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【数学小話】中学校では教えてくれない数の性質① -公倍数、公約数-

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高校受験において、整数の性質を知っておかないと解くことが困難な問題は多くあります。例えば以下の問題。皆さんは解けますか?

 

(1) 5で割ると1あまり、6で割ると2あまる自然数のうち、200に最も近いものを求めよ。

(2) 2つの自然数の最小公倍数は100で最大公約数は5である。そのような自然数の組み合わせとして考えられるものをすべて求めよ。

 

特に偏差値が高い高校ほど、このような問題を出題する傾向があります。このような問題を解くために、知っておくべき知識があります。このシリーズでは、中学校では教えてくれないが受験に必須な数の性質に関することを紹介していきます。

 

第一回は、最小公倍数と最大公約数です。

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第4回の記事はこちら
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下準備、素因数分解

2以上の自然数は、1つ以上の素数の積で表すことができます。自然数素数の積で表すことを素因数分解といいます。

例⓪

  6=2 × 3

36=22 × 32

60=22 × 3 × 5

  7=7

素数自身の素因数分解はそのままとします。

 

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互いに素

互いに素とは、2つの自然数の最大公約数が1であることを言います。

これは、2つの自然数の両方を同時に割り切れる数が1のみであると言い換えることもできます。

 

2つの自然数が互いに素かどうかを知るには、2つの自然数素因数分解するのがよいです。ともに同じ素因数を持っていないならば、その2つは互いに素となります。

 

例① 338と455

338=2 × 132

455=5 × 7 × 13

どちらも13という素因数を持っているので、どちらも13で割りきれます。よって、互いに素ではありません。

 

例② 324と245

324=22 × 34

245=5 × 72

お互いの素因数を眺めると、共通するものがありません。つまり、両方を割り切れる素数がないので、互いに素であると言えます。

 

素因数分解が分かっていれば、その自然数が何で割れるのか、商はいくつなのかが簡単に分かります。割る数の素因数を取り除いた残りが商となります。

例③ 455=5 × 72

455は5と7、35や49などで割れます。例えば7で割ると、商は、素因数分解の式から7を1つとって5 × 7=35と求められます。

 

最大公約数と最小公倍数

2つ(しばしば3つ以上)の自然数の最大公約数は、各自然数の約数に全て登場する約数のうち、最も大きいものを言います。

最小公倍数は、それぞれの自然数の倍数に共通して登場するもので、最も小さいものを言います。(この2つは中学校までに習うことだと思います。)

2つの整数の最小公倍数と最大公約数を求める時は、素因数分解を利用すると楽に求められます。

 

・互いに素な2つの自然数の場合

最大公約数は1、最小公倍数はその2つの自然数の積となります。

 

・互いに素でない2つの自然数の場合

最大公約数は、お互いの自然数に共通する素因数のより低い次数のみを抜き出すことで求められます。

最小公倍数は逆に、片方の自然数にしか現れない素因数も含め、より高い次数を抜き出すことで求められます。

 

最大公約数はお互いの共通部分、最小公倍数は少なくとも片方にあるもの、といったイメージでしょうか。

言葉では伝わりにくいので、以下の表をご覧下さい。

 

例④ 84と120

          84=   22  ×3    ×7 
       120=   23   ×3   ×5   
最大公約数 12=   22  ×3    
最小公倍数840=   23  ×3  ×5  ×7

 最大公約数はそれぞれの素因数に共通して登場するものは2と3で、より低い次数をみれば22 × 3 = 12、最小公倍数は登場した素因数全てをみて、次数の高い方を選び、23 × 3 × 5 × 7=840となります。

 

共通する次数の低い方のみを選ぶと最大公約数が、

高い方のみを選ぶと最小公倍数となることが確認できたと思います。 

 

今回は、素因数分解、互いに素、最小公倍数、そして最大公約数について説明しました。次回はこれらのことがらについてより深く掘り下げます。

 

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