【数学小話】1,2,3,〇,5,...さて、〇に入るのは?
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簡単な問題を出します。
1,2,3,〇,5,...
さて、〇に入るのはいくつ?
いやー簡単ですねぇ。当然答えは2019です。当たり前ですね。
え?答えは4じゃないかって?いやいや。
この数の並びは、
にを順に代入したものですから。4になるわけがありません。ちなみに6以上を代入すると全然違う数になります。0以下も同様。
茶番終わり
ということで、今回の話は、好きな値を代入して好きな値になるような関数を作る話です。上で登場した4次多項式も、この方法を用いて作りました。
・n個の点を通る多項式
中学2年で、一次関数を習います。ここで、2つの点を通る直線の式を求める方法を習います。2つの点を通る直線の式は、と書けます。
高校では、3つの点を通る2次関数の求め方を習います。
3つの点を通る式は、と書けるのです。
これを一般化すると、n個の点を通る式は、n-1次多項式で書けるのです。*1
実は、与えられたn個の点を通るn-1次多項式は1つだけ存在します。*2
・ 中学生的なやり方で求める
ではnが小さい値の時で、具体的にやってみます。
例題
(1,1), (2,4), (4,22)を通る2次多項式を求めよ。
解答
とおく。(1,1)を通るから、
(2,4)を通るから、
(4,22)を通るから、
①,②,③を連立して解くと、
よって、
この解法に習えば、もし点が4個ならとおいて、4つの点の座標を代入して4つの式を作り、連立方程式を作って解く。一般に点がn個ならとおいてn個の式からなる連立方程式を作れば理論上解けるはずです。
しかし、文字が多くなると連立方程式を解くのが面倒です。そこで、同じ問題で次の方法を見てみます。
例題
(1,1), (2,4), (4,22)を通る2次多項式を求めよ。
さて、唐突ですが、というものを考えます。これは、x=1を代入したときは0でない何かになり、x=2,4を代入したときは0になります。
を考えます。これは、x=2を代入したときは0でない何かになりますが、x=1,4を代入したときは0になります。
ではどうなるかは書かなくてもわかるでしょう。
この使い勝手の良さを利用して、このように解くことができます。
解法
とおく。(1,1)を通るから、
(2,4)を通るから、
(4,22)を通るから、
これらから、
これをもとの式に代入して整理すると、
となる。
このように、与えられた点のx座標1つをのぞいた全てを代入したら0になるものを用意すると、1回の代入で1つの文字が求まるのです。かなり画期的です。分数がでてきてそれはそれで面倒ですが、連立方程式を解かなくても求められるという点がよいです。
さて、今の解法に、
この3つの式がでてきました。これらをすこしいじれば、
が得られます。すると、 に代入して、
a,b,cという変数がなくなりました。つまり、最初から求める多項式が形式的に与えられているということです。この式の見た目をよーく観察すると、次のことが言えます。
3点を通る2次多項式は、
と表される。
最初の項を見ると、1つめのy座標に、ある分数がかけられていて、その分数は、分子が(x-(1つめでないx座標))の積、分母は(1つめのx座標-1つめでないx座標)の積となってます。2つめ以降の項も同様です。
そして、これは点の個数が増えても通用します。では、この記事冒頭のやつをやってみます。
問題
(1,1),(2,2),(3,3),(4,2019),(5,5)を通る4次多項式を求めよ。
解答
公式に当てはめる。
これを整理すると、
となる。
展開して整理するのは気合でやりました。(PCによる計算を併用)
ということで、皆さんもぜひ好きな点を通る多項式を作って遊んでみてください。点の個数が増えすぎると手計算では不可能になるので、規模はほどほどに。
最後に、一般にn+1個の点を通るn次多項式はどう書けるかを見てみます。
ラグランジュ補間
n+1個の点を通るn次多項式は次のようにあらわされる。
ただし、
結構複雑なので詳しい説明はやめます。は高校で習う総和を表すもので、この文字はギリシャ文字のシグマです。は総乗を表すもので、ギリシャ文字のパイです。詳しいことは高校で習うか各自調べてください。(丸投げ)
written by k