中学生でも解ける大学入試数学45★★ 2002年関西大
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前回までは高校入試前ということで高校入試の過去問を紹介していましたが、今回からはそれ以前のように、大学入試の問題の紹介に戻ります。
問題
★★
連立方程式 について、以下の問いに答えよ。
(1)解が存在しないときのaの値を求めよ。
(2)解が無数に存在するときのaの値を求めよ。
ヒント、着眼点
中学校的な方法でこの問題を解くことができます。
中学校で1次関数を習います。その単元で、連立方程式の解と2つの式が表す直線の交点の座標が対応していると習います。
そこで、この問題を連立方程式としてではなく、2つの1次関数とグラフの問題としてとらえてみましょう。
さて、解が存在しない、無数に存在するとは1次関数のグラフ上ではどういう風に言い換えることができるのでしょうか。
以下、解答
解答
(1) 3
(2) -1
解説
連立方程式の解と2つの式が表す直線の交点の座標は同じということから解が存在しない、無数に存在するをいいかえると、
解が存在しない→2つの直線の交点がない→2直線が平行で重なっていない
解が無数に存在する→2つの直線の交点が無数にある→2直線が平行で完全に重なっている
こうなります。
それぞれyについて解いて、
2直線が平行になるということは、傾きが等しいということなので、
これを解けば が得られます。そして、それぞれのaの値のとき切片が異なれば2直線は平行で交点を持たず、等しくなれば2直線は完全に重なります。
のとき、
より2直線は平行で交点を持たない。
のとき、
より2直線は完全に重なる。
補足1
a=3のとき、解を持ちませんでした。このときの連立方程式をもう一度みてみると、
(1)を3倍すると、
左辺が同じ(3x+6y)なのに、片方は-3、もう片方は1と等しいという式ができます。これではxとyにどんな値の組を代入しても解にはなりえません。
a=-1のとき、解が無数に存在しました。このときの連立方程式をもう一度みてみると、
(2)を-1倍すると、
まったく同じ式が2つできました。これはもはや連立方程式ではなく、変数が2つの1つの式となります。
このとき、解は無数に存在します。
(x,y)=(1,-1),(3,-2),(5,-3),(7,-4),(9,-5),(11,-6),...
例えばこのように、xを2増やし、yを1減らせば好きなだけ解を見つけることができます。もちろん、整数の解だけでなく有理数、無理数の解もあります。
補足2
解説における解法は、厳密には足りない記述があります。主に高校以上での話になりますが、定数を含むもので除算をするときは、それが0でないことを宣言しなければなりません。
これを、
こうするとき、(1)と(2)はそれぞれ両辺を(a-1)、(a+3)で割る手順を経ます。なので、(a-1)、(a+3)が0でないこと、つまりa≠1,-3であることを宣言しなければなりません。これは、a=1,-3がこの問題の答えではないことを言えばよいです。例えば以下のように記述します。
a=1を代入すると、連立方程式は、
となって、x=-1,y=1/2という解のみを持つから不適。よってa≠1
a=-3を代入すると、連立方程式は、
となって、x=-1/3,y=1/6という解のみを持つから不適。よってa≠-3
不適というのは、問題の答えとして適さない、という意味で、つまりこれからこの問題を解くにあたってaは1と-3以外の値をもつ定数とみてよい、という意味です。そうすると(a-1)、(a+3)は0でないから除算ができる、という流れになります。
前回
中学生でも解ける外伝 高校入試難問44 計算問題詰め合わせ② - 日比谷高校のススメ
次回
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written by k