日比谷高校のススメ

日比谷高校出身者たちが日比谷高校の紹介や、勉強に関する様々なことを語ります。

中学生でも解ける大学入試数学24★★ 2016年上智大

↓ここからカテゴリー別に記事を見ることができます。↓

問題
★★

次の2式を満たす整数p,q,rがある。

\displaystyle p+q+r=6,     \displaystyle p^2=q^2+r^2

(1) (p,q,r)のとり得る組は全部で何組か。

(2) rのとり得る値のうち最小のrと、そのときのp,qの値を求めよ。

 

 

 

ヒント、着眼点

(p,q,r)の組を全て求める必要はないです。3つとも値が同時に求まることはないので、まずは複数個の式があるときの基本、文字を消去することから始めましょう。

pを消すために、\displaystyle  p=6-(q+r)として、2つめの式に代入すると、

\displaystyle \{6-(p+q)\}^2=q^2+r^2

これを整理すると、qとrだけの式になり、うまく変形してq,rを求められます。

 

以下、解答

 

 

スポンサーリンク

 

 

 


解答

(1) 12組

(2) r=-12,p=13,q=5

 

 

 


解説

 \displaystyle \{6-(p+q)\}^2=q^2+r^2

これを整理して変形すると、

\displaystyle 36-12(q+r)+(q+r)^2=q^2+r^2\\\displaystyle qr-6q-6r+18=0\\\displaystyle (qr-6q-6r+36)-18=0\\\displaystyle (q-6)(r-6)=18

\displaystyle q-6,r-6は整数なので、この組み合わせは、

\displaystyle (q-6,r-6)=(±1,±18),(±2,±9),(±3,±6),(±6,±3),(±9,±2),(±18,±1)(複号同順)

となる。それぞれの(q-6,r-6)1組につき(p,q,r)が1組存在するので、(p,q,r)は12組。

 

rが最小になるのは、r-6=-18のとき、つまりr=-12

このとき、q-6=-1よりq=5

 p=6-q-rよりp=13

 

 

補足1

\displaystyle qr-6q-6r+18=0

この式から

\displaystyle (q-6)(r-6)=18

と変形して、\displaystyle q-6\displaystyle r-6の積が18ということから、可能な値の組を全て挙げる、という解法は難関高校入試でもしばしば見かけます。式の変形が慣れるまで難しいです。

\displaystyle qr-6q-6r+36\\\displaystyle=q(r-6)-6(r-6)\\\displaystyle=(q-6)(r-6)

因数分解できるのがポイントです。qとrの係数がそれぞれ-6,-6なので、その積の36を作るようにしています。

\displaystyle 36-12(q+r)+(q+r)^2=q^2+r^2\\\displaystyle qr-6q-6r+18=0\\\displaystyle (qr-6q-6r+36)-18=0\\\displaystyle (q-6)(r-6)=18

 

\displaystyle xy-2x+3y+10=0\\\displaystyle(xy-2x+3y-6)+16=0\\\displaystyle x(y-2)+3(y-2)+16=0\\\displaystyle(x+3)(y-2)=-16

今回はxとyの係数がそれぞれ-2,3なので、その積の-6を作るようにしたらうまくいきました。

係数が違ったとしても、基本このような変形の手順をたどることになります。

 

 補足2

\displaystyle a^2+b^2=c^2

これは三平方の定理の式で、これを満たす自然数の組はピタゴラスと呼ばれ、無限に存在します。

有名なものはいくつかあるので、覚えてみましょう。

(3,4,5), (5,12,13), (8,15,17),(7,24,25)

このあたりが高校入試でも見かけることがあるものでしょう。あとは、この組の数字を全て2倍、3倍、...したものもあります。例えば(3,4,5)を全て2倍した(6,8,10)、3倍した(9,12,15)などもピタゴラス数です。

今回の問題は、「2式を求める整数」とあるので、(-3,-4,-5)や(-3,4,-5)なども答えの候補になります。実際、(p,q,r)=(-3,4,5)はp+q+r=6も満たすので、これは答えの1組です。

 

 

全てのピタゴラス数を求める方法があります。

\displaystyle (a,b,c)=(m^2-n^2,2mn,m^2+n^2)  ただし、\displaystyle 0<n<m

これに好きな整数n,mを代入すれば、ピタゴラス数が1組求まります。さまざまな値を代入すればいろんなピタゴラス数の組がでてきます。

 

 

前回

中学生でも解ける大学入試数学23 1990年東工大後期 - 日比谷高校のススメ

次回

中学生でも解ける大学入試数学25 2017年明治大(商) - 日比谷高校のススメ

 

 

 

written by k

Copyright © 2017 日比谷高校のススメ All rights reserved.