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中学生でも解ける大学入試数学67★★ 2016年埼玉大

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約数の個数、総和は難関高校入試にしれっと登場しますが、普通に高校数学の範囲ですよね。

 

問題
★★

 

自然数nに対して、nの正の約数の総和をs(n)と書くことにする。

(1) kを自然数、pを3以上の素数とするとき、s(2^kp) を求めよ。

(2) s(2016) を求めよ。

(3) 2016の正の約数nで、s(n)=2016 となるものを全て求めよ。

  

 

ヒント、着眼点

約数の総和を求める公式、難関高校受験では個数を求める公式とセットで習います。

約数の個数、総和の公式

整数nが、

n=p^a\times q^b\times r^c\times\dots

素因数分解されるとき、約数の個数は、

(a+1)(b+1)(c+1)\dots

であり、約数の総和は、

(1+p+p^2+\dots+p^a)(1+q+q^2+\dots+q^a)(1+r+r^2+\dots+r^a)\dots

である。

 

 

これを使えば、(2)までは容易に解けます。(3)が少し考えさせられる問題です。

また、(1)で、これを使ってください。

1+2+2^2+\dots+2^k=2^{k+1}-1

これは2進数に変換して考えると簡単に証明できます。

 

 

 

以下、解答

 

 

 

 

 


解答

(1) (2^{k+1}-1)(1+p)

(2) 6552

(3) 672

 

 

 


解説

(1)

2^kp がまさに素因数分解された形であるから、

s(2^kp)=(1+2+2^2+\dots+2^k)(1+p)\\=\underline{(2^{k+1}-1)(1+p)}

ただし、1+2+2^2+\dots+2^k=2^{k+1}-1 を用いた。

 

(2)

2016=2^5\times3^2\times7因数分解されるから、

s(2016)=(1+2+\dots+2^5)(1+3+3^2)(1+7)\\=63\times13\times8\\=\underline{6552}

 

(3)

2016の正の約数nは、

n=2^a\times3^b\times7^c

(ただしa,b,cは整数で、0≦a≦5、0≦b≦2、0≦c≦1)

と書ける。このとき

s(n)=(1+\dots+2^a)(1+\dots+3^b)(1+\dots+7^c)

である。

A=(1+\dots+2^a)\\B=(1+\dots+3^b)\\C=(1+\dots+7^c)

と置く。

A=1+2+\dots+2^a=2^{a+1}-1

よりAは常に奇数で、

s(n)=ABC=2016=2^5\times3^2\times7

であるから、BCは2^5=32 の倍数である。

Bの値はbが0,1,2のときで

1
1+3=4
1+3+9=13

の3通り、

Cの値はcが0,1のときで

1
1+7=8

の2通りあるので、BCの値は6通り考えられる。

そのなかで32の倍数であるものは

b=1、c=1であるB=4、C=8の場合のみ。このときBC=32

ABC=2016よりA=63

A=2^{a+1}-1=63 よりa=5

よって、答えはa=5、b=1、c=1のときの、

n=2^5\times3^1\times7^1=\underline{672}

 

 

補足

 Aが奇数であるからBCは32の倍数、ということに気づくかが勝負。

(1)と(2)は典型問題なので正解必須。(3)は合否を分けた問題と思われる。

 

 

前回

中学生でも解ける大学入試数学66 2013年埼玉大

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