中学生でも解ける大学入試数学49★★ 2019年名大
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2019年名大理系の問題です。
問題
★★
自然数nの正の平方根 は整数ではなく、小数第1位は0で、小数第2位は0でない数とする。
(1) このようなnの中で最小のものを求めよ。
(2) このようなnで10番目に小さいものを求めよ。
ヒント、着眼点
中3でならう平方根。 普段からいろんな自然数の平方根の値がだいたいどれくらいになるかということを考えている人にとっては答えの見当はすぐにつくかと思います。
と、順番に平方根の値を見ていきましょう。
どうやらnが18までには問題の条件を満たすようなnはないようです。
nの値が大きくなると、 の値も大きくなります。n=1,4,9,16,...といった平方数のときは が整数になり、このようなn同士の間隔はどんどん広くなっていきます。(例えば、9の次は16ですが、100の次は121と、nが大きくなれば間隔も広くなります。)
具体的に問題の条件を満たす数を1つみてみましょう。
400は(20の2乗だから)平方数ですが、それよりちょっとだけ大きい401の平方根の値は、
となり、これは問題の条件を満たしています。401から値が増えていくと、
いずれ小数第1位が0でなくなります。
その後、400の次の平方数である441になるまで、 の値はだいたい20.1, 20.2, 20.3,...と増えていき、20.9まで増えて最終的に になります。
よって、「 の小数第1位が0で小数第2位が0でない」を満たすnがあるとすれば、nはある平方数よりちょっとだけ大きい値であるはずということがいえます。
このような数をうまく探していきましょう。最初に現れるのはいくつでしょうか。
以下、解答
解答
(1) 26
(2) 145
解説
の整数部分をaとする。「小数第1位が0で小数第2位が0でない」とき、次が成り立つ。
それぞれを2乗して、
よって、 と の間に整数があるようなaを考えればよい。 は整数より も整数なので、 と の間に整数があるようなaを考えることになる。
a=1から順に計算していくと、
a=5で初めて間に整数1が存在する。このとき、もとの不等式②は
であり、この不等式を満たす自然数はn=26。このとき①は
であるから、最小のnは26
(2) a=6のとき②と①は
より問題の条件を満たすnは37。
a=7のとき②と①は
より問題の条件を満たすnは50。
a=8のとき②と①は
より問題の条件を満たすnは65。
a=9のとき②と①は
より問題の条件を満たすnは82。
a=10のとき②と①は
より問題の条件を満たすnは101と102。
a=11のとき②と①は
より問題の条件を満たすnは122と123。
a=12のとき②と①は
より問題の条件を満たすnは145と146。
以上より、条件を満たすnは小さい方から順に、
26,37,50,65,82,101,102,122,123,145,156
となり、10番目に小さいものは145
補足
「 の値がaとbの間にある」といわれたら、
とするのが基本です。(問題によっては不等号の記号が≦になることもあります。)
中3の数学でも、
問題. の整数部分を求めよ。
解答. だから、より、6
ということをしますね。平方根の整数部分を評価するのに、両方から整数ではさみました。今回の問題は、「小数第1位が0で小数第2位が0でない」とあったので、〇.01と〇.1ではさむことで解くのです。
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written by k