【高校英語】大学受験の英語のレベルとは? まずはゴールを知ろう。
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高校受験、お疲れ様でした。
今日は、高校では英語をどのように学んでいくと有利なのかを、大学受験の英語の問題を見ながら教示したいと思います。この記事を読めば、高校受験と大学受験の英語の違いがちょっと分かり「高校受験の勉強のままではいけない」ことがしっかり分かると思います。
現高1生より、センター試験が大きくその方式を変え、生徒の学力をより多面的に測ろうとするものになると予告されていますが、皆さんの第一志望とする私大や国公立の二次試験は恐らくその形態を変えないでしょう。今日は、2018年度の早稲田大学文学部の英語の問題を一部抜粋し、そこから「大学受験で求められる英語力とはどのようなものなのか、高校受験とはどう違うのか?そして、どう勉強していけば良いのか?」を分析します。
他より先にゴールを知った状態で勉強できる人は非常に有利です。今日ここで目指すべきゴールを知っておくか?それとも高3になってから知るか?二者の間には、先を見据えた勉強ができるか、所謂「勉強効率」という点で大きな差が出ますよ!
まずは、今年の早稲田文の英語です。短いので少しチャレンジしてみてください。
(冒頭の英文は、適切な選択肢を解答用紙にマークしてねって指示してます。)
...めちゃめちゃ難しいですね。とてもハイレベルに感じられたのではないでしょうか?今の段階ならば、全く読めてないのが普通でしょう。1番が解けていれば御の字です。(他の答えも気になる人は一番下へ)
この問題の内容を使って、大学受験の英語に関して3つ話をしたいと思います。
(英文は全然読めてなくてOKです!)
①語彙のレベルが非常に高い
まず第一に、単語、熟語ともに非常に難しいです。「大学受験だから当然だろ」と思うでしょうが、高校受験の難しさとは「本質的に」話が違います。
実は「単語帳をしっかり仕上げたとしても、意味の知らない単語が次々に出てくる」のが大学受験の特徴です。
冒頭から"cardinal", "secular", "bizarre", "underwrite"等、はたまた"benefactors", "dissenting", "fragmentaiton"など、選択肢にも難単語が続出し、しかもそれが答えになってしまっています。これらの単語は市販の単語帳にほぼ載っておらず、消去法や接頭語接尾語で類推するしかないものです。高校受験の英語は、文脈から意味の推測できない単語には語注が付されることが多いのですが、見て分かる通り、早稲田の文学部の英語には一切ありません。どんなに勉強しても知らない単語が出てくる、のが大学受験の英語です。
②英文がとても複雑である
2段落 :The church believed that the new astronomy would unsettle and hence expose to arbitrary challenge the very concept of proof and truth.
この英文の構造はかなり難しく、expose A to B 「AをBに曝す」の倒置形:expose to B Aの形をとっています。この手の倒置は受験生が非常に苦手とするものです。しかもこの英文の意味がつかめない限り、直後の6は解けない(ほぼ)です。
高校受験では関西の一部の私立が若干難しい構造の英文を出すだけですが、大学受験は英文自体が読み解きにくい、これがスタンダードです。
③話の抽象度が高い
この英文は"Nostalgia for the Absolute"「神への懐旧」(筆者訳)という文化論の本による一説ですが、絶対の真理にまつわる、教会と科学の時勢を振り返っています。そもそもの話が抽象的で内容が汲み取りづらいため、英文の意味が分かっても読めないのです。高校受験の英語は、非常に分かりやすい内容のものが多いのですが、大学受験は理系・文系ともに実際の学術書から引用されることも多く、難しいのです。
以上①②③と、高校受験の英文と対比しながら見ていきました。どうでしょうか。かなり性質の異なる試験であり、生の英語が読めるか?をしっかり聞いてきています。
では、このような難しい英語に対して、どのような勉強をしていけば良いのでしょうか。(番号で対応させています。)
① 高3までに語彙を仕上げる
市販(学校配布)の単語帳を仕上げても知らない単語が出てきます。これは、単語帳が無意味、ということではなく、標準程度の単語帳は仕上げておかなければお話にならないよ、ということです。語彙は英語力の根幹ですからまず第一に仕上げましょう。
現役合格のためには語彙は高3までに仕上がっていると良いですね。学校の英単語帳は高3までに自力で仕上げておきましょう!
② 文法力(解釈力)をつける。
英文の構造を正確に取り、精度の高い和訳を作れるように、普段から英文の構造に疑問を持った時は、納得するまで考え、調べ、解決する習慣を付けておきましょう。難しい構造と言えど、基礎に則って勉強すれば明快に理解できます。"フォレスト"等、学校で配られる英文法書に付属した問題は自力で全部解けるようにしておきましょう。
③ 国語力をつける
英語も日本語も同じ言語です。考える内容は日本語も英語も同じ。普段から硬派な日本語を読み解く、教養のある人にならなければ、一流の生の英語を読み解くことはできません。少なくとも国語の教科書に載っている論説テーマには通じておきましょう。国語の勉強は英語に活きてきます。国語の授業はしっかりと受けましょう。
どうでしょうか?①語彙に関してはさっさと仕上げ②文法書は自分で進んで解いておく。また③国語の授業はしっかりと受ける、この3つを外さず勉強していけば、少なくとも英語で困ることはないかなと思います。特に③を疎かにする人は点が伸びません。(センターで会話や英作文も問われるので、また話が変わるようですが)
それでは、今日はここまで。
以下は解答解説になります。
[解答] 1.a 2.a 3.d 4.b 5.b 6.d 7.d
[解説]
1 命令文で順接の接続詞andを入れる。
2 選択肢の内 benefactorsのみが、科学者や教師といった肯定的な性質に沿う。
3 科学者の奇行を笑えど、彼らの姿勢を疑問視する冗談はなかったという文脈。
4 だが、教会は科学者に反対していた、という逆説の意味になるのは3のみ。
5 教会にとって、Galileo = threat of change = (5)なのでfragmentation「分裂」が正しい。
6 ガリレオ(地動説)とアインシュタイン(相対性理論)の新旧の*偉人で天文学の不安定さを補足している。アインシュタインから見ればガリレオは誤っているのだ。
7 不安定さは教会へのmenace「脅威」である。論旨の一貫。
* a Galileo や an Einstain なので正しくは、ガリレオのような昔の人、アインシュタインのような新しい人、という意味である。
質問等あればどうぞ。
written by H