日比谷高校のススメ

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数学成分多めです。

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2017/10/29 ブログ開始

中学生でも解ける大学入試数学48 2019年京大

今年の大学入試から。京大の整数問題です。

 

問題
★★

 f(x)=x^3+2x^2+2 とする。|f(n)||f(n+1)| がともに素数となる整数n を全て求めよ。

 

 

 

ヒント、着眼点


※中学生はf(x)という表記を習っていないと思います。これは中学校におけるyと同じようなものです。たとえば、f(1)と書いたら、x=1を代入した値のことなので、5になります。f(n)というのは、xに整数nを代入した値のことです。


f(n)を挟んでいる2本の縦棒は「絶対値」です。ようするに、「f(n)の絶対値」です。

さて、|f(n)|素数となるnを実際にいくつか探してみます。そのうえで、答えの見当をつけます。

f:id:hby:20190306015804j:plain

これを見るに、nが±10までの範囲において、|f(n)|素数となるようなnは小さい方から順に、

-6,-3,-2,-1,0,1,3,7

さて、表を眺めてほかになにか特徴がないかを考えると、nが偶数のとき|f(n)| も偶数ということもわかります。偶数のなかで素数なのは2だけなので、どうやらnが0,-2以外の偶数なら常に|f(n)|素数とならないという予想が立てられます。

仮にこれが実際に成り立つとすると、もうゴールは近いです。

ということで、0,-2以外の偶数なら常に|f(n)|素数とならないという予想が実際に成り立つことをどう説明すればよいかを考えてみましょう。

 

 

 「|f(n)||f(n+1)| がともに素数となる」ということは2連続で素数が現れるということです。

nとn+1は、常に片方が奇数でもう片方が偶数です。

 

以下、解答

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解答

n=0,-1,-2,-3

 

 


解説

mを整数として、n=2mのとき、

f(n)=(2m)^3+2(2m)^2+2=8m^3+8m^2+2=2(4m^3+4m^2+1)

となるから、|f(n)|素数となるのは、|f(n)|=2 となり、4m^3+4m^2+1=\pm1 となるときである。

4m^3+4m^2+1=-1 となるmについて考える。式変形をすると、

4(m^3+m^2)=-2

となり、m^3+m^2 は整数より左辺は4の倍数だから-2となることはない。よって4m^3+4m^2+1=-1 を満たすmは存在しない。

 

4m^3+4m^2+1=1 となるmについて考える。式変形をすると、

m^2(m+1)=0

となるので、

m=0,-1

このとき、

n=0,-2

以上から、nが偶数のとき、|f(n)|素数となるのはn=0,-2 のときのみである。

nは整数よりnとn+1は片方が偶数でもう片方は奇数であるから、|f(n)| |f(n+1)| がともに素数となるには、nとn+1のどちらかが0か-2でなければならない。

よって検討すればよいのは、n=0,n+1=0,n=-2,n+1=-2の4つの場合で十分。

 

 

n=0のとき、

|f(n)|=|f(0)|=2,\ |f(n+1)|=|f(1)|=5

ともに素数

 

n+1=0のとき、つまりn=-1のとき、

|f(n)|=|f(-1)|=3,\ |f(n+1)|=|f(0)|=2

ともに素数

 

n=-2のとき、

|f(n)|=|f(-2)|=2,\ |f(n+1)|=|f(-1)|=3

ともに素数

 

n+1=-2のとき、つまりn=-3のとき、

|f(n)|=|f(-3)|=7,\ |f(n+1)|=|f(-2)|=2

ともに素数

 

以上から、答えは

n=0,-1,-2,-3

 

 

 

補足

 「Aが素数となる」と書いてあるとき、たいていAを文字式として見て因数分解します。Aが2つの積に分解されたなら、Aは素数という条件から、かけられている一つは素数でもう一つが1、または一つが(-素数)でもう一つが-1となります。今回もそれを利用しました。

 

 

 

nとn+1という並びから、連続した2つの整数は片方が奇数でもう片方が偶数ということを使いました。この性質は、整数の性質でかなり重要な事柄です。 

 

 

 

 

written by k

日比谷高校漢字講座 Part4

第一問  次の漢字の読みを答えよ。

 

1. 募金活動に勤しむ。

2. 市井の人

3. 虚ろな瞳

4. に浸る

5. 勅語奉答

 

 

第二問  次のひらがなを漢字に直せ。

 

1. ざゆうのめいを語る。

2. きのうほう的に解を導く。

3. いさいを放つ人材を育てる。

4. 反旗をひるがえす

5. さんさんごご帰っていく。

 

 

 

以下、答えになります。

 

第一問

1. いそしむ

2. しせい

3. うつろ

4. えつ

5. ちょくごほうとう

 

第二問

1. 座右の銘

2. 帰納法

3. 異彩

4. 翻す

5. 三々五々

 

 

【正答率目安】

8問〜: 合格者平均は堅い。

6-7問: 受験者平均並み。さらなる高みを目指しましょう。

〜5問: 要対策。危機感を持って。

 

では、また次回。

 

 

 

 

written by Akky

【数学小話】なるべく大きな数を作りたい!

算数、数学が好きな人であれば(おそらく)だれもが考えること、

とにかく大きな数を作りたい!!!

数を大きくするのにどんな方法があるのか、どうすれば手っ取り早く数を大きくできるか、を考えてみましょう。そのために、まずは頭の体操をしてみましょう。

 

頭の体操

3つの3でなるべく大きな数を作れ。

 

基本ルール

・使ってよい数字は3つの3のみ。

・なるべくシンプルな表現にする。

・2つの3を33として使ったり、3つの3を333として使ってはいけない。

 

 

 

足し算、掛け算

3+3+3=9

3×3×3=27

この時点では一番大きいのは27。足し算よりも掛け算のほうが、より速く数を大きくできます。

 

・指数

中学生までで習うものに、「指数」があります。aをb回かけたものを「aのb乗」といい、a^b と書きます。このaの右肩にのせる数字を「指数」といいます。

a^b=\overbrace{a\times a\times\dots\times a}^{b}

これでただの掛け算よりはやく数を大きくできます。よって、

\displaystyle\Large 3^{3^3}

おそらくこれが現時点で一番大きいでしょう。

 

※これは、「3の(3の3乗)乗」であって、「(3の3乗)の3乗」ではありません。 言葉でみると分かりにくいですね。つまり、

\displaystyle\Large 3^{3^3}\displaystyle\Large 3^{(3^3)}=3^{27}であって、\displaystyle\Large (3^3)^{{}^3}=27^3ではない

ということは注意してください。指数が連なる場合は、上から順に処理するのが計算のルールです。

正しく上から計算すると、

\displaystyle 3^{3^3}=7625597484987

下から計算すると、

\displaystyle (3^3)^{{}^3}=27^3=19683

かたや13桁、かたや5桁。わずかな表記の違いでかなり差がでます。

 

ということで、今回の頭の体操の答えとしては、\displaystyle 3^{3^3} が考えられます。

\displaystyle 3^{3^3}=7625597484987

7兆6255億9748万4987。たった3つの3を斜めにかくだけでこんなに大きな数ができました。

初等関数の範囲であればこれが一番大きいでしょう。

 

※初等関数...厳密には違いますが、高校までに登場する関数全般だとおもってください。

 

 

今回、大きな数を作る、という試みをしましたが、数学には途方もなく大きな数を考える分野があります。その世界では7兆なんて1粒の砂ほどの存在になります。では、中学、高校では絶対に習わない世界をのぞいてみましょう。

 

巨大数の世界の入り口

・テトレーション

指数をさらに強くしたようなものとして、「テトレーション」があります。定義は以下の通り。

{}^b a=\underbrace {a^{a^{\cdot ^{\cdot ^{a}}}}} _{b}

要するに、aの右上にaをのせ、その右上にaをのせ、...とaが合計b個になるまで繰り返したものになります。ちなみに、この右辺ような表記は「指数タワー」と言われています。

この表記を使えば、先ほどの頭の体操の答えは、

{}^3 3=3^{3^3}

このように、2つの3で表すことができます。ということは、このように表記すれば、3つの3で、先ほどの頭の体操の答えよりもっと大きな数ができます。

{}^{{}^3} {}^3 3=\underbrace {3^{3^{\cdot ^{\cdot ^{3}}}}} _{{}^33}

これは、3の指数タワーを{}^33=3^{3^3}=7625597484987 個積み上げたもの、という意味になります。もうこの時点で途方もないくらい大きな数になります。具体的に何桁の数か当てるのも非常に困難です。7兆段を考える前に、4段、5段がいくつくらいかを見てみます。。

 

\displaystyle 3^{3^{3^{3}}}\fallingdotseq1.258\times10^{3638334640024}

3を4段積んだタワーは3638334640025桁の数になります。

この時点で無量大数を超えています。無量大数10^68 つまり67桁なので、すでに桁数では圧倒的な差がついています。

\displaystyle 3^{3^{3^{3^{3}}}}\fallingdotseq3^{1.258\times10^{3638334640024}}\fallingdotseq10^{0.600\times10^{3638334640024}}

3を5段積んだタワーは、だいたい10^{3638334640024} 桁の数です。もうこの時点でわけわかりません。

段数を増やして7625597484987段積んだものが{}^{{}^3} {}^3 3 になります。桁数もまともにわかりません。たった3つの3だけで具体的に想像できないくらい大きな数になりました。

 

記号を一切使わない表記のなかでは、おそらくこれが最も大きな数になるでしょう。

 

せっかくなので、もう少し頑張って、巨大数という分野でもとりわけ有名なグラハム数を構成して紹介しましょう。 

・クヌーヌの矢印表記

巨大数を表すものとして有名なもので、クヌーヌの矢印表記というものがあります。

a\uparrow b=a^b=\overbrace{a\times a\times\dots\times a}^{b}

矢印1つは、累乗を表します。

a\uparrow\uparrow b=\overbrace{a\uparrow a\uparrow\dots\uparrow a}^{b}=\underbrace {a^{a^{\cdot ^{\cdot ^{a}}}}} _{b}

矢印2つはテトレーションと等しくなります。以後、矢印が1つ増えるごとに、このような動きをします。矢印がn個並ぶものを\uparrow ^nと書きます。

a\uparrow^nb=\overbrace{a\uparrow^{n-1} a\uparrow^{n-1} \dots\uparrow^{n-1} a}^{b}

 

ややこしいので具体例を見てみます。

3\uparrow^{2}3=3\uparrow3\uparrow3=3\uparrow3^3=3^{3^3} であるから、

3\uparrow^{3}3=3\uparrow^{2} 3\uparrow^{2} 3=3\uparrow^{2}3^{3^3}=\underbrace{3^{3^{\cdot ^{\cdot ^{3}}}}} _{3^{3^3}}

これは先ほどの3つの3で作れる一番大きな数{}^{{}^3} {}^33 より大きい数になりました。矢印の計算も右から順に処理します。

もう一つ矢印を増やすと、

3\uparrow^{4}3=3\uparrow^{3} 3\uparrow^{3} 3=3\uparrow^{3}\underbrace{3^{3^{\cdot ^{\cdot ^{3}}}}} _{3^{3^3}}=\underbrace{3\uparrow^{2} 3\uparrow^{2} \dots\uparrow^{2} 3}_{\underbrace{3^{3^{\cdot ^{\cdot ^{3}}}}}_{3^{3^3}}}

これは、3を3段積んだ指数タワーをつくり、その値の分だけ3を積んだ指数タワーをつくり、その値の分だけ3を積んだ指数タワーをつくり...ということを\underbrace{3^{3^{\cdot ^{\cdot ^{3}}}}}_{3^{3^3}} 回くりかえす、ということになります。

この時点で3\uparrow^{4}3 を銀河系としたら{}^{{}^3} {}^33 は米粒よりも小さい存在になるでしょう。

まだ終わりません。さらに、

G(n)=3\uparrow^{n}3

とします。今考えた3\uparrow^{4}3G(4)となります。 

ここで、矢印をG(4) 個用意したもの、

3\uparrow^{G(4)}3

を考えます。これをG^2(4) とします。以降、矢印をG^{n-1}(4)個用意したもの、

3\uparrow^{G^{n-1}(4)}3

G^n(4) として、G^{3}(4),\ G^{4}(4),\ \dots帰納的に決めていきます。そうして、64回繰り返したもの、

G^{64}(4)

を、グラハム数と言います。この数は、数学の証明で使われた最大の数としてギネスブックに登録されています。

こんな巨大な数がどこに登場したかというと、1970年にグラハムとロスチャイルドが証明した「グラハムの定理」に関して登場します。この定理の内容は、

n 次元超立方体の 2n 個の頂点のそれぞれを互いに全て線で結ぶ。次に2つの色を用いて連結した線をいずれかの色に塗り分ける。
このとき n が十分大きければ、どんな塗り方をしても、同一平面上にある四点でそれらを結ぶ線が全て同一の色であるものが存在する。

というものです。とても難しそうなことを言っているということだけはわかりますね。この定理内の「nが十分大きければ」に関して、「nがいくつより大きければ常に成り立つのか」という問に対して、グラハム数以上のnなら常に成り立つということがグラハムによって証明されました。これがグラハム数のルーツです。*1

 

 

ということで長くなりましたが、一番有名な巨大数であるグラハム数の作り方でした。巨大数の世界では、このグラハム数はまだまだ小さい方です。

このグラハム数を構成する方法よりも速いペースで数を大きくする方法はいろいろあります。興味のある方はぜひ調べてみてください。中学校の自由研究なんかにどうでしょうか。

 

 

 

written by k