日比谷高校のススメ

日比谷高校出身者たちが日比谷高校の紹介や、勉強に関する様々なことを語ります。

中学生でも解ける大学入試数学52★★ 2019年千葉大

↓ここからカテゴリー別に記事を見ることができます。↓

 

問題
★★

 

正の約数の個数がちょうどm個であるような、1900以上の自然数のうち最小のものをd_mとする。

(1) d_5

(2) d_{15}

 

 

ヒント、着眼点

 

難関高校受験でも習う約数の個数の求め方を知っていれば方針が決まりやすいのではないでしょうか。

一応公式を書いておきます。

 

自然数nが以下のように素因数分解されたとする。

n=p^a\times q^b\times r^c\times\dots

この時、nの約数の個数は\underline{\textbf{(a+1)(b+1)(c+1) }\dots }

 

(ここで、p,q,r,\dots素数a,b,c,\dotsは指数)

 つまり、素因数分解したときの指数をそれぞれ1足してかければ求められます。例を見てみます。

例①

36=2^2\times3^2\\(2+1)(2+1)=9

36の(正の)約数は9個

 

例②

12=2^2\times3\\(2+1)(1+1)=6

12の(正の)約数は6個

※今回の例のように、指数が書かれていないときは1乗と見ます。

 

例③

16=2^4\\(4+1)=5

16の(正の)約数は5個

※素因数が1種類でも構いません。

 

このようにして正の約数の個数が求められます。

では、d_5d_{15}を考えてみましょう。

 

 

 

 

以下、解答

 

スポンサーリンク

 

 

 

 

 


解答

(1) 2401

(2) 1936

 


解説

(1) 約数の個数を求める方法より、約数が5個になる自然数は、ある素数pによってp^4と表されるもののみである。p=2,3,5,7,...と代入していくと、1900以上になる最小のpは7で、このとき7^4=2401

 

参考

2^4=16\\3^4=81\\5^4=625\\7^4=2401\\11^4=14641

 

(2)

約数が15個になるのは、次の2通りが考えられる。

(i) p^14

(ii) p^2\times q^4

ただし、p,q は異なる素数

 

(i)

一番小さいものは2^14=16384

(ii)

 

q^4の方から絞っていく。

q=2のとき

p^2\times2^4=16p^2である。ここで、不等式

16p^2\geqq1900

p^2\geqq118.75

となる。この不等式を満たす最小の素数pは11で、

11^2\times2^4=1936

 

q=3のとき

p^2\times3^4=81p^2である。ここで、不等式

81p^2\geqq1900

p^2\geqq23.46\dots

となる。この不等式を満たす最小の素数pは5で、

5^2\times3^4=2025

 

q=5のとき

p^2\times5^4=625p^2である。ここで、不等式

625p^2\geqq1900

p^2\geqq3.04\dots

となる。この不等式を満たす最小の素数pは2で、

2^2\times5^4=2500

 

q=7のとき

p^2\times7^4=2401p^2より、pがどんな素数でも1900より大きくなる。

 

qが7以上の素数のときは、q^4が1900より大きくなるので、調べなくてよい。

 

以上から、1936

 

 

 

 

 

補足

(1)で、なぜp^4と表されるもののみと言い切れるのでしょうか。それは、5が素数であることと、約数の個数を求める公式の形からわかります。

自然数nが以下のように素因数分解されたとする。

n=p^a\times q^b\times r^c\times\dots

この時、nの約数の個数は\underline{\textbf{(a+1)(b+1)(c+1)}\dots}

 

(ここで、p,q,r,\dots素数a,b,c,\dotsは指数)

正の約数が5個である整数を因数分解したとき、2つの素数が登場するとしたら、約数の個数は\textbf{(a+1)(b+1)} となりますが、a,b がともに1以上であり、(a+1),\ (b+1)はともに2以上であるので、この値は決して5にはなりません。(a+1)(b+1)(c+1)という形で5を作るには、そもそもカッコが1つで、a=4の時しかありえないのです。

 

なぜ「正の約数」と書くのでしょうか。それは、負の約数があるからです。ただ単に「約数」とだけ言われた時は負の数も考えます。割り切れる整数というのが約数で、例えば12=(-2)×(-6)より-2と-6は12の(負の)約数なのです。

6の約数は1,2,3,6,-1,-2,-3,-6の8つ

などと言った文章は正しい文章です。

(±1,±2,±3,±6の8つ、と書くこともあります)

 

※ただし、中学校までは単に「約数」という場合も正しか考えません。

※高校以上では、大体の問題にはしっかりと「正の約数」と書いてあります。数の性質に関する証明問題では単に「約数」としか言わないこともあり得ますが、正のみだと頭の中で思いながら解いてもほとんど問題ありません。

 

 

前回

中学生でも解ける大学入試数学51 2019年中央大 - 日比谷高校のススメ

次回

 

 

written by k

Copyright © 2017 日比谷高校のススメ All rights reserved.