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【高校受験】数学テーマ別攻略① 点が動く問題

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自校作成数学の最後の大問、立体図形でしばしば登場する、立体図形の辺上を動く点に関する問題。これらを簡単に解くコツをご紹介します。

 それは以下の3つです。

①問題をしっかり読んで、どの点がどのタイミングでどこの頂点に通るかを正確に把握する

②いずれかの点が(通る辺を変えるor動きが止まるor動き始めるなど)振る舞いを変えるタイミングで区切ってそれぞれ場合分けする。この時、場合分けしたそれぞれの図を書く。

③面積や体積を求める場合は、②で区切った各場合分けにおいてそれぞれtを使って表していく

空間図形を解くときは、これら3つを意識しなければなりません。

 

では、実際に問題を通して確認してみましょう。

以下、都立戸山高校(平成22年度)の問題です。

 

 

 

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まずはコツ①をします。問題文をしっかり読んで、PとQがどのように動くかをしっかりとらえます。決して、いきなり問題を解こうとしないでください。

Pは、F→B→Aと毎秒2cmで動くので、4秒でBに、11/2秒でAにいきます。

Qは、H→Iと毎秒1cmで動くので、4秒でIに行き、Iにとどまることが読み取れます。

 

と、ここまで情報を整理した上で、頭の中で以下のようなアニメーションを再生できるようになっておきましょう。この問題で注目し続ける三角錐の変形の様子です。

 

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さて、問1の(1)と(2)をやりましょう。コツ②がすでに問題文が適切な場合分けを教えてくれています。PとQが振る舞いを変えるのはx=4の時なので、そのタイミングで場合分けするのです。

問1(1)

(a) 0≦x≦4の場合

 

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この間は、点Pは辺BF上を、点Qは辺HI上を動いています。x=4のとき、ちょうど点Pが頂点Bに、点Qが点Iに到着します。

求める三角錐の底面が△QHEで、高さがQから辺AEに下した垂線の長さ、つまり3cm

よってy=3×x×1/2×3×1/3=(3/2)x

 

(b) 4≦x≦11/2の場合

 

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この間、点Qは点Iに到着し、動きを止めます。点Pは辺AB上をB→Aと動いています。

よって、求める三角錐の底面△QHEの面積が変わらず、高さのみが減っていくことが分かります。

高さAPは、xを使って表すことができます。頂点Fから出発した点Pの移動距離は2xであるから、AP=11-2x

よってy=3×4×1/2×(11-2x)×1/3=22-4x

 グラフは以下のようになります。

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問1(2)

a秒後の体積をV、a+3秒後の体積をV'としたとき、V'がVの2/3倍となるときを求めよという問題です。今回も、いきなり問題を解こうとしないでください。まずは「きっとこのあたりにある時がa秒後でこのあたりがa+3秒後になればいいんだろうな」という予想を立ててから解くべきです。そうしないと、次のような勘違いをした解き方をしてしまう可能性があるからです。

0<a<4より、a秒後の体積Vは、(1)の結果を用いて、

V=(3/2)aと表すことができる。

同様にa+3秒後の体積V'は、

V'=(3/2)(a+3)となる。

V'がVの2/3倍となるから、

V'=(2/3)V、つまり

(3/2)(a+3)=(2/3){(3/2)a}

これを解くとa=−9

aが負の値となってしまってますから、当然解き方が間違っています。

なぜこれで間違っているかというと、下にあるような、問題に対する正しい考察をせずに問題を解き始めているからです。

「VとV'ではV'の方が小さい。また、0<a<4の間では体積は増え続ける。(体積は最大6になる。)よって、V'の方が小さくなるためには、V'をとるa+3秒後は、4秒以降の体積が小さくなっていく途中でないといけない」

このような考察を、いきなり式を書き始める前に考えることができればあっさりと正解することができます。

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a秒後のVは

V=(3/2)a

a+3秒後のV'は

V'=22-4(a+3)

V'=(2/3)Vをより、

22-4(a+3)=(2/3){(3/2)a}

よってa=2

これは0<a<4を満たす。 

 

まとめ

立体図形は、問題の設定を正確に把握するのが大切です。

受験本番に、時間がないからといって焦って答えをすぐに出すことを考えてしまうのは一番してはいけないことです。落ち着いて問題文を読み、きちんと点の動きをとらえる。これにつきます。

 

(1/30追記) 第2回の記事で、空間図形の求めにくい体積を求める問題のコツを追加で書きます。

第二回 平面図形

第三回 二次関数と直線

 

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