中学生でも解ける大学入試数学7★★ 2005年京大
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一見答えの候補が多そうで途方もないようなものであっても、少し工夫をすると一気に答えに近づくことができる。そのような問題です。
問題
★★
(文系) a3-b3=65を満たす整数の組(a,b)をすべて求めよ。
(理系) a3-b3=217を満たす整数の組(a,b)をすべて求めよ。
ヒント、着眼点
文系と理系で数字が変わっていますが、解き方は変わりません。
さて、高校入試で、3乗ではなく2乗の問題ならしばしば出題されます。そのような問題の紹介をしておきましょう。
問題
a2-b2=11となる整数(a,b)の組をすべて求めよ。
解答
a2-b2=(a+b)(a-b)と因数分解できる。また、11は素数なので、
(i) a+b=1, a-b=11
(ii) a+b=11, a-b=1
(iii) a+b=-1, a-b=-11
(iv) a+b=-11, a-b=-1
この4通りの可能性がある。あとはそれぞれについてa,bを求めればよい。
(i) a=6,b=-5
(ii) a=6,b=5
(iii) a=-6,b=5
(iv) a=-6,b=-5
以上より答えは
(a,b)=(6,5),(6,-5),(-6,5),(-6,-5)
このように、左辺を因数分解し、連立方程式を作ることでa,bの組を求めます。
さて、今回の問題でも左辺が因数分解できます。この因数分解は中学校で習わないので、紹介しておきます。使いますので。
a3-b3=(a-b)(a2+ab+b2)
展開すればこの因数分解が正しいことはただちに確認できます。この因数分解は高校で最初に習いますので、覚えて損はないでしょう。
文系の問題をすこしやってみましょう。
a3-b3=65
(a-b)(a2+ab+b2)=65
65は素数ではなく、5×13と素因数分解できます。そうすると(a-b)と(a2+ab+b2)の値の候補が次の8つに絞られます。
(a-b)と(a2+ab+b2)の候補
5,13
13,5
-5,-13
-13,-5
1,65
65,1
-1,-65
-65,-1
この8通りすべてで計算してa,bを求めれば答えがでます。ただ、いくつかのパターンはa,bが整数とならないことが途中でわかるものもあります。なので答えは8通りもありません。
「8通りも計算するのは面倒だ」と思いますよね。実はすべて計算する必要はありません。あることに気づくと、半分のパターンは計算する前から答えとなりえないことがわかります。
以外、解答
解答
(文系) (a,b)=(4,-1),(1,-4)
(理系) (a,b)=(1,-6),(6,-1),(-8,-9),(9,8)
解説
(a2+ab+b2)はa,bがどのような値の時も0以上であることが示せます。
a2+ab+b2=(a+b/2)2+3b2/4と変形すると、2乗したものを2つ足しているので必ず0以上であることがわかります。ということは、(a2+ab+b2)が負であるものは調べる必要がありません。(a-b)と(a2+ab+b2)の候補は以下の4つにさらに絞られます。
(1) 5,13
(2) 13,5
(3) 1,65
(4) 65,1
これくらいまで絞れたら、 気合を入れて全部計算すればよいでしょう。
パターン(1)を計算する。
a-b=5...①
a2+ab+b2=13...②
①よりa=b+5。これを②に代入し、
(b+5)2+(b+5)b+b2=13
3b2+15b+12=0
b2+5b+4=0
b=-1,-4
b=-1のときa=4
b=-4のときa=1
よって(a,b)=(4,-1),(1,-4)はそれぞれ答えの1組。
実際に計算すると確かめられるのですが、パターン(2)以降は全て、パターン(1)と同様にbの2次方程式を作ると解が整数にならないことが確認できます。つまり、パターン(2)以降から答えの組はでてきません。よって答えはパターン(1)ででてきた2組となります。
理系の問題もほぼ文系の問題と同様に解けます。
217=7×31を頼りに計算してみてください。
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written by k