは解けません。ここで、PQがどのような直線になるのか、どこを通るのか、について考えるのですが、PがGIのどこにいたとしても、PQ自体が最も短くなるにはPQ⊥CDである必要があります。つまり、PがどこにあろうとQの位置は変わらないのです。これが分かれば、長方形BEGIと三角形GIQを平面に書いて展開図だと思えば解けます。

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 最短距離の問題は結局展開図(今回は展開図のようなもの)になるのですね。

 

 

 以上になります。需要があればほかの年度もやると思います。

 

 

 

 

written by k

*1:戸山高校の平成29,30年度などで出題

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