中学生でも解ける大学入試数学23★★★ 1990年東工大後期
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問題
★★★
の小数第1位を四捨五入したものがと等しくなるような実数を求めよ。
ヒント、着眼点
「Aを小数第1位で四捨五入したらBになる」を式に表すとどうなりますか?
ぱっと思いつかないのであれば、具体的な数で試してみましょう。
四捨五入して4になる数は3.5以上4.5未満です。
四捨五入して7になる数は7.5以上8.5未満です。
四捨五入してBになる数は(B-0.5)以上(B+0.5)未満です。
よって、「Aは四捨五入してBになる」は、「Aは(B-0.5)以上(B+0.5)未満である」といえるので、
B-0.5≦A<B+0.5が正解です。
では今回の問題で同じことをやると、xに関してある不等式が得られます。
これで答えに一歩前進しました。この不等式を整理してxの範囲を狭めていくことができますが、それだけでは核心的な答えにたどり着けません。四捨五入したら1+5xになる。ここからxについてさらに分かることがあるのでは......?
以下、解答
解答
解説
まずはヒントで得た不等式を整理します。
…①
を解くと、
を解くと、
②,③より、
答えは少なくとも④の範囲にあるxであるといえます。
ここで、小数第1位を四捨五入したら1+5xになるので、1+5xは整数。つまり5xは整数。よってxは分母が5の有理数であることが言えます。これがちょっと思いつきにくいかもしれません。④の範囲にあるxの中で、〇/5という形で表されるものが答えです。
〇/5という数は小数にすると、〇.0、〇.2、〇.4、〇.6、〇.8のどれかになります。そしたら、④に出てきた範囲の両端の値を小数第1位あたりまで計算して、〇/5のどれが入るか確かめます。
を検討する。
ここで、よりなので、
より、なので、
よって、
この範囲に存在する〇/5で表される数は6.4=32/5
を検討する。
先ほどと同様に、
よって、
この範囲に存在する〇/5で表される数は-0.4=-2/5
十分性を確認する。*1
のとき、
のとき、
と、それぞれ小数第1位を四捨五入すると一致する。
このように、無理数の混ざっている不等式の値を評価する時は、知っている√の近似値を使って、余分な答えが混ざらないようにほんの少しだけ範囲を広げるようにするテクニックがあります。√46をだいたい√45=3√5とするような技術はいきなり思いつきにくいので、事前にそういう方法があることを知っているべきです。
√2=1.41421356...
√3=1.7320508...
√5=2.2360679...
これくらいの近似値は覚えましょう。
11/8追記 解説に十分性の確認を追記。これがないと
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written by k
*1:11/8 解説に十分性の確認を追記。