日比谷高校のススメ

日比谷高校出身者たちが日比谷高校の紹介や、勉強に関する様々なことを語ります。

日比谷高校漢字講座 Part3

第一問  次の漢字の読みを答えよ。

 

1. 煩雑な計算問題を解く。

2. 浅薄な思考を咎められる。

3. 従来のやり方に固執する。

4. 虚空を見つめる。

5. 悪口雑言の限りを尽くす。

 

 

第二問  次のひらがなを漢字に直せ。

 

1. 孫の顔を見てそうごうを崩す。

2. しょもうされた製品を納品する。

3. 彼の仮説はあながち間違いではない。

4. 計画のかなめを担う。

5. よういしゅうとうな対策

 

 

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以下、答えになります。

 

第一問

1. はんざつ

2. せんぱく

3. こしつ

4. こくう

5. あっこうぞうごん

 

第二問

1. 相好

2. 所望

3. 強ち

4. 要

5. 用意周到

 

『相好を崩す』は、読み問題として出てもおかしくありません。

 

【正答率目安】

8問〜: 合格者平均は堅い。

6-7問: 受験者平均並み。さらなる高みを目指しましょう。

〜5問: 要対策。危機感を持って。

 

では、また次回。

 

前回

日比谷高校漢字講座 Part2 - 日比谷高校のススメ

次回

日比谷高校漢字講座 Part4 - 日比谷高校のススメ

 

 

written by Akky

【数学小話】aのb乗とbのa乗はどちらが大きいか

さて、どちらが大きいか当ててみてください。実際に計算するもよし、概算や直感で判断するもよし、です。

 

 

問題

問題1. どちらが大きいか。

(1) 34と43
(2) 510と105
(3) 1011と1110

 

 

答え1.

(1) 34=81, 43=64より、34
(2) 510=9765625, 105=100000より、510
(3) 1011=100000000000, 1110=25937424601より、1011

 

さて、これらを見ると、こんな法則があるように思えてきます。

a<bならば、ab>ba

ようするに、指数の値が大きい方が大きい、という法則があるような気がします。

 

では、次の問題はどうでしょうか。
問題2. どちらが大きいか。

(1) 23と32
(2) 110000と100001

 

 

答え2.

(1) 23=8, 32=9より、32
(2) 110000=1, 100001=10000より、100001

 今回の問題は全て先ほどと逆の結果になりました。指数の値が小さい方が大きくなりました。どうやら一筋縄ではいかないようです。

 

 

問題3. 大小を比較せよ。

24と42

 

 

答え3.

24=16, 42=16より、等しい

 

なんと等しい例まで出てきてしまいました。もうわけわからん。

 

 実は、このような事実があります。

a<bを満たす自然数a,bについて、以下が成り立つ。

(1) a=1または(a,b)=(2,3)のとき、ab<b

(2) (a,b)=(2,4)のとき、ab=ba

(3) それ以外のとき、ab>ba

なかなか興味深いです。小さい方の値が1でないとき、たった2例を除き、指数の値が大きい方が大きくなるのです。何故そうなのかは後で分かります。

では、考える対象を自然数から0より大きい実数全てに広げて考えるとどうなるでしょうか。さらに不思議なことになります。

0<a<bなる正の実数について、abとbaの大小関係はどうなるか。

さて、これをどうやって解決すればいいかというと、高2で習う対数と、高3で習うlogの微分の知識を使います。まだ対数、logを習っていない人は、テキトーに流し読みしてもらって構いません。赤字だけ読めば十分わかるようになっています。

 

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logを使って解析する

 0<a<b とする。
a^b>b^a\\\Leftrightarrow \log a^b>\log b^a\\\Leftrightarrow b\log a>a\log b\\\displaystyle\Leftrightarrow \frac{\log a}{a}>\frac{\log b}{b}
ab<baのときも同様に考えると関数f(x)を、
\displaystyle f(x)=\frac{\log x}{x}\ (x>0)
とすれば、
a^b>b^a\\\displaystyle\Leftrightarrow f(a)>f(b)
ab<baのときも同様に考えると、f(a)とf(b)の大小関係とabとbaの大小関係は一致する。
f(a)という表記に馴染みのない方は、要するにy=f(x)という式にx=aを代入した時のyの値のことと思ってください。
y=f(x)のグラフを書いてみましょう。この程度であれば高3理系の定期テスト~入試レベルです。高3理系であれば微分して増減表まで書けるように。
\displaystyle f(x)=\frac{\log x}{x}\ (x>0)
1回微分、2回微分するとそれぞれ、
\displaystyle f'(x)=\frac{\frac{1}{x}\cdot x-\log x\cdot1}{x^2}=\frac{1-\log x}{x^2}

\displaystyle f''(x)=\frac{-\frac{1}{x}\cdot x^2-(1-\log x)\cdot 2x}{x^4}=\frac{2\log x -3}{x^3}


f'(x)=0 とすると、x=e
f''(x)=0 とすると、x=e\sqrt{e}
増減表は以下の通り。

f:id:hby:20190318014215j:plain

グラフは以下のようになります。変曲点は使わないので、結局2回微分の必要はありませんでしたが、計算練習、紹介ということで。

f:id:hby:20190318015645j:plainこのグラフは、x→0でy→-∞、x→∞でy→0となります。
グラフの最大値はx=eのとき1/eです。eはネイピア数という特別な定数で、e≒2.7です。
これと先ほどのf(a)とf(b)の大小関係とabとbaの大小関係は一致するとをグラフに当てはめてみると、このようなことが言えます。

xが自然数のときのf(x)の値を考えると、大きい順に、
f(3)>f(2)=f(4)>f(5)>f(6)>f(7)>...>f(1)
よって、例えば、
f(3)>f(2)だから、32>23
f(4)>f(7)だから、47>74

これが先程紹介した、自然数におけるabとbaの関係の理由です。

 また、xが0より大きい実数のときを考えると、次がいえます。

0<a<b≦eなら、常にab<ba

e≦a<bなら、常にab>ba

0<a<e<bなら、どちらの場合もあり得る

 ということで、一つ面白いことが分かりました。
xが0より大きく、eでないどんな実数でも、xe<ex
一番強いのはeの累乗でした(?)。つまり、
100eよりe100の方が大きい。
100000eよりe100000の方が大きい。
9999999999eよりe9999999999の方が大きい。
このようなことが成り立つのは、実数の中でもeのみです。

 

aとbがeの値をまたいでいるときは、実際にf(a)とf(b)を計算するか、直接abとbaを計算して比べることになります。
ただし、グラフの0<x<1の範囲ではf(x)<0で、x>1ではf(x)>0なので、0<a<1<bならab<baです。

 

eとは?

 ネイピア数eは、高3理系の数IIIでこのように登場します。
\displaystyle e=\lim_{n \to \infty} \biggr(1+\frac{1}{n}\biggr)^n
\displaystyle\lim_{n \to \infty}という記号は、nを無限大に持って行ったときに近づく値、という意味です。この式を見ると、式の言っている内容は、感覚的には「1の無限乗」になってその値は1になりそうに思えますが、実は、2.718281828459045...というある値に近づくのです。この値をネイピア数と呼び、eと表すのです。eにはさまざまな性質、特徴があります。有名なものでいえば、
\displaystyle e=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+\dots
など。ほかにも、eは統計学金利計算などでも活躍します。

 

関連する有名な問題

\displaystyle e^{\pi},\  \pi^eの大小を比較せよ。 

 

大きいのは\displaystyle e^{\pi} です。
ちなみに、
\displaystyle e^{\pi}=23.1406...\\\pi^e=22.4591...
です。

 

 

 

written by k

中学生でも解ける大学入試数学46★★ 2011年日本工大

 

問題
★★

a^2+b^2=13, a^4+b^4=97のとき、a^3+b^3の値を求めよ。ただし、a+b>0, ab>0とする。

 

 

ヒント、着眼点

対称式

対称式とは、変数を入れ替えても変わらない多項式のことをいいます。

中学数学でも言葉は習わずに少しだけ登場します。

例えば、これらが対称式です。

x+y,\ x^2+3xy+y^2,\ a+b+c,\ a^2+b^2+c^2+abc

文字が2つのときはその2つを入れ替えても変わらない、3つのときはその3つをどう入れ替えても変わらないものが対称式です。

 

対称式の重要な性質として、どんな対称式も基本対称式で表すことができるというものがあります。

基本対称式

文字2つ(x,y) x+yxy

文字3つ(x,y,z) x+y+zxy+yz+zxxyz

x^2+y^2=(x+y)^2-2xy

\displaystyle\frac{1}{x}+\frac{1}{y}=\frac{x+y}{xy}

x^2+y^2+z^2=(x+y+z)^2-2(xy+yz+zx)
\displaystyle\frac{1}{x}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z}=\frac{xy+yz+zx}{xyz}

 

 

この問題では、登場するa^2+b^2,\ a^4+b^4,\ a^3+b^3はすべて対称式です。まずはa^2+b^2を基本対称式で表しましょう。

(a+b)^2-2ab=a^2+b^2 ですね。

 

以下、解答

 

 

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解答

 35

 


解説

a^2+b^2=13...①, a^4+b^4=97...②

 

①の両辺を2乗すると、

a^4+2a^2b^2+b^4=169...③

ここで、③に②を代入すると、

97+2a^2b^2=169\\2a^2b^2=72

ab>0だから、ab=6

 

(a+b)^2-2ab=a^2+b^2より、①は、(a+b)^2-2ab=13 となる。

ab=6 を代入して、

(a+b)^2-12=13\\(a+b)^2=25

a+b>0だから、a+b=5

(a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3=a^3+b^3+3ab(a+b)

より、

a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)=5^3-3\times6\times5=\underline{35}

 

 

補足

対称式の問題はこのように、基本対称式の値に注目するのがセオリーです。

 

ちなみに、a+b=5,ab=6だったので、aとbは2と3ということがわかります。この問題はaとbの大小について書かれていないので、どっちが2でどっちが3かは分かりませんが。もちろん、どっちがどっちだろうと問題の答えには影響ありません。

 

 

 

前回

中学生でも解ける大学入試数学45 2002年関西大 - 日比谷高校のススメ

次回

中学生でも解ける大学入試数学47 1999年神戸大 - 日比谷高校のススメ

 

 

written by k

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