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【数学小話】2021が入るピタゴラス数を見つけてみる

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あけましておめでとうございます。2021年もどうにかブログを続けようと思います。今年もよろしくお願いします。

2021は43×47と素因数分解できることは有名でしょう。高校入試に出てもおかしくないレベルです。

2021=2025-4=452-22=(45+2)×(45-2)=47×43

さて、2021年最初の遊びとして、2021が入るピタゴラス数を見つける遊びをしてみます。

ピタゴラスとは、
a^2+b^2=c^2を満たす自然数の組(a,b,c)
のことを言います。直角三角形の3辺の長さになりますね。

では、この組(a,b,c)の3つの数のうちどれか1つが2021になるものを出来るだけたくさん見つけてみましょう。

 

 

問題

a^2+b^2=c^2を満たす自然数の組(a,b,c)で、
a,b,cのいずれかが2021であるようなものを全て求めよ。

 

 

この問題を考えるにあたって、使える道具をいくつか見てみます。

 

 

ピタゴラス数の基本的事項

①(a,b,c)の3つの数の最大公約数が1であるとき、原始ピタゴラスと呼ぶ。

例えば、(3,4,5)とか(5,12,13)は原始ピタゴラス数ですが、(6,8,10)は違います。
この(6,8,10)は、(3,4,5)の3数を2倍しているものです。

 

②(a,b,c)がピタゴラス数の時、それらを適当にn倍した組(na,nb,nc)もピタゴラス数である。(nは自然数)

a^2+b^2=c^2であるとき、
(na)^2+(nb)^2=n^2a^2+n^2b^2=n^2(a^2+b^2)=n^2c^2=(nc)^2
より、(na,nb,nc)もピタゴラス数です。

この性質②より、ピタゴラス数は無限に存在することがいえます。ピタゴラス数は、原始ピタゴラス数と、それらを適当にn倍したものからなるわけです。

 

③原始ピタゴラス数は、ある自然数m,nを用いて、

a=m^2-n^2,b=2mn,m^2+n^2
(またはa=2mn,b=m^2-n^2,m^2+n^2)

と表すことが出来る。

つまり、全ての原始ピタゴラス数はこの形で書けます。証明は面倒なので省略。
例えば、(3,4,5)はm=2,n=1であり、(5,12,13)はn=3,m=2です。
mとnを互いに素でないものとすれば原始でないピタゴラス数が作れますが、全ての原始でないピタゴラス数を作れるわけではありません。

 

④原始ピタゴラス数(a,b,c)は、a,bは一方が奇数で他方は偶数で、cは奇数である。

かなり重要な性質です。

a,bが共に偶数なら自動的にcも偶数となり、それは原始ピタゴラス数でなくなります。また、a,bが共に奇数になりえないことは中学レベルで示せます。

 

では、これらの道具を使って、2021が入るピタゴラス数を見つけてみましょう。

 

 

原始ピタゴラス数を探す

2021が入る原始ピタゴラス数を探します。2021は奇数なので、aかbが2021になる可能性と、cが2021になる可能性に分けて考えます。

まずaかbが2021になる可能性について。原始ピタゴラス数は
(m^2-n^2,2mn,m^2+n^2)と書けますが、2mnは偶数、2021は奇数なので、
2021=m^2-n^2
となります。この式を満たす(m,n)自然数の組を見つけます。整数問題の鉄則、因数分解を使って、
2021=(m+n)(m-n)
となり、m,n自然数よりm+nの方が大きいから、
m+n=2021,m-n=1…①またはm+n=47,m-n=43…②

①の時、(m,n)=(1011,1010)
②の時、(m,n)=(45,2)

これらをそれぞれ(m^2-n^2,2mn,m^2+n^2)に入れれば、
①(2021,2042220,2042221)
②(2021,180,2029)

2組見つかりました。

 

次にcが2021になる場合について。

2021=m^2+n^2となる(m,n)自然数の組を見つけます。mod5で考えると、nを自然数として、
n^2\equiv0,1,4であり、2021\equiv1だから、m^2,n^2をmod5で考えると片方は0,もう片方は1と合同です。したがって、m,nの片方は5の倍数です。mを5の倍数とすればm=5,10,15,20,25,30,35,40しかありえません。
2021=m^2+n^2にそれらを順に代入して、nが整数になるかチェックすると、ないことが確認できます。すなわち、
2021=m^2+n^2となる(m,n)自然数の組は存在しません。

 

以上より、2021が入る原始ピタゴラス数は次の2組だけです。
(2021,2042220,2042221)
(180,2021,2029)

 

 

原始でないピタゴラス数を探す

原始でないピタゴラス数は、原始ピタゴラス数を適当にn倍したものです。2021=47×43ですから、考えられるのは、 

①43が入るピタゴラス数を47倍して作る

②47が入るピタゴラス数を43倍して作る

ここで、43も47も素数ですから、43か47が入るピタゴラス数は必ず原始ピタゴラス数です。(最大公約数が1か43,47にしかなりえないが、最大公約数が43,47となるものはありえないことが分かる)

①も②も、やることは先ほどの2021が入る原始ピタゴラス数を求める手順と変わりません。よって、結果のみを書きます。

①(43,924,925)
②(47,1104,1105)

より、これらを順に47倍、43倍して、

①(2021,43428,43475)
②(2021,47472,47515)

 

以上で、全ての組が見つかりました。

(180,2021,2029), (2021,43428,43475), (2021,47472,47515), (2021,2042220,2042221)

 

これで、2021が入るピタゴラス数が分かりました。この手順を踏襲すれば一般的に好きな自然数が入るピタゴラス数を作ることが出来ることも示せますね。

ただし2が入るピタゴラス数は存在しないことには注意。

 

未解決問題

2より大きい自然数nについて、nが入るピタゴラス数の組の数はどうやって求められるか?

 

 

例えば、2021のように異なる2つの奇素数の積で表される数は必ず4組かというと、そうとも限りません。

85=5×17は上でやっていた手順で見つかる4組に加えて、85=m^2+n^2となる(m,n)があり、もう1組見つかります。(2^2+9^2=85)ただ、少なくとも素因数分解をした時に現れる素数と、見つかる組の個数はある関係していることは予想されます。

上でやっていた手順を一般化して、相異なるn個の奇素数の積で表される数が入る組は少なくとも(3^n-1)/2個であることは分かります。(ぜひ考えてみて下さい)

実は、大学数学の知識を使えば、4m+3と書ける素数の積だけで構成される自然数は、ちょうど(3^n-1)/2個であることが言え、4m+1型の素数が入ればそれだけ組が増えます。

では、同じ素因数を持つ場合は?2を素因数に持つ場合は?

こういったことをぜひ考えてみて下さい。

 

 

written by k

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