日比谷高校のススメ

日比谷高校出身者たちが日比谷高校の紹介や、勉強に関する様々なことを語ります。

中学生でも解ける大学入試数学50★ 2018年学習院大

 

問題

6^{789}72^n の約数となるような最小の自然数n を求めよ。 

 

 

ヒント、着眼点

「aがbの約数である」というのは、b÷aが割り切れるということですね。中3で、約数、公倍数などと因数分解の関係を習うかと思います。

 

例①7は28の約数である

28を素因数分解すると、28=22×7となり、7は28の約数だと分かります。

例②12は180の約数である

12と180を素因数分解すると、12=22×3, 180=22×32×5となります。この素因数分解の結果を見れば、約数であることは一目瞭然です。

 

つまり、「aがbの約数である」というのは、

「aの各素因数について、

aの素因数の指数≦bの素因数の指数

がなりたつ」

と言い換えることができます。

 

このように、約数であるかどうかと素因数分解の結果には密接な関係があります。これをうまく生かしましょう。

 

 

以下、解答

 

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解答

395

 


解説

6^{789}=(2\times3)^{789}=2^{789}\times3^{789}

72^n=(2^3\times3^2)^n=(2^3)^n\times(3^2)^n=2^{3n}\times3^{2n} 

より、3nと2nがどちらも789以上になるような最小の自然数n が答えとなる。

2n\geqq789\\n\geqq394.5

よってn=\underline{395}

 

 

 

 

補足

指数の計算について。

(2^3)^n=2^{3n} 

しばしばこのような指数の計算ができない人がこの時期の難関高校受験生にもいます。

(2の3乗)をn乗する、ということは、2の3乗をn個並べることを意味します。

(2^3)^n=\underbrace{2^3\times2^3\times\dots\times2^3}_n 

そもそも2の3乗は、2を3個掛け算したものですから、結局この式には2が3n個並ぶことになります。よって2の3n乗となります。

 

(2^3)^n=\underbrace{2^3\times2^3\times\dots\times2^3}_n=\underbrace{(2\times2\times2)\times(2\times2\times2)\times\dots\times(2\times2\times2)}_{(2\times2\times2)がn個}=2^{3n}

 

 

同様に考えれば、aのp乗をq乗すると、aのp×q乗になります。

(a^p)^q=a^{pq}

 

ちなみに、(aのp乗)×(aのq乗)は、aの(p+q)乗になります。aのp×q乗にはなりません。

a^p\times a^q=a^{p+q}

これもaが何個並ぶかを考えればわかります。

a^p\times a^q\\=\underbrace{a\times a\times\dots\times a}_p\times\underbrace{a\times a\times\dots\times a}_q\\=\underbrace{a\times a\times\dots\times a\times a\times a\times\dots\times a}_{p+q}\\=a^{p+q}

 

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中学生でも解ける大学入試数学49 2019年名大 - 日比谷高校のススメ

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中学生でも解ける大学入試数学51 2019年中央大 - 日比谷高校のススメ

 

 

written by k

日比谷高校漢字講座 Part5

第一問  次の漢字の読みを答えよ。

 

1. 益々のご活躍を期待しております。

2. 先達を務める。

3. 時代劇の殺陣を見る。

4. 畏敬を示す。

5. 殊勝な心がけ

 

 

第二問  次のひらがなを漢字に直せ。

 

1. ゆかりの地

2. もっぱら勉学に打ち込む。

3. しふくして時の至るを待つ。

4. いとまを取って郷里に帰る。

5. りかに冠を正さず

 

 

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以下、答えになります。

 

第一問

1. ますます

2. せんだつ

3. たて

4. いけい

5. しゅしょう

 

第二問

1. 所縁

2. 専ら

3. 雌伏

4. 暇

5. 李下

 

 

【正答率目安】

8問〜: 合格者平均は堅い。

6-7問: 受験者平均並み。さらなる高みを目指しましょう。

〜5問: 要対策。危機感を持って。

 

では、また次回。

 

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日比谷高校漢字講座 Part4 - 日比谷高校のススメ

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written by Akky

中学生でも解ける大学入試数学49★★ 2019年名大

2019年名大理系の問題です。

 

問題
★★

自然数nの正の平方根\sqrt{n} は整数ではなく、小数第1位は0で、小数第2位は0でない数とする。

(1) このようなnの中で最小のものを求めよ。

(2) このようなnで10番目に小さいものを求めよ。

 

 

 

ヒント、着眼点

中3でならう平方根。 普段からいろんな自然数平方根の値がだいたいどれくらいになるかということを考えている人にとっては答えの見当はすぐにつくかと思います。

\sqrt{1},\ \sqrt{2},\ \sqrt{3},\dots と、順番に平方根の値を見ていきましょう。

f:id:hby:20190330153448j:plain

どうやらnが18までには問題の条件を満たすようなnはないようです。

nの値が大きくなると、\sqrt{n} の値も大きくなります。n=1,4,9,16,...といった平方数のときは\sqrt{n} が整数になり、このようなn同士の間隔はどんどん広くなっていきます。(例えば、9の次は16ですが、100の次は121と、nが大きくなれば間隔も広くなります。)

 

具体的に問題の条件を満たす数を1つみてみましょう。

400は(20の2乗だから)平方数ですが、それよりちょっとだけ大きい401の平方根の値は、

\sqrt{401}=20.025...

となり、これは問題の条件を満たしています。401から値が増えていくと、

\sqrt{402}=20.050...\\\sqrt{403}=20.075...\\\sqrt{404}=20.099...\\\sqrt{405}=20.125...\\\sqrt{406}=20.149...

いずれ小数第1位が0でなくなります。

その後、400の次の平方数である441になるまで、\sqrt{n} の値はだいたい20.1, 20.2, 20.3,...と増えていき、20.9まで増えて最終的に\sqrt{441}=21 になります。

よって、「\sqrt{n} の小数第1位が0で小数第2位が0でない」を満たすnがあるとすれば、nはある平方数よりちょっとだけ大きい値であるはずということがいえます。

 

このような数をうまく探していきましょう。最初に現れるのはいくつでしょうか。

 

 

 

 

以下、解答

 

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解答

(1) 26

(2) 145

 

 


解説

\sqrt{n} の整数部分をaとする。「小数第1位が0で小数第2位が0でない」とき、次が成り立つ。

a+0.01\leqq \sqrt{n}<a+0.1...①

それぞれを2乗して、

(a+0.01)^2\leqq n<(a+0.1)^2\\a^2+0.02a+0.0001\leqq n<a^2+0.2a+0.01...②

よって、a^2+0.02a+0.0001a^2+0.2a+0.01 の間に整数があるようなaを考えればよい。a は整数よりa^2 も整数なので、 0.02a+0.00010.2a+0.01 の間に整数があるようなaを考えることになる。

a=1から順に計算していくと、

f:id:hby:20190330160536j:plain

a=5で初めて間に整数1が存在する。このとき、もとの不等式②は

a^2+0.02a+0.0001\leqq n<a^2+0.2a+0.01\\25.1001\leqq n<26.01

であり、この不等式を満たす自然数はn=26。このとき①は

a+0.01\leqq \sqrt{n}<a+0.1\\5.01\leqq \sqrt{n}<5.1

であるから、最小のnは26

 

(2) a=6のとき②と①は

\\36.1201\leqq n<37.21

6.01\leqq \sqrt{n}<6.1

より問題の条件を満たすnは37。

 

a=7のとき②と①は

\\49.1401\leqq n<50.41

7.01\leqq \sqrt{n}<7.1

より問題の条件を満たすnは50。

 

a=8のとき②と①は

\\64.1601\leqq n<65.61

8.01\leqq \sqrt{n}<8.1

より問題の条件を満たすnは65。

 

a=9のとき②と①は

\\81.1801\leqq n<82.81

9.01\leqq \sqrt{n}<9.1

より問題の条件を満たすnは82。

 

a=10のとき②と①は

\\100.2001\leqq n<102.01

10.01\leqq \sqrt{n}<10.1

より問題の条件を満たすnは101と102。

 

a=11のとき②と①は

\\121.2201\leqq n<123.21

11.01\leqq \sqrt{n}<11.1

より問題の条件を満たすnは122と123。

 

a=12のとき②と①は

\\144.2401\leqq n<146.41

12.01\leqq \sqrt{n}<12.1

より問題の条件を満たすnは145と146。

 

以上より、条件を満たすnは小さい方から順に、

26,37,50,65,82,101,102,122,123,145,156

となり、10番目に小さいものは145

 

 

 

 

 

補足

\sqrt{n} の値がaとbの間にある」といわれたら、

a<\sqrt{n}<b\\a^2<n<b^2

とするのが基本です。(問題によっては不等号の記号が≦になることもあります。)

 

中3の数学でも、

問題. \sqrt{40} の整数部分を求めよ。

解答. 36<40<49 だから、6<\sqrt{40}<7より、6

 

ということをしますね。平方根の整数部分を評価するのに、両方から整数ではさみました。今回の問題は、「小数第1位が0で小数第2位が0でない」とあったので、〇.01と〇.1ではさむことで解くのです。

 

 

 

 

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