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中学生でも解ける大学入試数学29★ 1961年大阪大学

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今回は中学1年までの知識で解けます。 難易度も低いです。

 

 

 問題

6桁の自然数がある。一番左の数字を一番右に移してできる6桁の自然数は、もとの数の3倍であった。もとの自然数を求めよ。 

 

 

 

ヒント、着眼点

前回の問題より簡単です。もとの自然数と新しくできた自然数をそれぞれうまく表しましょう。

 

 

 

以下、解答

 

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解答

 142857と285714

 


解説

もとの自然数の一番左の数字をx、残りの5桁の数をyとすると、100000x+yと書ける。一番左の数字を右に移してできる6桁の数は、10y+xとなる。

3(100000x+y)=10y+x

299999x=7y

42857x=y

この等式を満たすx,yの組は、1≦x≦9と10000≦y≦99999より、

(x,y)=(1,42857),(2,85714)

よってもとの自然数142857と285714

 

 

補足

142857と285714という数字は1/7と2/7の循環節です。(循環節とは、循環小数の循環している部分のことです。)

\displaystyle \frac{1}{7}=0.\dot{1}4285\dot{7}

\displaystyle \frac{2}{7}=0.\dot{2}8571\dot{4}

\displaystyle \frac{3}{7}=0.\dot{4}2857\dot{1}

\displaystyle \frac{4}{7}=0.\dot{5}7142\dot{8}

\displaystyle \frac{5}{7}=0.\dot{7}1428\dot{5}

\displaystyle \frac{6}{7}=0.\dot{8}5714\dot{2}

1/7から6/7は、循環節がどれも「1→4→2→8→5→7→1→...」という順序はそのままでスタート地点のみを変えた姿になっています。1から始まれば1/7に、5から始まれば4/7になります。ぐるぐる回るイメージがありますね。

 

 これら分数と今回の問題の繋がりをみます。

1/7を3倍すると3/7になって、循環節が見事に1つずれます。

これと142857×3=428571が対応しています。

 

同様に2/7も6/7になると、循環節が1つずれます。

これと285714×3=85714が対応しています。

 

3/7も3倍すると、9/7=1+2/7で、3/7の循環節と2/7の循環節をみると、やはり1つずれています。ただ、3/7の循環節428571を3倍すると、

 428571×3=1285713

繰り上がってしまって、7桁の数となってしまうので、今回の問題の答えにはなりません。しかし、繰り上がった一番上の位の1を一番下の位の3に足すと、

1285713→285714

これで、1つずれているという法則は成り立っています。

同様に、4/7,5/7,6/7の循環節の6桁の数字をそれぞれ3倍すると、繰り上がって7桁の数になってしまいますが、先頭の数字を末尾の数字に加えると、法則がなりたちます。

 

 

さて、1/7から6/7のように、循環節がぐるぐる回るような数はまだまだあります。

1/7から6/7

1/19から18/19

1/61から60/61

などなど。

 

ちなみに、1/61から60/61は、

163934426229508196721311475409836065573770491803278688524590

という60桁の数字がぐるぐる回ります。

 

なかなか面白いですね。

 

 

前回

中学生でも解ける大学入試数学28 1998年早稲田大学(人間科) - 日比谷高校のススメ

次回

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