日比谷高校のススメ

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【数学小話】1,2,3,〇,5,...さて、〇に入るのは?

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簡単な問題を出します。

1,2,3,〇,5,...

さて、〇に入るのはいくつ? 

 いやー簡単ですねぇ。当然答えは2019です。当たり前ですね。

え?答えは4じゃないかって?いやいや。

この数の並びは、

\displaystyle -\frac{2015}{6}x^4+\frac{22165}{6}x^3-\frac{82615}{6}x^2+\frac{122921}{6}x-10075

x=1,2,3,4,5,...を順に代入したものですから。4になるわけがありません。ちなみに6以上を代入すると全然違う数になります。0以下も同様。

 

茶番終わり

 

ということで、今回の話は、好きな値を代入して好きな値になるような関数を作る話です。上で登場した4次多項式も、この方法を用いて作りました。

 

・n個の点を通る多項式

中学2年で、一次関数を習います。ここで、2つの点を通る直線の式を求める方法を習います。2つの点を通る直線の式は、y=ax+bと書けます。

高校では、3つの点を通る2次関数の求め方を習います。

3つの点を通る式は、y=ax^2+bx+cと書けるのです。

これを一般化すると、n個の点を通る式は、n-1次多項式で書けるのです。*1

実は、与えられたn個の点を通るn-1次多項式は1つだけ存在します。*2

 

・ 中学生的なやり方で求める

ではnが小さい値の時で、具体的にやってみます。

例題

(1,1), (2,4), (4,22)を通る2次多項式を求めよ。

解答

y=ax^2+bx+cとおく。(1,1)を通るから、

1=a\times1^2+b\times1+c...①

(2,4)を通るから、

4=a\times2^2+b\times2+c...②

(4,22)を通るから、

22=a\times4^2+b\times4+c...③

①,②,③を連立して解くと、

a=1,b=2,c=-2

よって、

 x^2+2x-2

 

この解法に習えば、もし点が4個ならy=ax^3+bx^2+cx+dとおいて、4つの点の座標を代入して4つの式を作り、連立方程式を作って解く。一般に点がn個ならy=a_1x^{n-1}+a_2x^{n-2}+...+a_{n-1}x+a_{n}とおいてn個の式からなる連立方程式を作れば理論上解けるはずです。

しかし、文字が多くなると連立方程式を解くのが面倒です。そこで、同じ問題で次の方法を見てみます。

 

例題

(1,1), (2,4), (4,22)を通る2次多項式を求めよ。

さて、唐突ですが、(x-2)(x-4)というものを考えます。これは、x=1を代入したときは0でない何かになり、x=2,4を代入したときは0になります。

(x-1)(x-4)を考えます。これは、x=2を代入したときは0でない何かになりますが、x=1,4を代入したときは0になります。

(x-1)(x-2)ではどうなるかは書かなくてもわかるでしょう。

この使い勝手の良さを利用して、このように解くことができます。

解法

y=a(x-2)(x-4)+b(x-1)(x-4)+c(x-1)(x-2)

とおく。(1,1)を通るから、

1=a(1-2)(1-4)+0+0

(2,4)を通るから、

4=0+b(2-1)(2-4)+0

(4,22)を通るから、

22=0+0+c(4-1)(4-2)

これらから、a=\frac{1}{3},b=-2,c=\frac{11}{3}

これをもとの式に代入して整理すると、

x^2+2x-2となる。

 

このように、与えられた点のx座標1つをのぞいた全てを代入したら0になるものを用意すると、1回の代入で1つの文字が求まるのです。かなり画期的です。分数がでてきてそれはそれで面倒ですが、連立方程式を解かなくても求められるという点がよいです。

さて、今の解法に、

1=a(1-2)(1-4)+0+0

4=0+b(2-1)(2-4)+0

22=0+0+c(4-1)(4-2)

この3つの式がでてきました。これらをすこしいじれば、

a=\frac{1}{(1-2)(1-4)}

b=\frac{4}{(2-1)(2-4)}

c=\frac{22}{(4-1)(4-2)}

が得られます。すると、y=a(x-2)(x-4)+b(x-1)(x-4)+c(x-1)(x-2) に代入して、

\displaystyle y=\frac{(x-2)(x-4)}{(1-2)(1-4)}+4\frac{(x-1)(x-4)}{(2-1)(2-4)}+22\frac{(x-1)(x-2)}{(4-1)(4-2)}

a,b,cという変数がなくなりました。つまり、最初から求める多項式が形式的に与えられているということです。この式の見た目をよーく観察すると、次のことが言えます。

3点(a_1,b_1),(a_2,b_2),(a_3,b_3)を通る2次多項式は、

\displaystyle\large y=b_1\frac{(x-a_2)(x-a_3)}{(a_1-a_2)(a_1-a_3)}+b_2\frac{(x-a_1)(x-a_3)}{(a_2-a_1)(a_2-a_3)}+b_3\frac{(x-a_1)(x-a_2)}{(a_3-a_1)(a_3-a_2)}

 と表される。

最初の項を見ると、1つめのy座標に、ある分数がかけられていて、その分数は、分子が(x-(1つめでないx座標))の積、分母は(1つめのx座標-1つめでないx座標)の積となってます。2つめ以降の項も同様です。

そして、これは点の個数が増えても通用します。では、この記事冒頭のやつをやってみます。

 

問題

(1,1),(2,2),(3,3),(4,2019),(5,5)を通る4次多項式を求めよ。

解答

公式に当てはめる。

\displaystyle y=1\frac{(x-2)(x-3)(x-4)(x-5)}{(1-2)(1-3)(1-4)(1-5)}+2\frac{(x-1)(x-3)(x-4)(x-5))}{(2-1)(2-3)(2-4)(2-5)}\\\displaystyle\ \ \ +3\frac{(x-1)(x-2)(x-4)(x-5)}{(3-1)(3-2)(3-4)(3-5)}+2019\frac{(x-1)(x-2)(x-3)(x-4)}{(4-1)(4-2)(4-3)(4-5)}\\\displaystyle\ \ \ +5\frac{(x-1)(x-2)(x-3)(x-4)}{(5-1)(5-2)(5-3)(5-4)}

これを整理すると、

\displaystyle -\frac{2015}{6}x^4+\frac{22165}{6}x^3-\frac{82615}{6}x^2+\frac{122921}{6}x-10075

となる。

 

展開して整理するのは気合でやりました。(PCによる計算を併用)

ということで、皆さんもぜひ好きな点を通る多項式を作って遊んでみてください。点の個数が増えすぎると手計算では不可能になるので、規模はほどほどに。

 

 

最後に、一般にn+1個の点を通るn次多項式はどう書けるかを見てみます。

ラグランジュ補間

n+1個の点(a_0,b_0),(a_1,b_1),(a_2,b_2),...,(a_n,b_n)を通るn次多項式L(x)は次のようにあらわされる。

\displaystyle\large L(x)=\sum_{i=0}^{n}y_i F_i(x)

ただし、\displaystyle F_i(x)=\prod_{k\neq i}\frac{x-x_k}{x_i-x_k}

結構複雑なので詳しい説明はやめます。\sumは高校で習う総和を表すもので、この文字はギリシャ文字のシグマです。\prodは総乗を表すもので、ギリシャ文字のパイです。詳しいことは高校で習うか各自調べてください。(丸投げ)

 

 

written by k

*1:実際は、n-1次以上多項式です。例えば、与えられた2個の点を通る5次多項式を作ることもできます。

*2:例外あり。例えば、(1,2)と(1,3)を通る多項式はありません。例えば、(1,1),(2,2),(3,3),(4,4)を通る多項式はy=xで、3次多項式ではありません。

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