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【数学小話】男女の人数を求めるタイプの連立方程式の問題

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中学2年で連立方程式を習い、そこで割合と絡めた問題として、次のような問題がよく出ます。誰もが何度も目にしたことがあるでしょう。

 

ある学校の昨年の入学者は男女合わせて500人だった。今年は昨年に比べて、男子が3%減り、女子は2%増えたので、入学者は計495人だった。今年の男子と女子の入学者をそれぞれ求めなさい。

 

今回はこのタイプの問題を「いかに楽して解くか」について考えたいです。全人類この計算量が多くて面倒な問題で時間を無駄にしていると思いますので。

で、この昨年に比べて何%どうなったから今年はどうでした、というタイプの問題は、「今年の人数が聞かれているけど、昨年の男女をx,yと置いて連立方程式を作るのがお決まりだ」と教わるところまで、誰もが通る道なのではないかと思います。このタイプの問題は個人的に習った当時からずっとあまり好きではありません。単純に面倒だからです。
中学生だった当時の私は当然疑問に思うわけです。「問われている今年の男女をx,yと置いて連立方程式を作った方が実は早かったりするんじゃないの?」と。実際にやったことがある方ならお分かりかと思いますが、今年の男女を文字で置く方がもっと面倒です。正攻法とこの解き方をちょっと見てみましょう。

 

問題(再掲)

昨年は男女合計500人、男子-3%、女子+2%で今年は495人

 

正攻法

昨年の男女の人数をそれぞれx人、y人と置くと、
\begin{cases} x+y =500\\\frac{97}{100}x+\frac{102}{100}y =495 \end{cases}

 

今年の男女を文字で置く方法

今年の男女をそれぞれx人、y人と置くと、
\begin{cases} x+y=495\\\frac{100}{97}x+\frac{100}{102}y=500 \end{cases}

 

どちらの連立方程式の方が計算が楽でしょうか。2番目の式を見ればすぐ気づきますが、後者の方が明らかにやばいです。通分が面倒すぎることに気づくでしょう。後者の2番目の式に両辺97×102をかけて頑張りたいですか?

ということで、中学生の私は正攻法のやり方を選択し続けたわけですが、それでもずーっと面倒だなあと思っていました。ですがある時、問題の仕様を隙をついた方法に気づいたのです。これが今回の本題。

 

 

重要なこととして、増減した人数は整数であるということ。 当たり前ですが、男子は12.4人減り、女子は22.4人増えて、総合したら10人増えました、なんて問題は存在してはならないのです。きちんと増減した人数も整数になるように問題は作られているはずです。(もしかしたらそうでない、おそまつな問題もあるかもしれませんが)

 

さて、そのことを踏まえてもう一度さきほどの問題を見てみます。

昨年は男女合計500人、男子-3%、女子+2%で今年は495人

実はこの時点で男子は0か100か200か300か400か500であることが確定します。基本的にこの手の問題で男子か女子が0人というのは答えになるはずがないので、100から400の4択だと絞り込めます。

それはなぜか。3%が整数になるには、もとの整数が100の倍数でなければならないからです。3%というのは要するに100で割って3をかけるわけで、その結果が整数になるためには100で割った数がそもそも整数でないといけなくて、それすなわち100の倍数なのです。

同じ理屈で行くと、1%,3%,7%,9%,11%など、(5の倍数でない奇数)%の増減とあったら、その人数は100の倍数だと確定しますね。

5%や15%、25%ではそうもいきません。例えば120人の5%は60人、36人の25%は9人ですね。まぁ、25%というのは1/4のことですから、4の倍数なら必ず25%も整数になるのですね。一度結果をまとめてみましょう。

x%の増減について、xがいくつのとき、もとの人数はどうなるか。
・5の倍数でない奇数→100の倍数
・5の倍数→20の倍数(1の位が0で、10の位が偶数)
・10の倍数→10の倍数

この程度は覚えておくとどこかで役立つかもしれませんね。ちなみに、この対応をじーっと眺めてみると、xがaの倍数→もとの整数はbの倍数となっているそれぞれにおいて積abは100の倍数になっています。(少し考えるとそこまで不思議なことではないと分かります)

 

では最後にこのことを踏まえてもう1問、実践してみます。

昨年が360人であった。男子-3%、女子+5%、全体で2人増加

まず昨年の男子から攻めます。3%とあるので、100か200か300でしょう。男子300女子60もありえなくないですが、この場合は男子の3%と女子の5%を比較したときに男子3%の方が大きくなってこの場合全体で2人増加にならないでしょう。

たいていこういう問題は男女の人数がそうかけ離れていないと邪推し、男子200女子160が一番答えになりそうだと考え、そう仮定して実際に計算してみます。ダメなら次は男子100、女子260。それもダメなら男子300女子60を計算しましょう。

男子、200の3%は6人
女子、160の5%で8人

これで-6+8=2人増加になっているので、やはり男子200女子160で決まりですね。今年の男女を求めるパートでも、いま男女の増減を計算したのを使って、

今年の男子、200-6=194
今年の女子、160+8=168

はい出ました。

 

問題によっては5%と10%だから全然絞り込めない、ということもあるでしょうし、もしこれが高校以上だったら他に答えがないことは確認してないじゃないか、といったツッコミもくるでしょうが、中学のこの手の文章題なら99.99999%答えは1つなので、答えを出したいだけなら、たぶんこれが一番早いと思います。

 

 

今回は以上です。なぜ3%や7%だともとの人数が100の倍数確定なのか、言葉でさらっと説明するだけにとどめましたが、式を書いて、数学の証明問題のようにきちんと説明するにはどうすればよいか、ということを考えてみることを皆さんへの宿題にしようかと思います。ではまた。

 

 

追記:最近ずっと更新できなくてごめんなさい。

 

written by k

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