日比谷高校のススメ

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【数学小話】無限と有限のお話④

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第4回、実数が自然数より圧倒的に多く存在することを証明します。

 前回はこちら

hibiyastudy.hatenablog.com

 

 

 

前回のおさらい。

自然数と同じくらい多くあるものについては、1つ2つ3つ...と番号を付けてすべてを網羅できれば証明完了です。

 

「〇〇は?」「それは✖✖番目だね」というように、どんなものもそれが何番目か答えられれば良いということです。

 

 

ではなぜ実数は1つ2つと全てを数えることができないのか。

さっそく証明に移ります。

※中学生、高校生向けなので少し厳密さに欠いたり、あいまいな表現が使われています。

 

0から1の間の実数でさえも数えきれないので、今回はこの範囲に絞って証明してみます。0から1の実数ですでに数えきれないなら全ての実数も当然数えきれないといえます。

 

(証明)

まず、0より大きく1より小さい実数が仮に数えきれるとします。

そこで、0より大きく1より小さい全ての実数を(どのような順番でもよいから)以下ように並べていきます。

(小数が途中の桁で止まるものは、ここでは後ろに0をずっと続けます。)

1番目 0.10000000...

2番目 0.23232323...

3番目 0.12345678...

4番目 0.74605962...

5番目 0.14159265...

 

さて、無限の小数を並べました。ここで、次のようなルールで小数を1つ作ります

 

1.上で並べた小数を、以下のように赤くした数字を順番に取り出します。

1番目 0.10000000...

2番目 0.23232323...

3番目 0.12345678...

4番目 0.74605962...

5番目 0.14159265...

↓↓↓

0.13309...

 

2.さらに、この小数の小数点以下の全ての数字を以下のルールで変換します。

その数字が0  →1にする

その数字が0以外→0にする

 

0.13309...

↓↓↓

0.00010...

この紫の小数が作りたかったものです。これを「できた小数」と呼びましょう。

 

さて、このできた小数は、上で並べた小数の何番目に登場するのでしょうか。

できた小数と1番目の小数を比べてみます。小数第1位が違いますよね。

できた小数と2番目の小数を比べてみます。小数第2位が違いますよね。

できた小数と3番目の小数を比べてみます。小数第3位が違いますよね。

できた小数と4番目の小数を比べてみます。小数第4位が違いますよね。

...(以下同様に続く)

 

何が分かるかというと、できた小数とn番目の小数は小数第n位が必ず違うということです。

つまり、できた小数は並べた小数どの小数とも一致しないのです。

 

これはおかしいですよね。なぜなら一番最初で「0より大きく1より小さい全ての実数を並べ」たのですから。それなのにこの並べたもののどこにも存在しない実数が存在するのは矛盾しています。

なぜ矛盾するかというと、「0から1の実数は数えきれる」が実は嘘だったからなのです。

よって0から1の実数は数え切れないほど多く存在します。

よって全ての実数も数えきれないほど多く存在します。

証明おわり

 

 

この証明のアイデアカントール対角線論法として有名なものです。カントールは1900年ごろの数学者です。

 

 

4回に分けて無限の簡単なお話をしました。すこしでも無限の面白さ、奥深さが分かっていただけたなら幸いです。

 

 

 

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written by k

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