日比谷高校のススメ

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大学を知ろう!理系-理学部編

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大学を知ろう!理系編

 

今回は理学部ついて紹介します。

理学部はおもに

・数学科
・物理学科
・化学科
・生物学科

などがあります。大学によって学科の名称が異なったり、これら以外の学科が設置されていることもあります。

 

今回は、化学科、生物学科に進んだ同級生から各学科のコメントをいただきました。

物理学科のコメントはまだ交渉中です。

 

 

数学科

大学の数学は高校までの数学とかなり異なります。高校までの数学は「問題の解き方を学ぶ」ようなもので、大学の数学は「問題解決に役立つ道具の使い方を学ぶ」ようなものです。高校で新しく三角関数微積を習ったように、大学では新しく群、位相、測度、作用素などといった概念を習います。

大学の数学はとても抽象的ですが、応用の幅が広い、とも言えます。

勉強内容

大学1,2年の間にほとんどの分野で必要な基礎的な概念を学んだあと、基本的に解析、幾何、代数のどれかに進みます。

⓪基礎的な概念
線形代数(行列や線形写像、ベクトル空間)、微分積分、集合と位相、群,環,体といった代数の基礎概念がここに該当します。

①解析
関数の性質を調べます。微分積分、統計などがここに属します。

②幾何
図形の性質を調べます。正確な図が描けない、4次元以上の図形も扱います。ホモロジーホモトピーなどの概念を使う代数トポロジーと、ゴリゴリ計算して空間の曲がり具合を求めたりする微分幾何という分野があります。

③代数
方程式について調べます。ガロア群、代数体といった概念が登場するガロア理論では、5次以上の方程式に解の公式が存在しないことが示されます。

 

全体を通して、とにかく厳密に道具を作る姿勢が求められます。例えば、高校数学における極限は「限りなく近づける」とあり、非常に曖昧です。近づけ方は一通りとは限りませんし、どんな近づけ方でも同じ結果が得られるかどうかも分かっていません。大学ではε-δ論法というものできっちりと定義し、解決します。

このように、どんなこともきっちりと定義し、細かいことに気を配りつつ、きっちりと隙のないように論理を組み立てていくことをします。数を扱うのではなく、数を扱うルールを学ぶ、という方が適しています。

「個々の事象をみて、こんな法則がある」という話よりは、「いろんな事象に隠れているこんな法則、対称性はこんな概念を導入することで見通しがよくなる」という話をするのが数学科です。

 

数学科にむいている人

・数学が好きな人
・論理的思考力のある人
・理屈からきっちり理解するのが好きな人
・根気よく考えるのが好きな人

 

中高生のうちからこんな勉強をして欲しい

文系理系関係なく、何よりも根底にある理屈から隙なくきっちりと理解することです。解法、公式を暗記するなどもっての他です。理屈、仕組みが分かっているから問題が自然と解ける、という状態を目指してください。(難関大入試は難しい問題が多いので個別にテクニックを覚えたりする必要があるのですが…)これが得意な人は数学科に向いています。

英語は最低限必要になります。大学になると英語で書かれた数学書、論文を読むことがあるので。日比谷で平均くらいの英語力があれば十分です。

数学の授業は受け身でなく、どんなささいな疑問も自分で考えて解決しようとしてください。先生が詳しく説明しなかった部分の証明などを自分で補うことも重要です。

 

 

化学科

理学系の化学科では、あらゆる化学現象について広く深く学習します。高校の化学は、理系科目の中でも暗記色の強い科目ですが、大学化学は高校で学習する性質や反応について、その原理から理解することができます。

一方、工学系の学科で、「応用化学科」が多くの大学に設置されています。応用化学科では、化学科と比べて原理よりも「どういう物質・反応があるか」「各性質はどのように材料・薬剤に応用できるか」など、実社会への応用を見据えた内容が多く、「環境化学」「化学工学」など化学科では重視されない科目が設置されています。

化学系の学生は、4年生(大学によっては3年生)から研究室に配属され、それぞれの研究をすることになります。研究については長くなるので割愛し、本記事ではカリキュラムに絞って説明します。

勉強内容

化学科で学習する分野は、大きく「物理化学(高校でいう「理論化学」)」「無機化学」「有機化学」「生化学」に分けられます。それぞれの分野について、高校理科との関係を説明します。

物理化学
高校化学では「原子の構造」「化学結合」「気体の性質」が近いでしょうか。ですがそれよりも高校物理の「原子物理」分野の延長と考えてください。化学現象の全てともいえる電子や分子の振る舞いについて、量子力学から紐解きます。数式をこねくり回す内容が主なので、数学が苦手で化学系に進んだ人はこの分野で地獄を見ます。むしろ高校で数学や物理が好きな人には楽しい分野です。なお、高校理論化学の「気体」「平衡」などの分野は前提知識として扱われることが多い印象です。

無機化学
高校化学では暗記地獄として悪名高い無機化学ですが、大学ではその苦行とは決別できます。暗記してきた錯体やイオンの色についてその呈色原理や、高校であまり触れられなかった固体の性質について学びます。

有機化学
高校の有機化学といえば各反応を知っていることを前提とした、構造決定パズルの印象が強いと思いますが、大学ではこのパズルともお別れです。数多ある有機反応について、電子がどのように移動して反応が起こるのかを1つ1つ細かくみていきます。「化学反応」が好きな人にはこの分野が向いている印象です。(ただし、現代有機化学は経験則に基づく説明が主流なので、演繹的に原理から考えたい人には不満が残るかもしれません。)

生化学
生理現象や生体物質について、化学的観点から学びます。高校化学の「糖、タンパク質」の延長上にある内容と考えてください。

他に、分野を問わず実験には欠かせない知識を学ぶ「分析化学」や、学生実験(レポートが大変!)などがあります。

必要な高校内容の知識

化学科なので化学のみが必要とされると思われがちですが、実は高校物理と数学のほぼ全単元の知識が必要になります。例えば力学は分子運動の議論に、電磁気学原子核と電子にはたらくクーロン力の記述に、波動や微積は電子の波としての振る舞いの議論に、数列は結晶の周期構造の記述に……といったように化学現象を説明するのに不可欠な知識となります。一方生物については、学生が物理・化学を試験科目に入学してくる人が多いため、初等的な内容から説明があります。

化学科に向いている人

高校化学が少しでも好きであれば、化学科を選んで間違いはないでしょう(実生活への応用や工業的製法などを面白いと感じている場合は、応用化学科など工学系の学科も見てみることをお勧めします)。「数学や物理が苦手だから」という動機で選ぶことは、上記のようにあまり推奨できません。

中高生のうちからこんな勉強をしてほしい

他の理系学科と大きく異なることはないように思います。

 

 

生物学科

生物学科は世の中に存在する植物の分類の数だけ分野があると言えるくらい分野広く、未知が沢山あります。

生物学科にむいている人

・自分一人ではなく、皆と協力して探究活動を行うのが得意な人。(分野が広いため自分一人で探求できる領域に限りがある)
・自分や他人が集めた情報を分かりやすくまとめられ、また、分かりやすくに他人に伝えることができる人
・よく観察し、細かい違いに気付くことができる人。細かな気付き(小さいことに疑問を持つ)ができる人
・(実験の作業量が多いため)自ら(実験)計画を立て、自己管理しつつ要領よく実験ができる人→体力ある人。集中力のある人。(分野による)

・根本的なこととして、動物を扱うなら血とか精神が大丈夫なこと。例えばマウスを1日で数十匹自分で頚椎脱臼させて安楽死させてサンプルにする作業をしたりするが、これができること。

 

中高生のうちからこんな勉強をして欲しい

情報収集能力や伝える能力と英語。

 

 

数学科担当 k

化学科担当 T

生物学科担当 Y

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