中学生でも解ける大学入試数学10★★ 2008年北大文系
↓ここからカテゴリー別に記事を見ることができます。↓
このシリーズでは初めての確率の問題です。確率は高校の数学でも習いますが、新しいことを多くは学びません。中学校で習う確率が十分理解できていれば高校の確率も、大学入試の確率もある程度解けてしまうのです。
2008年文系第4問。
問題
★★
1から6の目が等確率ででるさいころを4回振る。
(1) 出た目の最小値が1である確率を求めよ。
(2) 出た目の最小値が1で最大値が6である確率を求めよ。
ヒント、着眼点
さいころを4回振るので、さいころの目の組み合わせは6×6×6×6=1296通り。
この数字が分母となります。
(1) 出た目の最小値が1となる組み合わせが何通りあるかを求めます。
「出た目の最小値が1となる」=「少なくとも1回は1の目がでる」
この言い換えでピンと来たならば、そこまで苦戦せずに(1)は解けるでしょう。
(2) 最小値が1で最大値が6となる組み合わせが何通りあるかを求めます。
「最小値が1で最大値が6となる」=「少なくとも1回ずつは1と6の目がでる」
として(1)の応用が利くか考えるのもよいです。(1)ほど素直にはいきませんが。
少なくとも2つの目の数字が1と6に固定されているので、全ての通りを数え上げるのも不可能ではなさそうです。
以下、解答
解答
(1) 671/1296
(2) 151/648
解説
まず、さいころを4回振ると6×6×6×6=1296通り。これが分母の数字となります。
(1)ヒントにある通り、「少なくとも1回1の目がでる」総数を最終的に求めます。
この余事象を考えると、「1回も1の目が出ない」→「4回とも2から6のいずれかが出る」となり、 これが54=625通りあるので、
「少なくとも1回1の目がでる」のは1296-625=671
よって671/1296
(2)場合分けをしてみます。「2から6のいずれか」をaと書くことにします。
条件を満たすさいころ4回の目の種類を小さい順に並べて場合分けします。
①1116
②1166
③1666
④11a6
⑤1a66
⑥1aa6
この6パターンが考えられます。それぞれ並び替えて何通りあるかを数えます。
① 1116,1161,1611,6111の4通り
② 1166,1616,6116,1661,6161,6611の6通り
③ 1666,6166,6616,6661の4通り
④ aに入る数字が2から5の4通り。11a6を並び替えると12通りあるので、4×12=48通り
⑤ ④と同じなので48通り
⑥ まず1と6の位置を定めます。
1aa6
1a6a
16aa
61aa
a16a
a1a6
6a1a
a61a
aa16
6aa1
a6a1
aa61
この12通りが考えられ、そのそれぞれでaに4つの数字が入るので12×4×4=192通り
①から⑥までを足して302通り。
よって302/1296=151/648
(2) ベン図を用いた解法
上のようなベン図を考えます。2つの円をそれぞれ「最小が1でない」「最大が6でない」に対応させます。そうすると求めるべき「最小が1、最大が6」は2つの円の外側にあたります。まずは2つの円の内側が何通りか求め、1296からそれを引きます。
625+625-256=994
1296-994=302
と、簡単に求められます。
前回
中学生でも解ける大学入試数学9 1970年東大 - 日比谷高校のススメ
次回
中学生でも解ける大学入試数学11 1977年北大文系 - 日比谷高校のススメ
written by k