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【数学小話】中学校では教えてくれない数の性質⑤ あまりと周期

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互いに素とあまりの周期の関係

p,qは互いに素な自然数とする。pの倍数をqで割った余りは、q個ごとに同じ数が繰り返される。

 

 

例として、p=4, q=7でやってみます。

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 4の倍数を7で割った余りを表にしました。これを見ると、7で割った余りが「4,1,5,2,6,3,0」の7つがループになっていることが分かります。これを周期7のループと呼ぶことにしましょう。
ちなみに、p,qの役割を入れ替えて、7の倍数を4で割った余りを見ると、今度は周期4のループになっています。

では互いに素でない数ならどうなるかを見てみます。p=6, q=8で見てみましょう。

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6の倍数を8で割った余りは「6,4,2,0」の周期4のループに、
8の倍数を6で割った余りは「2,4,0」の周期3のループになっています。 

 

なぜ上は周期4で下は周期3になるのか。それは、6と8の最大公約数が2であり、
8÷2=4
6÷2=3
つまり、最大公約数で割った値が周期になっているのです。

 

 ここまでをまとめると、このようになります。

pの倍数をqで割った余りは、周期が、

   q÷(pとqの最大公約数)

のループになる。

pとqが互いに素なら、最大公約数が1なので、qで割った余りは周期qのループになることもうまくつながっています。

 

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では例題を見てみましょう。

 

例題

5で割って1あまり、6で割り切れる自然数を、小さい方から3つ答えよ。

解答

5で割って1あまる自然数を並べて、それらを6で割った余りを見る。

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5と6は互いに素なので、やはり6で割った余りは周期6のループになっている。
条件を満たす最初の数は6で、次は36、その次は66
よって答えは6,36,66

 

あまりが周期6のループになっていることが分かれば、問題文の条件を満たす最初の数を見つけさえすれば、その次に条件を満たす数は+30すれば求められます。この30というのは、5と6の最小公倍数ですね。

 

この問題のように、「aで割って〇〇、bで割って〇〇」という条件を満たす整数は、aとbの最小公倍数ごとに現れることがほとんどで、それはあまりの周期性によって導かれるのです。

 

 

高校でやる問題を一つ見てみます。

例題

8x+5y=1...① を満たす整数(x,y) を求めよ。

解答

高校で習う解法

(x,y)=(2,-3) は解の一つである。(自力で見つける)
この解を代入した式、
8\times2+5\times(-3)=1...②
ここで①-②を計算すると、このような式が得られる。

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8(x-2)+5(y+3)=0\\8(x-2)=-5(y+3)
ここで、8と5は互いに素なので、kを整数としてx-2=-5k,\ y+3=8kと書ける。よって、
\begin{cases}x=-5k+2\\y=8k-3\ \ (kは整数)\end{cases}

 

中学生以下はこの解答を完全に理解しなくてもよいです。答えだけ見ればよいです。ここでなにを見てみるかというと、
解の一つに(x,y)=(2,-3) がありました。これは、答えの
\begin{cases}x=-5k+2\\y=8k-3\end{cases}
にk=0を代入したものです。次にk=1を代入すると(x,y)=(-3,5) という解が得られます。先ほどの解と比べると、xは5減って、yは8増えています。これはつまり、方程式における8xの値が40減って、5yの値が40増えていて、和は1で変わらない、ということを意味します。ここでの40というのは、やはり5と8の最小公倍数です。

 

このように、最小公倍数が周期となる場面は多く表れます。整数の倍数の問題では、最小公倍数を意識しながら考えるとよいかもしれませんね。

 

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