日比谷高校のススメ

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2017/10/29 ブログ開始

【数学小話】中学校では教えてくれない数の性質⑤ あまりと周期

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p,qは互いに素な自然数とする。pの倍数をqで割った余りは、q個ごとに同じ数が繰り返される。

 

例として、p=4, q=7でやってみます。

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 4の倍数を7で割った余りを表にしました。これを見ると、7で割った余りが「4,1,5,2,6,3,0」の7つがループになっていることが分かります。これを周期7のループと呼ぶことにしましょう。

ちなみに、p,qの役割を入れ替えて、7の倍数を4で割った余りを見ると、今度は周期4のループになっています。

 

では互いに素でない数ならどうなるかを見てみます。p=6, q=8で見てみましょう。

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6の倍数を8で割った余りは「6,4,2,0」の周期4のループに、

8の倍数を6で割った余りは「2,4,0」の周期3のループになっています。 

 

なぜ上は周期4で下は周期3になるのか。それは、6と8の最大公約数が2であり、

8÷2=4

6÷2=3

つまり、最大公約数で割った値が周期になっているのです。

 

 

ここまでをまとめると、このようになります。

pの倍数をqで割った余りは、周期が、

   q÷(pとqの最大公約数)

のループになる。

pとqが互いに素なら、最大公約数が1なので、qで割った余りは周期qのループになることもうまくつながっています。

 

 

では例題を見てみましょう。

 

例題

5で割って1あまり、6で割り切れる自然数を、小さい方から3つ答えよ。

解答

5で割って1あまる自然数を並べて、それらを6で割った余りを見る。

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5と6は互いに素なので、やはり6で割った余りは周期6のループになっている。

条件を満たす最初の数は6で、次は36、その次は66

よって答えは6,36,66

 

あまりが周期6のループになっていることが分かれば、問題文の条件を満たす最初の数を見つけさえすれば、その次に条件を満たす数は+30すれば求められます。この30というのは、5と6の最小公倍数ですね。

 

この問題のように、「aで割って〇〇、bで割って〇〇」という条件を満たす整数は、aとbの最小公倍数ごとに現れることがほとんどで、それはあまりの周期性によって導かれるのです。

 

 

高校でやる問題を一つ見てみます。

例題

8x+5y=1...① を満たす整数(x,y) を求めよ。

解答

(x,y)=(2,-3) は解の一つである。(自力で見つける)

この解を代入した式、

8\times2+5\times(-3)=1...②

ここで①-②を計算すると、このような式が得られる。

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8(x-2)+5(y+3)=0\\8(x-2)=-5(y+3)

ここで、8と5は互いに素なので、kを整数としてx-2=-5k,\ y+3=8kと書ける。よって、

\begin{cases}x=-5k+2\\y=8k-3\ \ (kは整数)\end{cases}

 

中学生以下はこの解答を完全に理解しなくてもよいです。答えだけ見ればよいです。ここでなにを見てみるかというと、

解の一つに(x,y)=(2,-3) がありました。これは、答えの

 \begin{cases}x=-5k+2\\y=8k-3\end{cases}

にk=0を代入したものです。次にk=1を代入すると(x,y)=(-3,5) という解が得られます。先ほどの解と比べると、xは5減って、yは8増えています。これはつまり、方程式における8xの値が40減って、5yの値が40増えていて、和は1で変わらない、ということを意味します。ここでの40というのは、やはり5と8の最小公倍数です。

 

 

このように、最小公倍数が周期となる場面は多く表れます。整数の倍数の問題では、最小公倍数を意識しながら考えるとよいかもしれませんね。

 

 

 written by k

中学生でも解ける大学入試数学52 2019年千葉大

 

問題
★★

 

正の約数の個数がちょうどm個であるような、1900以上の自然数のうち最小のものをd_mとする。

(1) d_5

(2) d_{15}

 

 

ヒント、着眼点

 

難関高校受験でも習う約数の個数の求め方を知っていれば方針が決まりやすいのではないでしょうか。

一応公式を書いておきます。

 

自然数nが以下のように素因数分解されたとする。

n=p^a\times q^b\times r^c\times\dots

この時、nの約数の個数は\underline{\textbf{(a+1)(b+1)(c+1) }\dots }

 

(ここで、p,q,r,\dots素数a,b,c,\dotsは指数)

 つまり、素因数分解したときの指数をそれぞれ1足してかければ求められます。例を見てみます。

例①

36=2^2\times3^2\\(2+1)(2+1)=9

36の(正の)約数は9個

 

例②

12=2^2\times3\\(2+1)(1+1)=6

12の(正の)約数は6個

※今回の例のように、指数が書かれていないときは1乗と見ます。

 

例③

16=2^4\\(4+1)=5

16の(正の)約数は5個

※素因数が1種類でも構いません。

 

このようにして正の約数の個数が求められます。

では、d_5d_{15}を考えてみましょう。

 

 

 

 

以下、解答

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解答

(1) 2401

(2) 1936

 


解説

(1) 約数の個数を求める方法より、約数が5個になる自然数は、ある素数pによってp^4と表されるもののみである。p=2,3,5,7,...と代入していくと、1900以上になる最小のpは7で、このとき7^4=2401

 

参考

2^4=16\\3^4=81\\5^4=625\\7^4=2401\\11^4=14641

 

(2)

約数が15個になるのは、次の2通りが考えられる。

(i) p^14

(ii) p^2\times q^4

ただし、p,q は異なる素数

 

(i)

一番小さいものは2^14=16384

(ii)

 

q^4の方から絞っていく。

q=2のとき

p^2\times2^4=16p^2である。ここで、不等式

16p^2\geqq1900

p^2\geqq118.75

となる。この不等式を満たす最小の素数pは11で、

11^2\times2^4=1936

 

q=3のとき

p^2\times3^4=81p^2である。ここで、不等式

81p^2\geqq1900

p^2\geqq23.46\dots

となる。この不等式を満たす最小の素数pは5で、

5^2\times3^4=2025

 

q=5のとき

p^2\times5^4=625p^2である。ここで、不等式

625p^2\geqq1900

p^2\geqq3.04\dots

となる。この不等式を満たす最小の素数pは2で、

2^2\times5^4=2500

 

q=7のとき

p^2\times7^4=2401p^2より、pがどんな素数でも1900より大きくなる。

 

qが7以上の素数のときは、q^4が1900より大きくなるので、調べなくてよい。

 

以上から、1936

 

 

 

 

 

補足

(1)で、なぜp^4と表されるもののみと言い切れるのでしょうか。それは、5が素数であることと、約数の個数を求める公式の形からわかります。

自然数nが以下のように素因数分解されたとする。

n=p^a\times q^b\times r^c\times\dots

この時、nの約数の個数は\underline{\textbf{(a+1)(b+1)(c+1)}\dots}

 

(ここで、p,q,r,\dots素数a,b,c,\dotsは指数)

正の約数が5個である整数を因数分解したとき、2つの素数が登場するとしたら、約数の個数は\textbf{(a+1)(b+1)} となりますが、a,b がともに1以上であり、(a+1),\ (b+1)はともに2以上であるので、この値は決して5にはなりません。(a+1)(b+1)(c+1)という形で5を作るには、そもそもカッコが1つで、a=4の時しかありえないのです。

 

なぜ「正の約数」と書くのでしょうか。それは、負の約数があるからです。ただ単に「約数」とだけ言われた時は負の数も考えます。割り切れる整数というのが約数で、例えば12=(-2)×(-6)より-2と-6は12の(負の)約数なのです。

6の約数は1,2,3,6,-1,-2,-3,-6の8つ

などと言った文章は正しい文章です。

(±1,±2,±3,±6の8つ、と書くこともあります)

 

※ただし、中学校までは単に「約数」という場合も正しか考えません。

※高校以上では、大体の問題にはしっかりと「正の約数」と書いてあります。数の性質に関する証明問題では単に「約数」としか言わないこともあり得ますが、正のみだと頭の中で思いながら解いてもほとんど問題ありません。

 

 

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written by k

【数学小話】中学校では教えてくれない数の性質④ 素因数分解

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素因数分解の一意性

素因数分解は積の順番を除いてただ一通りである。 

つまり、素因数分解は必ず同じ結果になるということです。

Aを素因数分解したらあるときは53×71になり、あるときは13×19×43だった、なんてことにはなりません。これは経験則として誰もが知っていることでしょう。

 

これだけです。これだけの短い内容ですが、とてもとても重要なことです。

素因数分解を使って解く問題を少しみていきましょう。

 

例題

10!=10×9×8×7×6×5×4×3×2×1は末尾に0がいくつ並ぶか。

解答

10!=10×9×8×7×6×5×4×3×2×1を素因数分解すると、

28×34×52×7となる。2で8回、5で2回割り切れるので、10=2×5は最大2回割り切れる。

よって末尾に0が2個並ぶ。

解説

「Aの末尾に0がn個並ぶこと」は「Aが10でn回割り切れること」と言い換えることができます。

「10×9×8×7×6×5×4×3×2×1を素因数分解する」は何をするのかというと、

10=2×5, 9=3×3, 8=2×2×2, 6=2×3, 4=2×2と、かけられている数を全て素因数分解し、結局2は何個、3は何個あるのかをカウントすることになります。すると、2は全部で8個、3は4個、5は2個、7が1個あるので、28×34×52×7となります。

ここで、10=2×5より、Aが2と5のセットで何回割り切れるかが重要になります。 

参考: 10!=3628800

 

 

問題

1\times2\times3\times\dots\times29\times30 は2で何回割り切れるか。

 

発想

「2で何回割り切れるか」と、「素因数分解したときの2の指数がいくつか」は同じ。

1から30まで、それぞれ素因数2をいくつ持つか調べて、その和を求めてもよいです。今回の解法は少し違う方法で求めています。

 

解法

2の倍数は、30\div2=15 より、15個

4の倍数は、30\div4=7\cdots2 より、7個

8の倍数は、30\div8=3\cdots6 より、3個

16の倍数は、30\div16=1\cdots14 より、1個

32の倍数はない。

よって、1\times2\times3\times\dots\times29\times30 は素因数2を15+7+3+1=26個もつから、26回

 

 

この問題の、素因数2の個数、つまり2で割れる回数は、このようなことをイメージして解くのがよいでしょう。

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①1から30を一列に並べ、2で割れるものは2で割って、商を下に書く。

②このようにしてできた新しい列を見て、2で割れるものは2で割って、商を下に書く。

③ ②を繰り返す。

これをすると、最初は15回割れ、次は7回、次は3回、最後は1回割れます。合計は15+7+3+1=26回。

解法でなぜ2の倍数とか8の倍数とか言っているかというと、

 

2で1回以上割れるものは2の倍数、

2で2回以上割れるものは4の倍数、

2で3回以上割れるものは8の倍数、

...

2でn回以上割れるものは2nの倍数、

とそれぞれ言えるからです。

今回の解法にはこのような背景がありました。

 

例題

\displaystyle \sqrt{12+n^2}が整数になる自然数nを全て求めよ。

解答

\displaystyle \sqrt{12+n^2}=m (mは整数)とおく。両辺を2乗して、

\displaystyle 12+n^2=m^2

\displaystyle m^2-n^2=12

\displaystyle (m-n)(m+n)=12

(m-n)と(m+n)は12の約数である。

m-n<m+nで、どちらも正であることに注意すると、

(m-n,m+n)=(1,12), (2,6), (3,4)が考えられる。

(m-n,m+n)=(1,12)のとき、(m,n)=(13/2,11/2)で整数とならないので不適。

(m-n,m+n)=(2,6)のとき、(m,n)=(4,2)でこれは解となる。

(m-n,m+n)=(3,4)のとき、(m,n)=(7/2,1/2)で整数とならないので不適。

以上より、n=2

 

(m-n,m+n)=(1,12)のときと(m-n,m+n)=(3,4)のときは、具体的にm,nを両方計算しなくても、どうせ不適になることは簡単に調べられます。

例えば(m-n,m+n)=(1,12)のとき、1+12を計算します。これが奇数の時点で、実は不適だと分かります。

m-n=1...①

m+n=12...②

①+②を計算すると、2m=13となります。左辺が2mなので、右辺が偶数でないとmは整数になりません。

 

最後に今やった問題の応用問題を紹介して終わりにしようと思います。高校レベルです。

問題

\displaystyle \sqrt{2^8+2^{11}+2^n}が整数となる自然数nをもとめよ。

解答

\displaystyle \sqrt{2^8+2^{11}+2^n}=mとして両辺を2乗すると、

\displaystyle 2^n\\\displaystyle =m^2-2^8-2^{11}\\\displaystyle =m^2-2^8(1+2^3)\\\displaystyle =m^2-2^8\times9\\\displaystyle =m^2-(3\times2^4)^2\\\displaystyle =(m-48)(m+48)

素因数分解の一意性より、

\displaystyle m-48=2^s,\ m+48=2^t,\ s+t=n

となる自然数s,tが存在する。\displaystyle m=2^s+48,\ m=2^t-48だから、

\displaystyle 2^s+48=2^t-48\\\displaystyle 2^t-2^s=96\\\displaystyle 2^s(2^{t-s}-1)=2^5\times3

\displaystyle 2^{t-s}-1が奇数であるから、素因数分解の一意性より、

\displaystyle 2^s=2^5,\ 2^{t-s}-1=3

よって\displaystyle s=5,\ t=7,\ n=12 

 

 

 written by k