日比谷高校のススメ

日比谷高校出身者たちが日比谷高校の紹介や、勉強に関する様々なことを語ります。

大学を知ろう!文系編-経済学部編

大学を知ろう、文系編は学部ごとの紹介をします。

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理系-理学部はこちら

 

 

 文系の学部は非常に多種多様です。

・経済学部
政治学
・法学部
・文学部
商学経営学
・心理学部
社会学

 

今回もこのブログメイン筆者の元同級生、経済学部出身の日比谷卒業生からコメントをいただきました。

 

経済学部

経済学部について

政治経済などの分類をする大学もありますが、筆者在学中の大学では特に分類がないため、経済学部一般としてのお話をさせていただきます。なお、大学について深い理解があるわけではないので、参考程度に受け取っていただければと思います。

経済学部で学ぶこと

経済学部ではなにを学んでいるのかと尋ねられると、これですと即答するのは難しく感じます。逆に言えば、それだけ様々なことを学ぶ機会がある学部と理解していただくのが良いかと思います。あるいは、経済学というもの自体がかなり幅広い分野を扱っているとも言えるかもしれません。学部入試の際から数学と歴史は問題選択制になっている大学もあることから、文系とも理系とも限らない学部であることが伺えます。

経済学部で必修とされる主な科目を紹介します。

①マクロ・ミクロ経済学
マクロでは、社会全体としてお金がどのように流れ、どんな仕組みや構成になっているかを扱います。ミクロでは、消費者など個人の経済活動や政策の効果について、主に数式を用いて研究します。効用という概念が使われることが特徴的と言えるかもしれません。

②数学(線形代数微分積分)
上記の経済学で論理的な説明をするのに必要となる数学を学びます。数学としての探究というよりは、実用性の側面が強くなっています。数学に興味がある学生には、解析学など学問性の高い選択科目も用意されています。

③経済学史
経済学は思想的な部分も多くあります。経済学がどのようにして生まれ、それぞれの時代でどのような社会状況・思想のもとで議論がなされてきたかを学びます。数学的な説明だけではなく、社会の捉え方や時代のあり方から考える必要があることが理解できます。

統計学
数学とは別に、大規模なデータを扱う術を学びます。実際のデータから事象の変化や関係性を説明することも必要とされます。統計的計算用のソフトの使い方を習得できる科目も用意されています。

そのほか、選択の科目としては、外国語(一部必修)、経済系科目(簿記・会計・経営学ゲーム理論)、理科系科目(物化地生その他)、一般教養科目(法学・哲学・美術・その他)、講演系科目(実際に企業や法人で活躍している方から業界についてのお話を頂く)、体育(体を動かすことも大切)などが挙げられます。

 

まとめ
経済学部では基本的に、様々な分野を広く浅く学ぶことができます。ゼミでの活動や上級科目の履修によって、より専門的な内容を身につけることも勿論可能です。学部卒業生の就職先としては、やはり銀行や証券会社等の金融系が多くなってはいますが、各種小売店やメーカー、商社、公務員、会計士、エンジニアなどと非常に多様です。人間としての総合力が鍛えられ、挑戦の幅を広く持てることは、この学部の良い点と言えそうです。一方で、自分から意識的に深掘りしていかないと、特化した知識や技術を身につけることは難しく感じます。

以上で経済学部の概念についてのお話を終わりとさせていただきます。

 

以上がいただいたコメントです。ありがとうございました。

 

経済学部の紹介コメント:Ginnon

編集:k

 

大学を知ろう!理系-理学部編

 

大学を知ろう!理系編

 

今回は理学部ついて紹介します。

理学部はおもに

・数学科
・物理学科
・化学科
・生物学科

などがあります。大学によって学科の名称が異なったり、これら以外の学科が設置されていることもあります。

 

今回は、化学科、生物学科に進んだ同級生から各学科のコメントをいただきました。

物理学科のコメントはまだ交渉中です。

 

 

数学科

大学の数学は高校までの数学とかなり異なります。高校までの数学は「問題の解き方を学ぶ」ようなもので、大学の数学は「問題解決に役立つ道具の使い方を学ぶ」ようなものです。高校で新しく三角関数微積を習ったように、大学では新しく群、位相、測度、作用素などといった概念を習います。

大学の数学はとても抽象的ですが、応用の幅が広い、とも言えます。

勉強内容

大学1,2年の間にほとんどの分野で必要な基礎的な概念を学んだあと、基本的に解析、幾何、代数のどれかに進みます。

⓪基礎的な概念
線形代数(行列や線形写像、ベクトル空間)、微分積分、集合と位相、群,環,体といった代数の基礎概念がここに該当します。

①解析
関数の性質を調べます。微分積分、統計などがここに属します。

②幾何
図形の性質を調べます。正確な図が描けない、4次元以上の図形も扱います。ホモロジーホモトピーなどの概念を使う代数トポロジーと、ゴリゴリ計算して空間の曲がり具合を求めたりする微分幾何という分野があります。

③代数
方程式について調べます。ガロア群、代数体といった概念が登場するガロア理論では、5次以上の方程式に解の公式が存在しないことが示されます。

 

全体を通して、とにかく厳密に道具を作る姿勢が求められます。例えば、高校数学における極限は「限りなく近づける」とあり、非常に曖昧です。近づけ方は一通りとは限りませんし、どんな近づけ方でも同じ結果が得られるかどうかも分かっていません。大学ではε-δ論法というものできっちりと定義し、解決します。

このように、どんなこともきっちりと定義し、細かいことに気を配りつつ、きっちりと隙のないように論理を組み立てていくことをします。数を扱うのではなく、数を扱うルールを学ぶ、という方が適しています。

「個々の事象をみて、こんな法則がある」という話よりは、「いろんな事象に隠れているこんな法則、対称性はこんな概念を導入することで見通しがよくなる」という話をするのが数学科です。

 

数学科にむいている人

・数学が好きな人
・論理的思考力のある人
・理屈からきっちり理解するのが好きな人
・根気よく考えるのが好きな人

 

中高生のうちからこんな勉強をして欲しい

文系理系関係なく、何よりも根底にある理屈から隙なくきっちりと理解することです。解法、公式を暗記するなどもっての他です。理屈、仕組みが分かっているから問題が自然と解ける、という状態を目指してください。(難関大入試は難しい問題が多いので個別にテクニックを覚えたりする必要があるのですが…)これが得意な人は数学科に向いています。

英語は最低限必要になります。大学になると英語で書かれた数学書、論文を読むことがあるので。日比谷で平均くらいの英語力があれば十分です。

数学の授業は受け身でなく、どんなささいな疑問も自分で考えて解決しようとしてください。先生が詳しく説明しなかった部分の証明などを自分で補うことも重要です。

 

 

化学科

理学系の化学科では、あらゆる化学現象について広く深く学習します。高校の化学は、理系科目の中でも暗記色の強い科目ですが、大学化学は高校で学習する性質や反応について、その原理から理解することができます。

一方、工学系の学科で、「応用化学科」が多くの大学に設置されています。応用化学科では、化学科と比べて原理よりも「どういう物質・反応があるか」「各性質はどのように材料・薬剤に応用できるか」など、実社会への応用を見据えた内容が多く、「環境化学」「化学工学」など化学科では重視されない科目が設置されています。

化学系の学生は、4年生(大学によっては3年生)から研究室に配属され、それぞれの研究をすることになります。研究については長くなるので割愛し、本記事ではカリキュラムに絞って説明します。

勉強内容

化学科で学習する分野は、大きく「物理化学(高校でいう「理論化学」)」「無機化学」「有機化学」「生化学」に分けられます。それぞれの分野について、高校理科との関係を説明します。

物理化学
高校化学では「原子の構造」「化学結合」「気体の性質」が近いでしょうか。ですがそれよりも高校物理の「原子物理」分野の延長と考えてください。化学現象の全てともいえる電子や分子の振る舞いについて、量子力学から紐解きます。数式をこねくり回す内容が主なので、数学が苦手で化学系に進んだ人はこの分野で地獄を見ます。むしろ高校で数学や物理が好きな人には楽しい分野です。なお、高校理論化学の「気体」「平衡」などの分野は前提知識として扱われることが多い印象です。

無機化学
高校化学では暗記地獄として悪名高い無機化学ですが、大学ではその苦行とは決別できます。暗記してきた錯体やイオンの色についてその呈色原理や、高校であまり触れられなかった固体の性質について学びます。

有機化学
高校の有機化学といえば各反応を知っていることを前提とした、構造決定パズルの印象が強いと思いますが、大学ではこのパズルともお別れです。数多ある有機反応について、電子がどのように移動して反応が起こるのかを1つ1つ細かくみていきます。「化学反応」が好きな人にはこの分野が向いている印象です。(ただし、現代有機化学は経験則に基づく説明が主流なので、演繹的に原理から考えたい人には不満が残るかもしれません。)

生化学
生理現象や生体物質について、化学的観点から学びます。高校化学の「糖、タンパク質」の延長上にある内容と考えてください。

他に、分野を問わず実験には欠かせない知識を学ぶ「分析化学」や、学生実験(レポートが大変!)などがあります。

必要な高校内容の知識

化学科なので化学のみが必要とされると思われがちですが、実は高校物理と数学のほぼ全単元の知識が必要になります。例えば力学は分子運動の議論に、電磁気学原子核と電子にはたらくクーロン力の記述に、波動や微積は電子の波としての振る舞いの議論に、数列は結晶の周期構造の記述に……といったように化学現象を説明するのに不可欠な知識となります。一方生物については、学生が物理・化学を試験科目に入学してくる人が多いため、初等的な内容から説明があります。

化学科に向いている人

高校化学が少しでも好きであれば、化学科を選んで間違いはないでしょう(実生活への応用や工業的製法などを面白いと感じている場合は、応用化学科など工学系の学科も見てみることをお勧めします)。「数学や物理が苦手だから」という動機で選ぶことは、上記のようにあまり推奨できません。

中高生のうちからこんな勉強をしてほしい

他の理系学科と大きく異なることはないように思います。

 

 

生物学科

生物学科は世の中に存在する植物の分類の数だけ分野があると言えるくらい分野広く、未知が沢山あります。

生物学科にむいている人

・自分一人ではなく、皆と協力して探究活動を行うのが得意な人。(分野が広いため自分一人で探求できる領域に限りがある)
・自分や他人が集めた情報を分かりやすくまとめられ、また、分かりやすくに他人に伝えることができる人
・よく観察し、細かい違いに気付くことができる人。細かな気付き(小さいことに疑問を持つ)ができる人
・(実験の作業量が多いため)自ら(実験)計画を立て、自己管理しつつ要領よく実験ができる人→体力ある人。集中力のある人。(分野による)

・根本的なこととして、動物を扱うなら血とか精神が大丈夫なこと。例えばマウスを1日で数十匹自分で頚椎脱臼させて安楽死させてサンプルにする作業をしたりするが、これができること。

 

中高生のうちからこんな勉強をして欲しい

情報収集能力や伝える能力と英語。

 

 

数学科担当 k

化学科担当 T

生物学科担当 Y

大学を知ろう!理系編

新型コロナウイルスによりいつもより早い春休みに突入した皆様、いかがお過ごしでしょうか。今日はそんな暇な日比谷生やこれから日比谷高校を目指す方へ、大学の勉強はどのようなものかを紹介するシリーズを発信します。この機会に、自分の大学受験、進路について考えてみてはいかがでしょうか。このシリーズが皆さまの進路決めの一助になることを願っています。

 

 

もしあなたは理系なら

理系と一口に言っても、その中身は多種多様です。もし理系の大学生になると決意したならば、たいてい以下の5つの学部のどれかを目指すことになります。

・理学部
・工学部
農学部
・医学部、薬学部、歯学部
教育学部

中高生になじみがないのは理学と工学でしょうか。これらの違いはおおまかに、

理学は基礎研究、工学は応用研究

と言えます。

 

・理学

未知への探求、現象の解明を目指す学問です。現象を説明することに重きが置かれます。例えば中学理科で習うオームの法則で言えば、電圧と電流と抵抗の間にどのような関係があるのかを明らかにするのが理学です。ブラックホールはどのようにできるのか。それに吸い込まれるとどうなるのか。宇宙の端から先に向かうとどうなるのか。素数の分布にはどんな法則が存在するのか。といった、仕組みを解明したい!この現象に隠された法則を見つけたい!といった知的欲求が原動力となる学問です。

理学部で学ばれる学問…数学、物理学、化学、生物学、地学など

理学部はさらに数学科、物理学科、などと細かく分かれ、理学部の学生は理学部の中のどこに進むか選ぶことになります。

 

・工学

よりよい道具、よりよいシステムの発明を目指す学問です。今あるものを組み合わせて新しいものを生み出すことに重きが置かれます。オームの法則で言えば、どんな電線、どの抵抗器を使い、どんな風に回路を組めば消費電力が最小になるか、そんなことを考えるのが工学です。よりコンパクトで長持ちする電池の素材は何か。自動運転の車をどう設計するか。どの位置に柱を設置するとより窮屈さを感じない建物ができるのか。といった、より優れたものを生み出したい!人々の役に立ちたい!という気持ちが原動力となる学問です。

工学部で学ばれる学問…機械、電気、情報、土木建築、化学など

工学部は機械工学科、建築学科、などと細かく分かれ、工学部学生は工学部の中のどこに進むか選ぶことになります。

 

農学部

農学部は農業とは限りません。畜産、食糧問題、品種改良、バイオテクノロジー環境保護なども農学部に含まれます。農業を通した地域振興、経営なども扱うため、理系でありながら文系の側面もあったりします。実際に農場や森林で実習をします。

大学によって農学部にどんな学科が設置されているかは異なります。

 

・医学部、薬学部、歯学部

簡単にこれらの違いを言えば、医師をめざすか薬剤師をめざすか歯科医をめざすかの違いです。どれも6年間学ぶことになります。何よりも人の体を癒す、という気持ちが原動力となる学問です。

同じ大学であっても、医学部は他の学部より入試が難しいです。超難しいです。また、入学後もひたすら医学を勉強するので、膨大な勉強量をこなす体力が必要でしょう。医者になれば将来は稼ぎまくり、なんて言われますが、私立大学の医学部は授業料がバカ高いです。国立大学の医学部は国立ゆえに安いですが、偏差値がとても高く、そもそも合格するのが鬼門です。

 

 ・教育学部

主に教師を目指す人が入学する学部です。教員免許を取得し、小中高の教員を目指す場合がほとんどです。また、教育のあり方などを追及する、教育学も学びます。

また、教師を目指すのに、必ずしも教育学部でなければならない、ということはありません。教職課程というものがあり、他の学部であっても教員免許取得のために必要な教育を受けることができます。しかし、在籍する学部本来の勉強に加えて教師になるための勉強もすることになり、授業時間、勉強量が増えたりと、やや大変な側面もあります。

 

 

ということで、おおまかに理系大学生が進むことになる学部を説明しました。文系の学部や、各学部についてさらに詳しい説明も、すぐに投稿する予定です。

 

 

 

written by k

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