日比谷高校のススメ

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東大院数学科を受験しました③

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東大院数学科を受験しました② - 日比谷高校のススメ

 

 

院試の問題を軽く振り返る。

自分の作った院試の解答は、いつか記事として遺しておきたい。

 

令和2年度大学院入試データ

東工大院数学系

受験者70→筆記合格38→合格34人

・京大院数学系

受験者110くらい→筆記合格64→合格51(うち基盤35先端16)

・東大院数学科

受験者116→筆記合格60→合格?

 

 

公式の解答がないので、自分の主観であるが、どれくらい解けたかも書いておく。

東工大

数学基礎:2完3半/5問中

[1]リーマン積分の収束の問題。最初めんどくさそうだから飛ばした。最後の15分で戻ってきて考えたら、2年生の時にリーマン積分の定義をやったのを思い出して、平均値の定理を使えば解けた。いま考えたら簡単?

[2] 数列の収束の問題。ε-δは練習したので絶対とるつもりで臨み、(1)は簡単にできた。(2)は収束先がβ/2になるのは予想できたが、そこから先はこねくり回したけどなかなかできない。(2)にそこそこ時間を使ったものの断念。答案には「β/2に収束することを示す」とだけ書いておいた。(ずるい)

[3] R^2の位相の問題。例年は位相の問題はハウスドルフ空間かどうか、連結かどうか、などの簡単な問題が多かったが、今年はいきなり連結成分を求める問題から始まり、(2)も難しい印象。でも位相は好きでそこそこ練習したので頑張ったら完答できた。

[4] 線形代数の問題。R上の有限次元ベクトル空間Vの f\in \rm{End}(V) が(i)同型写像 と(ii) 任意の g\in\rm{End}(V) に対して\rm{rank}(f\circ g)=\rm{rank}(g\circ f) が同値を示す、という問題。(i)⇒(ii)は簡単に言えて、逆は書けず。

[5] 線形代数の問題。d次元以下の複素係数多項式全体の線形変換の固有値や対角化の問題。(2)までしっかり計算ミスに注意しながらやって、(3)は途中まで書いた。

 

数学専門:0完2半/2問中

2問選択して解く。自分は[3]と[4]を選択。

[3] 微分幾何。R^4の部分集合が与えられて、これがR^4の部分多様体であることを示すものと、それがR^2×S^1と微分同相であることを示す問題。(1)は典型なので瞬殺し、(2)は分からず。

[4] ホモロジー群を求める問題。こんな感じの、円筒の中に仕切りが3枚入っているものを、120°ひねりながら上下をつなげてドーナツ状にしたものの整係数ホモロジー群を求める問題。

 f:id:hby:20190917214840j:plain

円筒の上下をつなげる前の状態の図形のホモロジー群は求められたが、ドーナツはできず。

英語

「全ての自然数は等しい」ことの証明(もちろん嘘)を訳しつつ、その証明の間違った点を指摘する問題と、級数の和の公式から「1-1+1-1+..=1/2」を導く(もちろんこれも嘘)文章の読解問題の2つ。簡単だった。

 

 

・京大院

数学基礎:4完1半/6問中

[1] 重積分の計算問題。極座標変換するだけの計算問題。

[2] 3次複素正方行列の固有値、固有空間を場合分けして書くだけの問題。

[3] 有限次元複素ベクトル空間の線形写像の問題。基底の変換とかを考えたらいけた。

[4] 広義積分、関数の収束の問題。試験時間のこり5分でひらめいて焦りながら答案を書くも、(2)を8割書いたところでタイムアップ。

[5] 複素積分を利用した実関数の積分。x^α/(1+x^2)という有理関数。(ただし0<α<1)複素積分は十分練習したので冷静に完答。

[6] S^2×S^2の部分集合が与えられて、それがコンパクト微分可能多様体であることを示す問題。やはり典型なので瞬殺。

数学専門:1完1半/2問中

[4] S^1×S^1の写像のはめ込み判定と、微分形式の零点集合を求める問題。完答。

[5] S^3の部分集合の整係数ホモロジー群を求める問題2つ。前半はできた。後半はまったくできず。

英語

距離空間の定義と例が書かれた英文を訳す問題と、それに関連した(日本語の)問題を英訳しつつ答えも英文で書く問題の2つ。和訳は完璧、英訳もほぼ完ぺきだと思う。

 

・東大院

数学基礎:4完/4問中

[1][2]が必答。[3]~[7]のうち2つを解く。

[1] 線形代数。複素正方行列が対角化可能となる必要十分条件を求める問題。簡単?

[2] 微積。高校生でも解けるレベルの問題じゃね?と思えるくらい簡単。

[4] 連立常微分方程式の初期値問題。やったことある人は普通に解ける。簡単。

[7] 位相の問題。R^2の位相が定められて、そのもとで閉包やコンパクト性を考える問題。思ったより簡単。

数学基礎の難しさとしては、東工大院が最も難しく、東大院が最も簡単に感じた。

数学専門:0完2半/3問中

3問解く試験だが、問題が難しすぎるのと、勉強したことがない内容の問題ばかりで、2問しか手を付けられなかった。

[6] 微分幾何。M2(R)をR^4の部分多様体とみて、微分形式の計算、多様体上の積分の問題。超甘い採点なら1完になるかも。

[8] 位相幾何。難しく感じたが、3,4割は解けた。

英語

和訳1 オイラーゼータ関数に関するエッセイの和訳。数学の知識を問わない、完全に英語の試験。

和訳2 微分方程式の教科書の和訳。数学用語も混ざっている英文。和訳1よりむしろ簡単?

英訳 線形代数の教科書の英訳。正規直交基底に関する文章、定理1つを訳す。

 

 

 

試験の振り返りは以上。院試の結果は、

東工大院 合格

京大院 合格

東大院 不合格

 

京大院は先端コースに合格。東大院は筆記は合格したのに面接で落ちたのが非常に悔しい。

ということで、春から京都で勉強する予定です。

 

 

 

 

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