日比谷高校のススメ

日比谷高校出身者たちが日比谷高校の紹介や、勉強に関する様々なことを語ります。

中学生でも解ける大学入試数学47★★ 1999年神戸大

中学入試でも見そうな問題です。ただ、最後の問題は少し難しいです。

 

問題
★★

2の倍数でも3の倍数でもない自然数を小さい順に並べていく。

(1) 1003は何番目の数か。

(2) 2000番目の数を求めよ。

(3) mを自然数とする。1番目から2m番目までの数を全て足した値をmを用いて表せ。

 

 

 

ヒント、着眼点

よくある倍数に関係する問題です。2の倍数、3の倍数を気にするときは、たいていその最小公倍数である6の倍数に注目することが多いです。

自然数を書いていき、2の倍数でも3の倍数でもないものを赤く色分けしてみます。

1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,... 

先ほど6の倍数といいましたが、自然数を6つずつ分けてみると、周期性が見えてきます。「、黒、黒、黒、、黒」が繰り返されていますね。

 

 

以下、解答

 

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解答

(1) 335

(2) 5999

(3) 6m2

 


解説

1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,... 

この並びを参考にしつつ、2の倍数でも3の倍数でもない自然数を小さい順に並べていくと、

1,5,7,11,13,17,19,23,...

奇数番目は6で割って1余る数が、偶数番目には6で割って5余る数が来ます。

以上から、

k番目の奇数は2k-1と表され、2k-1番目の数は6k-5

k番目の偶数は2kと表され、2k番目の数は6k-1

と表されます。

1003は6で割ると1余る数なので、6k-5=1003とすると、k=168

つまり、1003は(168番目の奇数)番目に出てくる。168番目の奇数は、

2×168-1=335

 

(2)

n=2000のとき、nは偶数で、2k=2000とするとk=1000より1000番目の偶数である。よって、6×1000-1=5999

 

(3)

2の倍数でも3の倍数でもない自然数を小さい順に並べていくと、

1,5,7,11,13,17,19,23,...

この列は6k-5で表される数と6k-1で表される数が交互に並んでいるので、1番目から2m番目までには6k-5のタイプの数と6k-1のタイプの数がそれぞれm個ずつある。

6k-5の数の1個目からm個目の和をmで表すと、

1+7+13+19+\dots+6m-5\\=(6\times1-5)+(6\times2-5)+(6\times3-5)+(6\times4-5)+\dots+(6\times m-5)\\=6(1+2+3+4+\dots+m)-5m\\\displaystyle=6\times\frac{m(m+1)}{2}-5m=3m^2-2m

同様に、6k-1の数の1個目からm個目の和をmで表すと、

5+11+17+23+\dots+6m-1\\=(6\times1-1)+(6\times2-1)+(6\times3-1)+(6\times4-1)+\dots+(6\times m-1)\\=6(1+2+3+4+\dots+m)-m\\\displaystyle=6\times\frac{m(m+1)}{2}-m=3m^2+2m

よって、答えは

(3m^2-2m)+(3m^2+2m)=\underline{6m^2}

 

 

補足

(3)は、高校の数列という範囲のシグマの計算を使うと簡単にできます。

\displaystyle\sum_{k=1}^{m}(6k-5)+\sum_{k=1}^{m}(6k-1)\\\displaystyle=\sum_{k=1}^{m}(12k-6)\\\displaystyle=12\times\frac{m(m+1)}{2}-6m=6m^2

このようになります。

 

 

前回

中学生でも解ける大学入試数学46 2011年日本工大 - 日比谷高校のススメ

次回

中学生でも解ける大学入試数学48 2019年京大 - 日比谷高校のススメ

 

 

 

 

 

written by k

日比谷高校漢字講座 Part3

第一問  次の漢字の読みを答えよ。

 

1. 煩雑な計算問題を解く。

2. 浅薄な思考を咎められる。

3. 従来のやり方に固執する。

4. 虚空を見つめる。

5. 悪口雑言の限りを尽くす。

 

 

第二問  次のひらがなを漢字に直せ。

 

1. 孫の顔を見てそうごうを崩す。

2. しょもうされた製品を納品する。

3. 彼の仮説はあながち間違いではない。

4. 計画のかなめを担う。

5. よういしゅうとうな対策

 

 

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以下、答えになります。

 

第一問

1. はんざつ

2. せんぱく

3. こしつ

4. こくう

5. あっこうぞうごん

 

第二問

1. 相好

2. 所望

3. 強ち

4. 要

5. 用意周到

 

『相好を崩す』は、読み問題として出てもおかしくありません。

 

【正答率目安】

8問〜: 合格者平均は堅い。

6-7問: 受験者平均並み。さらなる高みを目指しましょう。

〜5問: 要対策。危機感を持って。

 

では、また次回。

 

前回

日比谷高校漢字講座 Part2 - 日比谷高校のススメ

次回

日比谷高校漢字講座 Part4 - 日比谷高校のススメ

 

 

written by Akky

【数学小話】aのb乗とbのa乗はどちらが大きいか

さて、どちらが大きいか当ててみてください。実際に計算するもよし、概算や直感で判断するもよし、です。

 

 

問題

問題1. どちらが大きいか。

(1) 34と43
(2) 510と105
(3) 1011と1110

 

 

答え1.

(1) 34=81, 43=64より、34
(2) 510=9765625, 105=100000より、510
(3) 1011=100000000000, 1110=25937424601より、1011

 

さて、これらを見ると、こんな法則があるように思えてきます。

a<bならば、ab>ba

ようするに、指数の値が大きい方が大きい、という法則があるような気がします。

 

では、次の問題はどうでしょうか。
問題2. どちらが大きいか。

(1) 23と32
(2) 110000と100001

 

 

答え2.

(1) 23=8, 32=9より、32
(2) 110000=1, 100001=10000より、100001

 今回の問題は全て先ほどと逆の結果になりました。指数の値が小さい方が大きくなりました。どうやら一筋縄ではいかないようです。

 

 

問題3. 大小を比較せよ。

24と42

 

 

答え3.

24=16, 42=16より、等しい

 

なんと等しい例まで出てきてしまいました。もうわけわからん。

 

 実は、このような事実があります。

a<bを満たす自然数a,bについて、以下が成り立つ。

(1) a=1または(a,b)=(2,3)のとき、ab<b

(2) (a,b)=(2,4)のとき、ab=ba

(3) それ以外のとき、ab>ba

なかなか興味深いです。小さい方の値が1でないとき、たった2例を除き、指数の値が大きい方が大きくなるのです。何故そうなのかは後で分かります。

では、考える対象を自然数から0より大きい実数全てに広げて考えるとどうなるでしょうか。さらに不思議なことになります。

0<a<bなる正の実数について、abとbaの大小関係はどうなるか。

さて、これをどうやって解決すればいいかというと、高2で習う対数と、高3で習うlogの微分の知識を使います。まだ対数、logを習っていない人は、テキトーに流し読みしてもらって構いません。赤字だけ読めば十分わかるようになっています。

 

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logを使って解析する

 0<a<b とする。
a^b>b^a\\\Leftrightarrow \log a^b>\log b^a\\\Leftrightarrow b\log a>a\log b\\\displaystyle\Leftrightarrow \frac{\log a}{a}>\frac{\log b}{b}
ab<baのときも同様に考えると関数f(x)を、
\displaystyle f(x)=\frac{\log x}{x}\ (x>0)
とすれば、
a^b>b^a\\\displaystyle\Leftrightarrow f(a)>f(b)
ab<baのときも同様に考えると、f(a)とf(b)の大小関係とabとbaの大小関係は一致する。
f(a)という表記に馴染みのない方は、要するにy=f(x)という式にx=aを代入した時のyの値のことと思ってください。
y=f(x)のグラフを書いてみましょう。この程度であれば高3理系の定期テスト~入試レベルです。高3理系であれば微分して増減表まで書けるように。
\displaystyle f(x)=\frac{\log x}{x}\ (x>0)
1回微分、2回微分するとそれぞれ、
\displaystyle f'(x)=\frac{\frac{1}{x}\cdot x-\log x\cdot1}{x^2}=\frac{1-\log x}{x^2}

\displaystyle f''(x)=\frac{-\frac{1}{x}\cdot x^2-(1-\log x)\cdot 2x}{x^4}=\frac{2\log x -3}{x^3}


f'(x)=0 とすると、x=e
f''(x)=0 とすると、x=e\sqrt{e}
増減表は以下の通り。

f:id:hby:20190318014215j:plain

グラフは以下のようになります。変曲点は使わないので、結局2回微分の必要はありませんでしたが、計算練習、紹介ということで。

f:id:hby:20190318015645j:plainこのグラフは、x→0でy→-∞、x→∞でy→0となります。
グラフの最大値はx=eのとき1/eです。eはネイピア数という特別な定数で、e≒2.7です。
これと先ほどのf(a)とf(b)の大小関係とabとbaの大小関係は一致するとをグラフに当てはめてみると、このようなことが言えます。

xが自然数のときのf(x)の値を考えると、大きい順に、
f(3)>f(2)=f(4)>f(5)>f(6)>f(7)>...>f(1)
よって、例えば、
f(3)>f(2)だから、32>23
f(4)>f(7)だから、47>74

これが先程紹介した、自然数におけるabとbaの関係の理由です。

 また、xが0より大きい実数のときを考えると、次がいえます。

0<a<b≦eなら、常にab<ba

e≦a<bなら、常にab>ba

0<a<e<bなら、どちらの場合もあり得る

 ということで、一つ面白いことが分かりました。
xが0より大きく、eでないどんな実数でも、xe<ex
一番強いのはeの累乗でした(?)。つまり、
100eよりe100の方が大きい。
100000eよりe100000の方が大きい。
9999999999eよりe9999999999の方が大きい。
このようなことが成り立つのは、実数の中でもeのみです。

 

aとbがeの値をまたいでいるときは、実際にf(a)とf(b)を計算するか、直接abとbaを計算して比べることになります。
ただし、グラフの0<x<1の範囲ではf(x)<0で、x>1ではf(x)>0なので、0<a<1<bならab<baです。

 

eとは?

 ネイピア数eは、高3理系の数IIIでこのように登場します。
\displaystyle e=\lim_{n \to \infty} \biggr(1+\frac{1}{n}\biggr)^n
\displaystyle\lim_{n \to \infty}という記号は、nを無限大に持って行ったときに近づく値、という意味です。この式を見ると、式の言っている内容は、感覚的には「1の無限乗」になってその値は1になりそうに思えますが、実は、2.718281828459045...というある値に近づくのです。この値をネイピア数と呼び、eと表すのです。eにはさまざまな性質、特徴があります。有名なものでいえば、
\displaystyle e=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+\dots
など。ほかにも、eは統計学金利計算などでも活躍します。

 

関連する有名な問題

\displaystyle e^{\pi},\  \pi^eの大小を比較せよ。 

 

大きいのは\displaystyle e^{\pi} です。
ちなみに、
\displaystyle e^{\pi}=23.1406...\\\pi^e=22.4591...
です。

 

 

 

written by k

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