中学生でも解ける大学入試数学48★★ 2019年京大
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今年の大学入試から。京大の整数問題です。
問題
★★
とする。 と がともに素数となる整数 を全て求めよ。
ヒント、着眼点
※中学生はf(x)という表記を習っていないと思います。これは中学校におけるyと同じようなものです。たとえば、f(1)と書いたら、x=1を代入した値のことなので、5になります。f(n)というのは、xに整数nを代入した値のことです。
f(n)を挟んでいる2本の縦棒は「絶対値」です。ようするに、「f(n)の絶対値」です。
さて、 が素数となるnを実際にいくつか探してみます。そのうえで、答えの見当をつけます。
これを見るに、nが±10までの範囲において、 が素数となるようなnは小さい方から順に、
-6,-3,-2,-1,0,1,3,7
さて、表を眺めてほかになにか特徴がないかを考えると、nが偶数のとき も偶数ということもわかります。偶数のなかで素数なのは2だけなので、どうやらnが0,-2以外の偶数なら常に が素数とならないという予想が立てられます。
仮にこれが実際に成り立つとすると、もうゴールは近いです。
ということで、0,-2以外の偶数なら常に が素数とならないという予想が実際に成り立つことをどう説明すればよいかを考えてみましょう。
「 と がともに素数となる」ということは2連続で素数が現れるということです。
nとn+1は、常に片方が奇数でもう片方が偶数です。
以下、解答
解答
n=0,-1,-2,-3
解説
mを整数として、n=2mのとき、
となるから、 が素数となるのは、 となり、 となるときである。
となるmについて考える。式変形をすると、
となり、 は整数より左辺は4の倍数だから-2となることはない。よって を満たすmは存在しない。
となるmについて考える。式変形をすると、
となるので、
このとき、
以上から、nが偶数のとき、 が素数となるのは のときのみである。
nは整数よりnとn+1は片方が偶数でもう片方は奇数であるから、 と がともに素数となるには、nとn+1のどちらかが0か-2でなければならない。
よって検討すればよいのは、n=0,n+1=0,n=-2,n+1=-2の4つの場合で十分。
n=0のとき、
ともに素数。
n+1=0のとき、つまりn=-1のとき、
ともに素数。
n=-2のとき、
ともに素数。
n+1=-2のとき、つまりn=-3のとき、
ともに素数。
以上から、答えは
n=0,-1,-2,-3
補足
「Aが素数となる」と書いてあるとき、たいていAを文字式として見て因数分解します。Aが2つの積に分解されたなら、Aは素数という条件から、かけられている一つは素数でもう一つが1、または一つが(-素数)でもう一つが-1となります。今回もそれを利用しました。
nとn+1という並びから、連続した2つの整数は片方が奇数でもう片方が偶数ということを使いました。この性質は、整数の性質でかなり重要な事柄です。
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written by k