【数学小話】無限と有限のお話③
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前回は無限の種類について少しふれました。今回は無限の面白い性質などを紹介します。
前回はこちら
無限の不思議な世界をのぞいてみましょう。
Q1.無限個の飴が入っている瓶から飴を1つ取り出しました。残りはいくら?
A1.無限個。
Q2.無限個の飴が入っている瓶から飴を1000個取り出しました。残りはいくら?
A2.無限個。
Q3.無限個の飴が入っている瓶から飴を999999999999個取り出しました。残りはいくら?
A3.無限個。
Q4.無限個の飴が入っている瓶から飴を無限個取り出しました。残りはいくら?
A4.無限個。
Q5.無限個の飴を、2つの空の瓶に均等に分けました。それぞれの瓶に入っている飴の数は?
A5.無限個。
そもそも無限個の飴というものがないのですが、ようするに、無限個のものからいくつ取り除いても残ったものは無限個であるということです。
無限個の部屋のあるホテルがあり、全ての部屋に人が泊まっています。
Q1.1人の新たなお客さんが来ました。泊めてあげるにはどうすればよいか?
A1.1号室の人は2号室に、2号室の人は3号室に、3号室の人は4号室に...とすれば、全ての人がすべて部屋に泊まりつつ空き部屋が1つできます。
ーここで注意。ー
「一番後ろの部屋にいる人は?」ということを聞く人がいますが、一番後ろの部屋、一番後ろの人などいません。なぜなら無限にあるからです。限りがないのです。終わりなどなく、どこまでいってもただ続きがあるのみです。なので、全ての人が隣の部屋に移動させるとき、一番後ろの部屋、一番後ろの人などないのでどこまでいっても無事となりに移動できる人がいます。なので、全ての人がとなりの部屋に無事移ったと"みなす"のです。
無限であるからこそ起こる摩訶不思議な現象です。
Q2.100人の新たなお客さんが来ました。泊めてあげるにはどうすればよいか?
A2.1号室の人は101号室に、2号室の人は102号室に、3号室の人は103号室に...とすれば、全ての人がすべて部屋に泊まりつつ空き部屋が100個できます。
Q3.無限人の新たなお客さんが来ました。泊めてあげるにはどうすればよいか?
A3.1号室の人は2号室に、2号室の人は4号室に、3号室の人は6号室に...と2倍の数字の部屋に移ります。そうすれば、全ての人が部屋に泊まりつつ空き部屋が無限個できます。
全ての自然数の号室にいた人が全ての正の偶数の号室に移り、全ての奇数の号室が空きました。このことから自然数と正の偶数、正の奇数は同じだけあるということが言えるのです。
大学の数学では、偶数が自然数と同じだけ多くあることを証明する方法を習います。これは中学生でも十分理解可能なので、紹介します。
自然数と同じだけ多くあると示したいものが、1つ2つ3つ…と、番号を付けて全てを網羅できることを言えばよいのです。
偶数{2,4,6,...}であれば、
1番目→2
2番目→4
3番目→6
...
n番目→2×n
とすると、全ての偶数に番号をつけることができます。
全ての偶数に番号がつけられるので、偶数は自然数と同じだけあります。
整数{...,-2,-1,-0,1,2,...}であれば、
1番目→0
2番目→1
3番目→-1
4番目→2
5番目→-2
6番目→3
7番目→-3
8番目→4
9番目→-4
...
2n番目→n
(2n+1)番目→-n
※ nは2以上の整数
このようなルールで行くと、全ての整数に番号が付けられます。
よって、整数と自然数は同じだけあります。
全てのものに番号をつける、それはできて当たり前と思うかもしれません。しかし、世の中には全てに番号を付けきることのできないものも存在します。例えば実数。(中学校までに登場する全ての数をあわせたもの)
なぜ実数が番号を付けられないかを次回話します。
written by k